江戸しぐさ(2)
「江戸しぐさ」の中に「うかつあやまり」というのがある。
自分が相手に迷惑をかけたときに謝るのは当然で、この場合は謝られる側も「いえいえ、こちらこそ、うっかりしておりました。申し訳ありません」と謝ることを言う。
◆こちらに手落ちがなくても「すみませんが○○していただけませんか?」と腰を低くしてお願いする。
◆相手に否があっても「わざわざ学校に来ていただいてすみません」「何度も電話してすみません」と相手への配慮を忘れない・・・そんな教師でありたいと思う。
子ども相手の授業で「・・・しなさい」「・・・して当たり前です」と言う態度を、保護者相手にしてはいけない。
そんなことは当たり前ではあるが、心の奥の部分で「・・・してやっている」「本当は保護者が謝るべき問題だ」というように思っていると態度に出てしまうこともある。
そのような態度をいさめたのが「さしのべしぐさ」である。
『身につけよう江戸しぐさ』越川禮子 KKロングセラーズには、次のように書いてある。
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困った人の相談にのってあげることは大切なおつき合いのひとつだけれど、助けてやろうなどという根性は傲慢すぎます。
見下ろししぐさでなく、相手の立場を理解し、相手の自主性を重んじ、それから手を貸すこと。これができる人を「一人前の大人」といいます。
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電話や家庭訪問といえば、心がけたいのが「時泥棒をしない」という点だ。相手の都合を考えず、いきなり押しかける「時泥棒」は、死罪にも相当する「弁財不能の十両の罪」と呼ばれていたそうだ。
そして、もう1度話をしてみたいという名残惜しい気持ちになってもらう心遣いを「あとひきしぐさ」、相手が見えなくなるまで見送る「見送りしぐさ」。
モンスターのような保護者も多い時代ではあるが、「うかつあやまり」を筆頭とする「江戸しぐさ」の気持ちを保っていたいと思う。
えっ、それがどうしたの、だって?
せっかくいい気分で書いているのに、その気分を冷ましてしまうのは「水かけ言葉」「刺し言葉」と言われ江戸人にはタブーだったのだと。
「でも」「だって」「しかし」「そんなこといっても・・」というような未練がましい・言い訳がましい言葉は「戸閉め言葉」として嫌われた。
「へりくだりしぐさ」の観点からすると「知ってますか」はNG。
「稚児しぐさ」の観点からすると、「わからない」はNG。
相手が乱暴な言葉を使ったら自分に非があると思え。
・・・耳の痛い言葉も多いが教師にとっては心したい仕草ばかりである。
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