« 3月16日「竹島の日」制定 | Main | フードファデイズム »

March 23, 2005

重松清の世界 「流星ワゴン」

021305820000 まだまだ読破数の少ない重松作品だが、今回の『流星ワゴン』は『きよしこ』を抜いて僕の中のランキング1位になった。
 『本の雑誌』が選ぶ02年の年間第1位だそうだ。それも分かる(知らなかったけど)。
 重松清の他作品でも登場する「いじめ」「親子関係(年老いた親)」「夫婦の危機」「リストラ」といったシリアスな内容が、散りばめられている。流星ワゴンに乗っているのは初めてのドライブで交通事故にあった父と子で、この2人のエピソードだってだってずいぶん重く悲しいものである。
 にも、かかわらずこの作品は嫌味な重さがない。読後感に重苦しさがない。
 流星ワゴンは人生の分岐点に運んでくれる。1回目の場所では過去を変えることのできない悲しさが漂うが、2回目・3回目はそれなりに過去を変えること・新しい現在を構築することに果敢にチャレンジする。その行動力が爽快感につながっているのだろう。わだかまりのあった父との和解も作品全体の雰囲気を和ませている。
 先日『葉っぱのフレデイ』を読んで「生きること・死ぬこと」について考えさせられた。
 同じように、この作品は「生きること・死ぬこと」を考えさせる。
 満足して死んでいくことは、納得した生き方をすることだ。
 健太親子の生き方・死に方、主人公の親父の生き方・死に方、そして主人公の家族の生き方・・・『葉っぱのフレデイ』よりもさまざまな生き方が交錯している。
 主人公は38歳、僕は現在43歳。
 年代が重なるから共感できるのだろうか。自分も生き方・死に方を考える時期にきたからだろうか。
 重松清から中年男への強烈なエールの1冊である。
 

|

« 3月16日「竹島の日」制定 | Main | フードファデイズム »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

こんにちは!
流星ワゴンを読んで、感想を書きましたのでTBさせていただきました!
よろしくおねがいいたします^^

Posted by: 蛇 From 評価チャンネル | April 18, 2005 03:26 PM

こんにちは。
突然失礼します。
東京都板橋区に本拠地を置く劇団銅鑼と申します。
重松清原作「流星ワゴン」舞台化のご案内です。
2月3日~2月5日相鉄本多劇場(横浜)・2月9日兵庫県立芸術文化センター中ホール(西宮)で上演します。
公演の詳細は劇団銅鑼HP
http://www.gekidandora.com
をご覧下さい。
昨年東京で初演、高い評価を受け、口コミでSOULD OUTを出せた作品です。
お近くでしたら、是非ご覧下さいませ。
よろしくお願いいたします。

劇団銅鑼 制作 田辺素子
〒174-0064 東京都板橋区中台1-1-4
TEL:03-3937-1101
FAX:03-3937-1103
URL http://www.gekidanora.com
e-mail gekidandora@pop12.odn.ne.jp


Posted by: 劇団銅鑼 | February 02, 2006 05:47 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 重松清の世界 「流星ワゴン」:

» 『流星ワゴン』 重松清 講談社 (トラキチ) [My Recommend Books !]
流星ワゴン重松清著出版社 講談社発売日 2002.02価格  ¥ 1,785(¥ 1,700)ISBN  4062111101bk1で詳しく見る 約2... [Read More]

Tracked on March 27, 2005 11:10 PM

» 【流星ワゴン】 重松 清 (著) [評価チャンネル|お笑い/アイドル/映画/コミック/小説]
私は、この物語の主人公とは、年齢も家族構成も違います。それでも、共感できる主人公の父としての立場、そして息子としての想いが、この本を読み進める私の心に強く残りました。主人公と同じ立場のひとが読むとどう印象を受けるのでしょう?また、女性が読んだらどう感じるでしょう?読まれた方の感想を聞いてみたいところです。... [Read More]

Tracked on April 18, 2005 03:26 PM

» 「流星ワゴン」(重松清) [「いろいろ感想文」]
推理小説とエッセイばっかし読んでるワタクシが、何でこれを買ったのかわからんのですが(たぶんタイトル買い)、一気に読んだところドツボに大はまりで大泣きでありました。でも、一晩たってみて何で大泣きやったのかがよくわからんのであります。で、その問題の「流星ワゴン」、どんな話かといいますと、38歳の永田さんが主人公であります。嫁とも一人息子ともうまくいかなくて、田舎の父親(ガンで死にかけ)とも仲良くありません。会社もリストラされそうです。「なーんかもう死んでもいっかなー」とぼーっとバス停のベンチに座ってたら... [Read More]

Tracked on June 09, 2005 12:21 AM

» 「流星ワゴン」(重松 清著) [京の昼寝〜♪]
 「流星ワゴン」(重松 清著)【講談社文庫】  僕らは、友達になれるだろうか?   38歳、秋。 ある日、僕は同い歳の父親に出逢った。 死んじゃってもいいかなあ、もう・・・・・・。38歳、秋。 その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。 そして 自分と同い歳の父親に出逢った。 時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。 やり直しは、... [Read More]

Tracked on September 25, 2005 10:16 PM

» 「流星ワゴン」重松清 [AOCHAN-Blog]
タイトル:流星ワゴン 著者  :重松清 出版社 :講談社文庫 読書期間:2005/10/03 - 2005/10/07 お勧め度:★★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして・・自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか・・?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。妻の浮気... [Read More]

Tracked on October 20, 2005 01:06 PM

« 3月16日「竹島の日」制定 | Main | フードファデイズム »