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January 17, 2006

直木賞受賞!「容疑者Xの献身」 東野圭吾

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面白い。
 昨年度の「このミステリー」第1位。直木賞受賞。うなずけます。
 『白夜行』以来の、久しぶりの東野作品でしたが、いいですね。
 概要は、次の通り。

天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。 

 いろいろ予習していると、「トリックに驚き」「ラストで感激」「貫いた愛」などなど。
 そんなにすごいのかなあとむしろ期待をふくらませないように心の準備をしておいたのだが、それでもトリックにやられました。
 ここでは書けないけど、そうか読者は警察と同じようにまんまと石神にだまされていたわけだ。
 容疑者も分かっているわけだから、どんでん返しなんてないはずなのになあと思っていただけに「そんなトリックがあったとは!」と驚くばかりでした。
 あえて苦言を呈すと、ラストでトリックの部分について語りすぎではないかな。
 『白夜行』は、登場人物の内面が語られなさすぎて、うなってしまいました。
 それと比べると、最後にわざわざ石神本人の内言を加えなくてもいいように感じました。
 そこは読者の想像で余韻を与えた方がよかったかも。

 中盤からは湯川博士との推理合戦でした。
 湯川博士さえいなければ完全犯罪成立だったわけですね。
 湯川博士が主役なら、まんまとトリックを見破って大喝采のエンデイングですが、石神を主役と考えると、結局は見破られてしまって、石神の希望はかなえられなかったわけで、その分、かわいそうな印象が強まりました。
 トリックを知った女性(靖子)が黙ってはいられないだろうという事を考えれば、結末は仕方ないか。
 好きな女性のためにそこまでできるの?
 自分を好きでない相手のためにそこまでできるの?
という疑問もあるようです。
 でも、ストーカーっぽくなってしまうけど、それは「あり」だと思います。
 好きな女性に幸せになってほしいといういちずな願い・・・それこそが「献身」だからね。

(追記)
『11文字の殺人』(光文社文庫)を読みました。
サスペンス溢れる本格推理!などと書いてあるのですが、『白夜行』『容疑者Xの献身』とはタッチが違い、展開が軽いなーという印象を受けました。
軽々しく殺人が続いていくあたりが、コミックの「金田一少年」シリーズのようです。
会話が多い点もコミックを読んでいるような気分になる原因でしょうか。
立ち読みした『白夜行』の文庫のあとがきに、人物の内面が一切描かれていないことに触れてありました。そうした描写の見事さに惹かれてしまうと、ぺらぺらしゃべりすぎたり内面を語りすぎたりする小説には、ややマイナス点をつけたくなってしまいます。

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Comments

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Posted by: Battle Camp Cheats | March 27, 2014 02:04 PM

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