授業の中でいじめ対策をする
中1の国語の時間。「四字熟語」の指導場面だった。
「針小棒大」という言葉が出てきた。
「しんしょう」と言うだけで、どのクラスも男子を中心にざわつく。
子どもたちにとって「しんしょう」は「身体障害者」の略の「身障」である。
そして、この「身障」は、いじめの言葉・差別の言葉なのである。
子どものざわつきに一言。
「どこのクラスでも『しんしょう』というだけで騒ぐ奴がいる」
むっとした態度を表して言うと、ふっと静かになる。
言ってはいけない言葉と知っていて使っている。
だから、たしなめられれば「まずい」と思う。
このように、授業中のちょっとした場面での指導の繰り返しが大事なのだ。
「針小棒大・・・針のような小さな事を棒のように大きく言うことです」
と解説すると「大げさだ」というような声が聞こえる。
「小さな事を大げさに言いふらすのはよくないよね。トントンと肩をつついだけで殴られたって言われたらたまらないよね」と話し、続けて逆のことも言う。
「でも、中には『針小棒大』の逆で、棒のように大きな出来事を、小さく言う子もいます。さんざんひどいことをしておいてそんなつもりじゃなかったとか、そんな強くやっていないよとか言ってごまかそうとする子です。『棒大針小』ですね。こっちも気をつけないといけません」
このようなことは教科の指導内容には含まれていない。
でも、時期が時期だから、いろんな場面で生活指導や生徒指導やいじめ防止の指導を入れていく必要がある。
とりたてて1時間学年集会をして説教するよりも、日常の5秒・10秒の話の方が効果がある。
必修科目の授業をどうするかも大切な問題だ。
しかし、教師の裁量や英断で授業内容を臨機応変に考えていくことも、目の前の子ども達のためには、とても重要な問題である。
必修科目しかやらない、言われたことしか教えないという教師集団になってしまったら、それもまた「教育の崩壊」なのである。
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