OECD読解力への対応
OECDの学力調査によって、日本の15才の読解力低下が叫ばれた。→ここ・ここ
しかし、OECD調査の「読解力」の問題は、普段我々が解いているような問題とは異なっている。→ここ
「次の文章を読んで、自分の意見を述べなさい」
これは、我々の観念から言えば「表現力」であり、もっと言えば「小論文」である。
共通一次世代には「小論文」というジャンルは無縁だった。
小・中、そして高校でも「小論文」という視点で取り組んでこなかったし、対策も学んでこなかった。
しかし、最近の大学受験では「小論文」は避けては通れないようで、受験対策として「小論文」対策は必須である。
私の持っている資料には「小論文」対策関連書籍はない(「分析批評」をのぞく)。
だから「OECD読解力」に対応するノウハウを子どもに身につけさせることができない。
河合塾の小論文対策講座がネットで見られる→ここ
解き方を読んでいると、「テーマに即して自分の意見を述べる」ことのノウハウが見えてくる。
単なる行事作文を書かせるだけでは、小論文は書かせられない。
作品内容と自分の経験や意見を融合させる読書感想文は、確かに小論文に近い。
ならば、読書感想文の指導において「何でもあり」でなく、何をどう書いたらいい、ということをきちんと示していかなくてはなるまい。
OECD読解力が低下したというのは、最近の国語の授業が作文の指導時間を削減してきたことに起因しているのだろうか。
中学校では週4時間から3時間に授業時間が減った。授業時間数が減ったことは何よりも大きい。
しかも、「聞く・話す」の評価観点をきちんと点数化するため「スピーチ」の時間をとるようになった。60秒のスピーチを全員に言わせるだけで1時間は費やしてしまうのだ。
そのしわ寄せが、いわゆる「読み取り」の授業時間の削減と「作文」の時間の削減にきている。
読み取ったことを踏まえて自分の意見を書くという「まとめ」が甘いのかもしれない。
「分析批評」の授業においても「分析」の授業は、なんとかできるが、肝心なのは「批評文」を書かせることだ。
「評論文指導」「小論文指導」という観点で、国語の授業を考えてみたい。
続いて「読解力」についての文献整理。
ネット検索で次の資料がヒットした→ここ
日本の国語教育の定義する「読解力」と、OECDの「読解力」では意味合いが違う、というのが大方の意見である。
ということは、従来の読解力指導ではOECDの学力調査の成績向上をのぞめないのだと僕も思っていた。
先に述べたのは、OECD対応として「小論文対策」を導入することの提案であった。
ところが、リンクさせた篠田信司氏は次のように述べている。
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事実、現行中学校学習指導要領「読むこと」の内容に目を通してみると
「文章を読んで人間、社会、自然などについて考え、自分の意見をもつこと」
「目的をもって様々な文章を読み、必要な情報を集めて自分の表現に役立てること」
という記述があるではないか。
つまり、これらの内容まで含めて「読解力」ととらえるのであり、学習指導要領にはすでに示されているのだということを再認識していただく必要がありそうだ。
問題は、「正確に読み取る」ことを目標に行われてきた「よむこと」の学習指導過程に、「自分の意見をもち、自分の表現に役立てると」ということをどう組み込むかということと、それをどう評価するのかといった点にありそうだが、いかがであろうか。
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なるほど、第1級資料の中学校の学習指導要領の読みが足りなかったか。
ただし、感覚的に言うと、中学校の現場で「自分の意見を持つ」「自分の考えを表現する」ところまでを「読むこと」の範疇だと考えて指導はしていないと思う。
それは、リンク先にある通り、読みを深める段階には4つのステップがあり、
1・文字理解(文字が読める)
2・意味理解(意味・内容がわかる)
3・相手理解(相手の言いたいことがわかる)
4・自分理解(自分自身がすべきことがわかる
通常の授業では1・2、がんばって3まで行うのが精一杯だからだ。
強く意識しないと、そして効率よく授業しないと4まではもっていけない。
それにしても、 この1・2・3・4のステップも鋭い指摘である。
この指導ステップで、うまくいけないかなあと思う。
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