『武士道』 新渡戸稲造 PHP文庫
新渡戸稲造の『武士道』をこの秋に読んで、感銘を受けた。
『国家の品格』が「武士道」に言及していると知ったのは、その後のことである。
『武士道』のブームは、2・3年前から始まっており、『国家の品格』は今年ベストセラーになったことで『武士道』もますます脚光を浴びている。。
武士道というと猛々しいイメージがあるが「金銭よりも道徳を上に見るという日本人の精神性の高さの現れ」だと藤原氏は言う。
まず、仏教、特に禅から、運命を引き受ける平静な感覚と、生を卑しみ死に親しむ心を貰いました。儒教からは君臣、父子、夫婦、長幼、朋友の間の「五倫の道」や、為政者に民に対する「仁義」を取り入れました。神道からは、主君に対する忠誠、祖先に対する尊敬、親に対する孝行などの美徳を取り入れました。
最も中心にあるのは、日本に昔からあった土着の考え方です。日本人は万葉の時代どころか、想像するに縄文の時代ですら、「卑怯なことはいけない「大きな者は小さな者をやっつけてはいけない」といった、皮膚感覚の道徳観、行動基準を持っていたのではないかと思います。
武士道の精神や教育勅語の教育が悲惨な戦争をもたらしたという批判があるが、これに対し藤原氏は、むしろ武士道精神が衰退したからこそ卑怯な中国を侵略した・「無意味で恥ずべき関東軍の暴走」だと書いている(P120)。
そういう見方もあるのだという意識で、昨今の「教育基本法改正反対」の意見を読むと、かみあっていないと思うことも多い。
例えば12月24日の中日新聞の社説→ここ
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