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May 27, 2006

愛国心と教育基本法改正(4)

Budda_1
 愛国心と教育基本法について述べてきたのは、実は、今日書くことの布石でしかない。
 本当は読書紹介をしたかっただけなのである。
 気合いを入れてリンクも貼ってまとめてみる。渾身のブログになると思う。

 最近、昼放課に学校図書館に行くと手塚治虫の『ブッダ』を繰り返し読んでしまい、他の書物にまで気が回らない。
 『ブッダ』の中には、うさぎのエピソードがたびたび登場する。

★おじいさんがおなかを空かせて倒れていた。
 熊や他の動物は食べ物を取ってきたが、うさぎはなにも持ってこれなかった。
 うさぎは、おじいさんに火をたくように頼みと、火の中に自らの身を投じ、自分の体をおじいさんに食べさせようとした。
 火の中に身を投じたうさぎが、月の中にいる。月の中に見えるうさぎは、このうさぎである。

 ぼくは、このエピソードを教育テレビの子ども番組で見て、衝撃を受けたことがある。
 正確なストーリーは次のものだと思う。→ここ
  『ブッダ』では、この「献身」のエピソードが、1つの教えとして語りつがれ、またこのうさぎと同じような献身の場面が登場する。
 ブッダ(手塚版のブッダ)は、どんな厳しい修行よりも自らの命を犠牲にする行為の難しさと尊さを説いている。
 
 身を投じたうさぎに衝撃を受けた僕は、結構この手の話に弱いのだと自己分析している。
 HPにした「輪中の人々を救った話」も、要するに自己を犠牲にして村人を救った人たちの話である。
 『塩狩峠』の、自ら身を投じ列車事故を防いだというラストは圧巻だった(キリスト教の教えでしたね)。読後しばらく自分もつつましく生きようと決意した覚えがある。実話に基づいていたというのも衝撃的だった。
 絵本の『泣いた赤鬼』は、自分が嫌われ者になって友達を救うという献身的なストーリーの絵本である。
 絵本の『八郎』は、自らの体を投げ出して村の人々を救う。不正確だが「おれは、この日のために生きてきたんだ」と胸を張って身を投じ荒れた海を封じ込めた話だったと記憶している。
 映画『インデペンスデイ』では、大統領の戦闘機が襲われそうになった時に「援護します」と別の戦闘機が身代わりになって爆撃された。しかも、ラストはおじいさんの戦闘機が自爆して敵を破壊したことで平和が取り戻される。
 映画『アルマゲドン』も同じで、ラストはブルースウイルスが自爆して隕石を爆破して地球の危機を救う。
 『デイープインパクト』も展開と自己犠牲のラストは同じである。また「デイープ~」では、父母が「自分たちのことはいいから早く逃げろ」と子どもをせき立てる場面があり、子どもの命を優先する親の気持ちが伝わってくる。
 映画『ポセイドンアドベンチャー』もラストで神父が自分の身を投じてバルブを閉め、仲間を救う。小学校の時、映画館で衝撃を受けた。
 『タイタニック』も彼女ローズを救うため、デイカプリオは犠牲になる。
 春日井市には、村の治安のために「人柱」の形で身を投じた少女の話(「15の森」)が伝わっている。「人柱」伝説は日本中にある。
 
・・・このような実話や小説や映画が感動を呼ぶのは、「自己犠牲」は容易ではない行為だからだ。
 それでも、いつの世も「自己犠牲」「献身的な行為」は存在する。「殉職」という言葉も存在する。
 民家への被害を避けるため自分の命を犠牲にした「自衛官の殉職」という授業実践もある。
 その自己犠牲が、我が子のため、家族のための場合もあるだろうし、もう少し拡大して、隣人や困っている人の場合もある。
 木曽川の輪中を救った人々は、何の関係もない薩摩藩の武士たちであるが「同じ日本人が困っているのだから薩摩藩の威信にかけて堤防を作ろう」と江戸幕府の無理難題を引き受けた。
 仕事へのプライドとして、献身的に職務に徹する人は今もたくさんいるはずだ。
 ちなみに先の「自衛官の殉職」のHPには次のように書いてある。
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 自衛隊の皆さんは,入隊するときに次のことを約束するそうです。
  『国民の生命財産を守る,その使命のためには命を懸けても自分の役目をやり遂げる』と....。
  この約束をしっかり守り,他の人たちの命を守るためには自分の命を捨ててもかまわないと,  このギリギリの瞬間にためらうことなく決断できた航空自衛隊の隊員が二人いたことを,私達は胸に刻んでおきたいですね。
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・・・・以上が僕のとらえた「家族愛」であり「隣人愛」であり、「思いやり」であり、「愛国心」である。
 地震が起きた現場に駆けつけて自分の命を危険も省みず災害救助に尽くす人々は、「愛国心」など意識していないかも知れないが、結果として立派に国民を守っており、「愛国心」を体現している。
 「愛国心」の教育は戦争に人々を駆り立てるから駄目だという。
 その理屈で言うと災害が起きた時に「危険だから災害救助に行くのはやめなさい」ということになる。
 人の命より自分の命を大事にするのは自然である。誰も止められはしない。
 しかしながら、「人の命より自分の命を大事にするのは当然」だと言い切るのは、誤解を恐れずに言えば「エゴの論理」であると僕は思う。
 
  「ここは自分がやるしかない」「自分がやらないと沢山の命が失われる」と判断したときに自らの命を賭けて(あるいは自らの命を投じて)仕事を成し遂げる人がいる。
 そのような人を尊敬し、そのような人の活動に感謝し、いざとなったら自分もそうするぞと思えるような世の中でありたい。
 

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