「抽象化」とは
この間から、うまく自分の思いがまとまらない。
「構造化」「抽象化」「ラベリング」といったあたりの感覚である。
日本言語技術教育学会編の『言語技術教育10』(明治図書)をパラパラめくってみた。
P97で井上敬夫氏が「抽象化と吟味」について触れている。
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(前略)情報教育に働く思考は、その情報からどういう結論を導き出すかという方向よりも、一定の結論に対してそれに整合性のある具体的事例を収集する方向のほうが多い。
例えば、(中略)
このように、情報(具体例)は、一定の結論(抽象化)を絶えず意識して、比較検討しながら取捨選択されていれることになる。したがって、情報は、抽象化(結論)との比較(=吟味)がいつも必要になる。
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この引用部分そのものが、意見ー具体例ー意見の構造になっている。この構造がいかにポピュラーか分かる。.
井上氏の主張の本意とは異なるかもしれないが、意見文には2つのタイプがあることが分かる。
(1)ある情報から自分なりの結論を導き出す文章
(2)一定の結論に対してそれに整合性のある具体的事例を収集した文章
帰納的思考と演繹的思考と言っていいのだろうか。
前掲書P134では、喜岡敦治氏が「プレゼンテーションの技術」として「結論先行型」である「演繹法」の書き方を勧めている。
いずれにしろ、学校での国語教育の問題の1つは、具体と抽象の整合性を吟味することがあまり見られないことだ。それは教科書の文章は正しいという前提で授業が進められるからだ。
具体と抽象の整合性の吟味は「批判読み(けんか読み」という形で行われる。
フィンランドメソッドで言えば「批判的思考力」である。。
前掲書P100では加藤郁夫氏が次のように述べている。
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「論理」とは、そこで述べられている事柄と事柄の関係をいう。論理の吟味にも三つのポイントがある。「①事柄の選択は妥当か ②解釈は妥当か ③不整合(ズレ)はないか」の三つである。
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この引用の文章が、妥当性・整合性の吟味をしなければ加藤氏の主張を受け入れられない(例えば、ポイントは本当にこの三つだけでいいのか、という「批判読み」も当然生じてくる)。
加藤氏の主張が正しいなら、「論理的思考力」は「論理的に物事を考える力」である。
授業もこの3つの流れで進めれればいいことになる。
加藤氏の3つのポイントを同書P31で鶴田清司氏は次のように述べている。
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情報の真偽性(ウソはないか)。
妥当性(推論や判断は論理的に正しいか)
適合性(自分にとって必要は情報か)など。
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