三好万季『四人はなぜ死んだのか』
恥ずかしながら(今さらながら)の読書記録第2段です。
1学期に中学校の図書館で、三好万季の『4人はなぜ死んだのか』(文芸春秋)を読みました。1999年発刊です。
カレー毒物混入事件について中学生がネットを駆使して独自の主張した時事レポートということでずいぶん話題になったんですね。
そういう事実も今回初めて知りました。
ちょっと僕の文体(僕の目指すレポート)に似ていて驚きもしました。
あのようにネットを駆使すれば、素人でも緻密なレポートが可能ということは今後のネットを利用した教育に1つのモデルを示したといえます。どこまで引用許可を求めるかも課題になりますが。
僕は「カイワレ事件」について自分なりに追究し、授業にかけたことがあります。(「まるの会通信」96年8月号)
その時の問題意識でカレー毒物混入事件についても授業にかけてみれば、この本と対抗できたんだなと思います。
ネット検索してみるといろんな中学でこの本が課題図書のような扱いをされていたようです。
朝日新聞で話題になったことが火をつけたようです。そのような状況もネットで知りました。
本当に彼女が書いたかどうかを疑うHPもありました。
でも、15歳の少女が書かなければあのレポートには価値がなかったのかというと、そうではないでしょう。
誰が書いたとしても、あれくらいの情報入手がインターネットなら可能なのだということを実証したわけですから。
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Comments
今日偶然この本を学校の図書室で見つけ一気に読みました。そして、本人のHPを探そうとしてまたまた偶然にここに行き着けました。
ご無沙汰しております。お元気ですか。
中学3年生だった彼女の今はどうななのでしょうか?興味あるところです。
中学生でなくても、論文発表後の行動はすばらしいですね。
Posted by: 鈴木 久 | January 23, 2005 04:06 PM
コメントありがとうございます。
「毒物カレー事件」も風化してきているので、今の中学生の全員がこの本を興味を持って読めるかどうかは分かりませんが、「ネットを駆使する」という手法は、これからのレポート作りの参考になります。ネット資料のまる写しではなく、そこから自分の思考やら推理を重ね、アクションを起こしていることに注目させたいですね。
Posted by: 竹田博之 | January 25, 2005 07:54 AM