デイベート型思考の問題点(2)
「けんかをした友だちに謝るにはどんな方法がいいか」
という論題は、ズレが起きる。
「けんか」という言葉のイメージがさまざまだからだ。
殴り合いのケンカをした場合と、ちょっとした口げんかでは、謝り方が違うし、許し方も違う。
今けんかして謝るということなら、別に電話や手紙を使うまでもない。今、直接謝ればいいのだ。
だから、「口げんか」ということでイメージを統一しよう。
「謝ろうとしたら帰ってしまった。明日学校で会えるけど、どうするか」という状況に統一しよう。
ということにする。
ただし、実際に授業してみると、これでも不十分だった。
・ 「口げんか」といってもどれくらいなのか。自分の方が悪いのかどうかで謝り方も違ってくる。
・それほどたいしたことのない口ケンカなら、わざわざ家まで行って謝るのは大げさすぎるし相手に迷惑だ。
・ケンカしたのは、いつのことなのかが分からない。
などといった場面設定の不備が質問されてくるのである。
僕は、このように慎重に疑問を呈する子は「よく考えている素晴らしい子」だと思っている。
このように論題に対して慎重になることは、とっても大切なことである。
ぱっと状況を見て、安易に断定するのは危険な行為である。
マスコミの学校批判も時に一面的・独善的であることが多くて辟易する。
「いじめ」という言葉で表現してはいけない犯罪行為を「いじめ」と断じたり、一部の保護者や有識者の意見を「総意」のような扱いで流したり・・。
「想像力がある子は思いやりがある」とたびたたび主張しているのは、この意味である。
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