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November 14, 2005

『震度0』 横山秀夫

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『半落ち』のような警察物のストーリー。
 「警察小説はここまで進化した!」という帯のコピーは派手派手しい。
 「阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の警務課長の不破義仁が疾走した」というのが、事件の発端。
 さまざまな人物が登場し、さまざまな事件が絡んで、どんな結末を迎えるのかとワクワクしながら読んだ。
 うーん、残念ながら、ラストにはガッカリ。
 もう少し、スケールの大きな展開になるのかと思った。
 本当に阪神大震災と関わりがあるのかと、(あるいは、いつになったら阪神大震災の現場と結びつくのかと)期待していながら読んだのに、N県内部の出来事という形で収まった。
 しかも疾走した不破の見つかった現場・結末といったら・・・・。
 作品の冒頭に登場した本部長の椎野が、ラストでガタガタになっていく様も尻すぼみのような印象を持った。
 警察内部はこうも複雑なのか、キャリア組とノンキャリ組のすさまじい出世の攻防は、正直言って難しかった。
 でも、そんな世界があるんだなあという意味では興味深かった。
 ラストの奥深さ、ヒューマンドラマとしての完成度から言えば『半落ち』の方に軍配が上がる。
 犯人が誰か、犯行の手口は何か、ではく、こういう内部のドラマが「本格警察小説」ということなら、それはそれでジャンルとして確立することを否定はしない。
 ただ、ミステリーや推理小説のつもりで読んだ僕には、やや肩すかしの内容だった。
 いつにない辛口批評は、期待が大きかった反動である。
 ちなみに、『半落ち』よりも『出口のない海』の方が好みである。

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