芥川賞受賞作品『沖で待つ』
僕は月刊誌の『文芸春秋』で読んだので、単行本に収録された別の作品は読んでいません。
僕は、自分自身「です・ます」を好んで使うので、『沖で待つ』の文体が、自分レベルのように感じて、何となく「軽さ」を感じてしまいました。
聞くところによると男女の「恋愛」でも「友情」でもない、「同期愛」を描いたところがいいのだそうです。
芥川賞受賞の評の中にも、「女性総合職の出現によって女と男の対等に働く場が生まれた。それは新しい現実である」と書かれていたそうです。
「女と男の対等な職場」が新しい現実なのですか。
僕は小学校・中学校の教師をして20年ほどになりますが、ずっと男女対等な立場で仕事をしています。
男女の感情を超えた感覚は、僕にとってはむしろ当たり前のものです。
「同期」の感覚は十分共感します。
共感はありますが「新鮮味」はありませんから「新しい現実」とは思いません。
ですから、それで「芥川賞」か、と思うと、今ひとつ物足りないのです。
『蹴りたい背中』を読み終わった後の「え、これで終わり?」「え、これが芥川賞?」という感覚とよく似ていました。
読みやすさが、今後の読書活動のきっかけや、今後の表現活動のきっかけになるといいですね。
というわけで、中・高校生が「取り組みやすい・読みやすい・目標にしやすい」という意味でなら、この芥川賞作品は価値があるのかも知れません。
たとえば、直木賞作家の重松清ですが、受賞作品の『ビタミンF』は、特にどうとも思わない作品群でした。
『ビタミンF』で直木賞を取るなら、もっと前に別の作品で賞をあげればよかったのに、と思えるのですが、直木賞候補の順番待ちもあるようなので仕方ありません。
作家糸山秋子氏については『沖で待つ』でなく、別の作品を読んだ上で、もう一度コメントしてみようと思います。
実際、彼女の他の作品の方がいい、という意見もたくさんHPに出ています。
すでに何度も芥川賞候補・直木賞候補になっていたそうですから、別の作品を読んだ時「さすが芥川賞作家!」とうなるかもしれません。その感激を期待しています。
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