ワーキング・プアの問題
教育雑誌『教室ツーウエイ』の9月号は「フリーター・ニートを考える授業」を特集していた。
全国キャラバンしている鳥居徹也氏の授業を中心に紹介されている(鳥居氏の著書は『フリーター・ニートになる前に読む本』)。
フリーター・ニートにならないように意識づける指導は大切だ。
軽い気持ちで「フリーターでもいいや」「正社員はシンドイから非正社員でいい」なんて行って欲しくない。
「一番光っているのは派遣社員の○○さん」なんていうCMで、派遣もカッコいいかなんて思っている子も多いかもしれない。
「アウトソーシング」って響きはいいけど、外部委託、つまり派遣社員のことだ。
企業のコスト削減のためには非正規社員は都合がいい。給与は正規社員の6~7割でいい。
しかし、都合良く使われる派遣社員の生活は大変だ。いつ無給になるか分からない。
そのような状況を表す言葉が「ワーキング・プア」だ 。
私は、今日『文芸春秋』9月号の後藤正治氏の「ワーキング・プアの時代」を読んで初めて知った。
内容の深刻さもショックだったし、今頃知った自分に対してもショックだった。
NHKでは、つい最近特集を行っており(見逃した)、かなりの反響だったという→ここ。
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働いても働いても豊かになれない…。どんなに頑張っても報われない…。
今、日本では、「ワーキングプア」と呼ばれる“働く貧困層”が急激に拡大している。ワーキングプアとは、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たちだ。生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の1。400万世帯とも、それ以上とも言われている。
景気が回復したと言われる今、都会では“住所不定無職”の若者が急増。大学や高校を卒業してもなかなか定職に就けず、日雇いの仕事で命をつないでいる。正社員は狭き門で、今や3人に1人が非正規雇用で働いている。子供を抱える低所得世帯では、食べていくのが精一杯で、子どもの教育や将来に暗い影を落としている。
一方、地域経済全体が落ち込んでいる地方では、収入が少なくて税金を払えない人たちが急増。基幹産業の農業は厳しい価格競争に晒され、離農する人が後を絶たない。集落の存続すら危ぶまれている。高齢者世帯には、医療費や介護保険料の負担増が、さらに追い打ちをかけている。
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「今年の流行語『ワーキング・プア』」というブログもあった。
この話題は重い。
政府は昨年5月に「20万人常用雇用化プラン」を提唱し、企業に正社員の採用拡大を求めたと言うが、正社員の割合でも義務づけない限り、正社員は増えない。コスト削減しなくては企業の利益が上がらないからだ。
鳥居先生の授業は「努力」で願いを実現させようとさせている。
しかし、企業がますます派遣社員やパートやアルバイトのような非正規社員を増やすのだとしたら、個々の努力では何ともならない事態に陥る。せいぜい「正社員になったら簡単にやめるなよ」ぐらいか。
次期首相候補の安倍さんは再チャレンジのできる社会を提案している。
政府の「再チャレンジ推進会議」の議長は安倍晋三官房長官である。
神戸製鋼という民間企業経験のある安倍さんに期待していいのだろうか。
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