ドラゴン桜の作者(三田紀房氏)の話
先日、私学高校のイベントでドラゴン桜の作者である三田紀房氏氏のトークショーがあった。
講演会ではなく、トークショーだったのは、30分ほどの話と少々の質疑応答とサイン会(書籍販売)というプログラムだったからか。
脱サラして漫画家になったというのも不思議な話。
ご自身は東大出身でもないのに、詳しくノウハウが書けるのも不思議。
そんな興味があって、話を聞いた。
正直言って、「ドラゴン桜」の各講師ほど理路整然とした話し方ではなく、やや緩慢なところもあった。
会場が県下名門の滝高校だから、東大進学を目指す現役高校生が多いと思っていたのかもしれない。
保護者のような年齢層が多かったので、話す内容を変更すると話しておられた。
以下は、僕の勝手な要約。
「ドラゴン桜」の龍山高校の授業は、灘高校では、むしろ「普通」の授業である。
進学校の「普通」の授業が「意外」に受け止められる所に読者のニーズがあった。
当初は学校再建の弁護士の話のつもりだったが、読者の要望で東大合格のノウハウの形になった。
灘高校の生徒は、勉強でいかに楽をするか、いかに効率よく勉強するかを考えている。
そこで「本当の勉強とはそんなものじゃない」というような理想論を押しつけるのは子どもに酷だ。
とにかく、「受かる」ことに目標を絞り込んで勉強をさせた方が子どもは楽になれる。
・・・ただし「ドラゴン桜」の授業は、知的な好奇心を持たしているし、むしろ普通の授業よりもそれぞれの学問の本質に迫っていると思う。
普通の学校の授業に対して思っていたことは、「なぜ、いきなり授業を始めてしまうのか」。
なぜ、いきなり「教科書の○ページを開いて」なのか。
その前に、その教科の授業を行う意味だとか、教科の魅力を語ってほしい。あるいは、なぜこの方法の授業をするのかを語って欲しい。そうすれば、もっともっとその授業に興味を持てる。
・・・いわゆる「趣意説明の原則」である。
たしかに、「ドラゴン桜」の先生方は、授業方法の説明や、教科の本質を語ることで、授業を受ける生徒に納得させている。行動の意味が分かることは、行動の見通しが立てられることでもある。
これならやれそうだ・この方法なら実力がつきそうだ、という見通しがあるからがんばれる。
そういう意味では、趣意を語ることは「最後の行動まで示す」という原則にも通じるのだと思う。
なお、「家庭教師のトライ」での三田氏の対談がこちらで見られる→ここ。
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