「よろしいですか」
『目からウロコ!日本語がとことんわかる本』(講談社+α文庫)というのが学級文庫にあったので一部だけ目を通してみた。
敬語の間違いを解説するコーナーで「いま、よろしいですか」という例があった。
形容詞に「です」は付かないのだということは以前から聞いていた。
だから、「よろしいですか」は間違いで「よろしゅうございますか」になるということは分かっていた(でも、現実的な言い方ではないとも思っていた)。
ところが、次のような記述があったのでびっくりした。
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なお<よろしいです><楽しいです>の、<形容詞+「です」>の形は、1952年に文部省が発表した『これからの敬語』で初めて認められた言い方です。それまでは、形容詞の丁寧形としては「よろしゅうございます」「楽しゅうございます」という言い方だけが正しいとされていました。
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なんだ、1952年に、形容詞+「です」はOKになっていたのか。もう50年も前じゃん。
じゃあ「よろしいです」でも、いいわけだ。
そして、知ったかぶりして「形容詞に『です』は付かないよ」などと言ってはいけないわけだ。
ところで、次の解説は読んでも読んでも分からなかった。
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ご用意してください
謙譲表現の標準的な形式「お(ご)・・・・する」を誤って使った例です。
謙譲語とは、自分あるいは自分側がへりくだることによって、相手を相対的に高める言葉です。
ところが、例文の「ご(用意)して」は相手の動作であり、敬うべき相手に謙譲表現を使っていることになります。大変失礼な言い方です。
正しくは「ご用意ください」「用意なさってください」です。
「お(ご)・・・ください(さる)」「・・・なさる」は、尊敬表現を作ります。尊敬表現は、相手を敬い、会話に出てきた第三者を敬う言葉です。その人ばかりではなく、その人の行為や状態、所有物にも使います。
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正解が「ご用意ください」なのは自然に分かる。
「ご用意なさってください」は二重敬語だから駄目だということも分かる(分かるけど使ってしまいそう)。
でも、上記の解説がどうにも理解できない。
「用意する」と「用意をする」では品詞が違うから扱いが違うようなのだが、一般的には差異など感じない。
それでも「ご用意して下さい」には違和感を持つ。ただし違和感を持つ理由がうまく説明できない。
要するに感覚的に敬語を理解できても、理屈で理解できていないから、生徒にきちんと教えられないのである。
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