「共通する16のつまずき」
2005年11月30日の中日新聞の文化欄に「共通する16のつまずき」と題する記事が載った。
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算数や数学が苦手な人は、昔も今も少なくない。従来、その原因は個人によってさまざまと思われてきたが、実は小学校から大学基礎レベルまで、難易度とは関係なく、共通する十六種類の単純な「つまずき」のパターンに分類できることが、東京理科大学の芳沢光雄教授の研究で分かった。
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その16の分類とは以下の通りである(自分の理解のためにも、きちんと入力してみる)。
①0で割れないなど、0と1についての特別な扱い。
②絶対値や微積分など記号の意味を誤解。
③2:3=4:6のように形は異なっていても数学的には同じものがあると分からない。
④数学的な「または」「かつ」「ならば」の用法と「矛盾」「についての誤解。
⑤マイナスの数どうしの掛け算の結果はプラスになることが分からない。
⑦計算する前におおよその見当をつけることができない。
⑧国語力不足から、説明文や問題文の意味が理解できない。
⑨「足してから掛ける」と「掛けてから足す」の違いなど順番の概念が分からない。
⑩方程式で移項するとプラスがマイナスになるなど逆になるという概念が分からない。
⑪個数の概念など、具体例の認識不足のまま抽象概念を学んでしまう。
⑫公式を理解したり、式を変形する時に十分に吟味していない。
⑬割合の問題で、「割る数」「割られる数」がどれか分からない。
⑭5個と5センチなど、同じ数を異なった単位で示せることが理解できない。
⑮立体の切断図が想像できないなど、図形的な体験不足
⑯「限りなく近づく」など、直感的な説明が優勢で本当の理解が進まない。
記事には「これまで、方程式、ベクトルといった内容別に引っかかっりやすいポイントを指摘した研究はあるが、小学校から大学まで通底する『つまずき』の分類は初めてとみられ、近く学会誌で発表する予定という」とある。
ベタ誉めの紹介記事になっている。
正直な感想を述べよう。
・このような「つまずき」の分類は大切である。
・しかし、この16で全部網羅できるのか。あまりにレベルの差を感じるものが羅列されている。
・しかも、小学校の教師なら、およそ実感している内容が多く、そんなに注目すべき内容ではない。
・むしろ、これを叩き台にもっともっと完成度を高めていくといいのではないか。
・ところで、この①から⑯の順番はどうなっているのか、もっと意味のある順番に整理したらどうか。
適当に並べるのではなく、順番を考えたり階層的に並べようというのが、僕の「構造化の自覚」の持論である。
・細かいことかもしれないが、文末表現が不統一で、それだけでも同じレベルで分類できるのかどうか分からない。自分なら文末は「できない」「わからない」「理解が足りない」「習熟が足りない」という表現で揃える。
とりあえず、次のように整理してみた。
<A 「数学的な知識(計算ルール等)」が身についていない>
①0で割れないなど、0と1についての特別な扱い。
②絶対値や微積分など記号の意味を誤解。
⑫公式を理解したり、式を変形する時に十分に吟味していない。
⑤マイナスの数どうしの掛け算の結果はプラスになることが分からない。
⑨「足してから掛ける」と「掛けてから足す」の違いなど順番の概念が分からない
⑩方程式で移項するとプラスがマイナスになるなど逆になるという概念が分からない。
<B 数学的な法則が十分理解できない>
⑪個数の概念など、具体例の認識不足のまま抽象概念を学んでしまう。
⑭5個と5センチなど、同じ数を異なった単位で示せることが理解できない。
⑬割合の問題で、「割る数」「割られる数」がどれか分からない。
③2:3=4:6のように形は異なっていても数学的には同じものがあると分からない。
<C 言葉の理解が足りない>
⑧国語力不足から、説明文や問題文の意味が理解できない。
⑯「限りなく近づく」など、直感的な説明が優勢で本当の理解が進まない。
④数学的な「または」「かつ」「ならば」の用法と「矛盾」「についての誤解。
<B 直感的な把握ができない>
⑦計算する前におおよその見当をつけることができない。
⑮立体の切断図が想像できないなど、図形的な体験不足
このように再分類することで
A・D:習熟練習を増やすことでクリアできるつまづき。
B :再度、概念規定の部分からやり直すことでクリアできるつまづき。
C :言葉の学習をきちんとすることでクリアできるつまづき。
というような対策も浮かんでくる。
私の分類も対策も『向山型算数教え方教室』(明治図書)の雑誌論文に比べたら、お話にならない低レベルである。ただ、それをアピールしないと、ちょっとした大学教授の調査結果にインパクト(知名度)で負けてしまうのである。
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