がんばれソフトバンク?
「フリーター」のような非正規社員の過酷な現実をどうすればいいか。
環境問題と同じように「困った問題だね」と憂いているだけでは、教育にならない。
まずは、正規社員の採用をすすめる企業を称えることから始めようか。
2005年に非正規社員よりも正規社員を積極的に採用したのがソフトバンクである。
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/mori/20040524n275o000_24.html
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20065871,00.htm
ただし、手放しで喜べない理由がシロウトの僕にも書ける。
正規社員採用の、もともとの理由は非正規社員による情報漏洩の影響で100億円以上の損失があったからだ。
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顧客情報漏えい問題の影響としては、対策費用として31億7600万円の特別損失を計上した。解約率も2004年3月が1.89%、4月が1.57%となっており、前年に比べてわずかながら上昇している。また、今後の情報漏えいを防ぐために新規顧客契約時の内部プロセスを増やしたことから顧客獲得効率が下がっているといい、「営業コストを考えると100億円から200億円ほどの影響があった」(孫氏)としている。
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この事件がなかったら、ずっとパートタイムでの雇用が続いていたのかもしれない。
誤解を恐れずに言えば「動機が不純」なのである。
しかも、孫氏の次の発言は要注意である。
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Yahoo! BBを運営するソフトバンクBBでは、今後の戦略として更なる事業規模拡大のために正社員の比率を増やす方針だ。現在パートタイムで雇っているコールセンターの人員などを正社員に変更する。2005年度に新卒を3000名、中途を1500名採用する方針。これによりソフトバンクBBの人員が全体で1000名ほど増えることになるが、「単価はパートタイマーよりも新卒のほうが安く、コストは変わらない。しかし正社員のほうが(会社に対する)ロイヤリティが高く、生産性や顧客満足度が上がる」と孫氏は説明する。「(Yahoo! BBの)ビジネスモデルに確証が持てた。これからは効率を上げるように駒を進めていく」(同氏)
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「単価はパートタイマーより新卒のほうが安く」とある。
安いから新卒採用をすると断言しているわけだ。
パートタイマーなら給料を上げなくてもいいかもしれないが、正規社員となればそうはいかない。
いずれパートよりも新卒採用の方がコストが上がる時期が来る。
「正社員の方がロイヤリテイが高い」というメリットを単価の安い新卒でなく、単価の高い10年社員・20年社員にも感じられるのかどうか。
「単価が安いから」というのも、私企業としては当然ではあるが、動機の不純さを感じてしまう。
「単価は高いが、正社員のほうが(会社に対する)ロイヤリティが高く、生産性や顧客満足度が上がる」と言ってほしかった。それなら心からエールを送れる。
さて、2005年度の採用は正社員(新卒)増だった。
翌年度の(あるいは今後)の採用は、どうなのだろうか。1年こっきりの方針ならがっかりだ。
2005年度の新卒社員は元気だろうか。パートの方が安上がりだからと嫌みを言われたり、肩叩きされていないであろうか。
そのような心配をクリアできるなら、ソフトバンクの採用方針を賞賛していきたいと思う。
なお、正社員優先と言えば、「カンブリア宮殿」で紹介された、樹研工業。
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採用は先着順、学歴・国籍・性別は一切問わない。元ヤンキーら若者たちが現場を仕切る。
賃金は、年功序列制。出張するときは、全社員がグリーン車使用。
会議は自由参加。残業は申告制。
定年制は、ない。
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優秀な人を採用するのではなく、採用した人を優秀にしていくという発想が樹研工業にはあるようだ。
なお、「カンブリア宮殿」では、以前放映した「岡野工業」も素晴らしかった。
従業員6人で世界で唯一無二の製品を仕上げる町工場である。NASAが依頼に来るほどだ。
「寄らば大樹」で必死に大企業への就職に固執することはない。
樹研工業・岡野工業の成功は、日本の底力を感じさせてくれる。
(あれ?、タイトルは「がんばれ、ソフトバンク」だったのに・・・)
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