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November 28, 2006

いじめ加害者を出席停止

 いじめた加害者側の児童・生徒を出席停止にするという提言を教育再生委員会がしたという。もちろん実現するには様々な手続きが必要だから、すぐに適用されることはない。
 ちなみに、現行法(学校教育法)を確かめてみる。詳細はここ

2.児童生徒の問題行動への適切な対応

小学校及び中学校の出席停止については、(1)他の児童生徒に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為、(2)職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為、(3)施設又は設備を損壊する行為、(4)授業その他の教育活動の実施を妨げる行為、を繰り返し行う等性行不良であって他の児童生徒の教育に妨げがあるときに命ずることができることとし、要件の明確化を図る。
また、出席停止を命ずる際には、保護者の意見の聴取を行う等、手続の明確化を図る。
さらに、市町村の教育委員会は、出席停止の期間中の児童生徒の学習の支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。(第26条関係)

 現在の法令でも、心身の苦痛を与える場合は出席停止を命じることができる。
 しかし、なかなか適用されることがなかったから「きちんと適用していじめを防ぎなさい」ということなのだろう。
 「いじめ」の加害者は許されないぞ、という通達である。
 このようなニュースが流れることで、抑止効果が期待できる。
 ただし、「いじめ」の加害者が、警察できちんと事情聴取・補導・逮捕されるシステムが望ましい。教師は自白を強制するような権限(懲戒権)はないからである。
 教員採用試験で勉強したように、法務府の見解(「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」)の中に次の項目がある。

(オ)盗みの場合などその生徒や証人を放課後訊問することはよいが、自白や供述を強制してはならない。

 さて、上述したように、出席停止を命ずる際は「保護者の意見の聴取を行う」とある。
 ということは、出席停止を了承してもらおうと教師が連絡をした時に、保護者が次の形で拒否したら話が進まないということになるのだろう。
◆うちの子は「いじめ」をやっていないと言っている。「いじめ」たつもりはないと言っている。
◆以後気をつけるから、許してほしい。

  つまり、
1)被害者が、いじめの事実を認める
2)加害者も、いじめの事実を認める
3)加害者の保護者も、いじめの事実を認める
4)教育委員会が、いじめの事実を把握している


の4つが揃わないと「出席停止」にはならないということだ。
 ということは、逆に「出席停止」させられるほど「いじめ」の実態が明らかならば、わざわざ「出席停止」という手段を用いなくても、解決の方法はたくさんある・あるいは、いじめが既に解決に向かっているということなのである。

 今、問題なのは
1)自殺するまで被害者が誰にも打ち明けないような「いじめ」がある。
2)加害者に、被害者を苦しめているという自覚のない「いじめ」がある。
3)「いじめ」の実態が双方の保護者まで把握できていない場合がある。
4)「いじめ」の事実が学校全体や教育委員会まで伝わらない場合がある。
というようなケースなのではないかと思う。
 これでは「出席停止」の適用は夢のまた夢だ。
 「出席停止」の実行は容易ではない。
 でも、このような方法があることを知って救われる子もいるのだろう。
 法で守られているから安心してね、というアピールで救われる子もいるのだろう。
 あれこれケチをつけて、いじめ対策を否定することでは、被害者は救われない。
 その点において「いじめ加害者は出席停止」という方法に賛成である。
 

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