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December 25, 2006

「愛国教育」の社説について

 12月24日の中日新聞の社説は「気になる『愛国教育』」というタイトルだった。

◆「国を愛する態度を養う」ことが教育の目標に加えられました。さまざまな危うさを感じます。「いつか来た道」にならないか。ことし一番心配になったことです。
・・・・・・こういう言い方は「戦争を再び繰り返す」という意味を含んでいる。

◆「『国を愛する態度』とは、歴史や文化、伝統、自然を愛する気持ちをはぐくむことだ。統治機構としての国が行うことを愛せよということではない」
 安倍首相は、こうした答弁を何回も繰り返しました。
◆「学校で歴史的な事実を教えることで、結果的には国を愛する態度が養われてくる」
 歴史教育の必要性を強調した伊吹文明文科相の答弁です。「愛国心は結果」はその通りと思います。
 学校では、各教科で歴史、伝統、文化、風土などをしっかり教えることです。そこまでで十分です。
・・・・・・安部首相の考えも、伊吹文科相の考えも、大方の基本法改正賛同者も同じである。
 「学校では、各教科で歴史、伝統、文化、風土などをしっかり教える」。
 だから、教えたことには評価も実施する。別に何の問題もない。
 なのに、一方で、次のような批判を持ち出す。
◆ 「国を愛する態度」の表し方を文部科学省や教育委員会が決め、学校へ指示、命令することはないのか。
・・・・・・社説氏が、そこまでで十分と言い切る「各教科で教える歴史、伝統、文化、風土」について、その具体的な内容を教育委員会が決め、学校へ指示、命令することはありうる。
 そして、その授業を受けた子ども達の関心・意欲を評価することはありうる。歴史・文化などについての知識を教えていればテストにだって出題されるだろう。
 「歴史・文化・風土を学ぶ関心・意欲・態度の評価」を「国を愛する態度の評価」という言葉でイメージ操作しているようにしか思えない。

◆時の軍部独裁政権は「忠君愛国」の名のもとに国論を統一し、「国のために命をささげる」教育を徹底しました。その結果、「一億火の玉」、無謀な戦争に突入して、この国は亡国寸前の憂き目を見ました。
・・・・・・責められるべきは「時の軍部独裁政権」であり、軍部独裁政権を止められなかった時の野党・時のマスコミ・教師・市民、全てではないのだろうか。
 戦勝を讃えた新聞記事は「国のために命をささげる」風潮をあおってきたではないか。
 
◆先輩や私たちは、敗戦の廃虚の中から立ち上がり、少しでも豊かな国へと勉強し、額に汗して働いてきました。口にしなくともこれは立派な愛国心でしょう。
◆戦前の失敗から多くを学び、占領下でも英知を駆使して、少しでもいい国へと努力した結果としていまの日本があります。
・・・・・・そのような礼賛すべき日本人の姿、昭和30年・40年代の高度経済成長の時代まで話ではないか。
 「額に汗して働かない」堀江社長や村上社長が持ち上げられたこの1年間を総括してみれば、現代が「少しでも豊かな国へと勉強し、額に汗して働いて」いるとは思えない。
 戦前まで話を戻さなくてもいい。
 社説氏の言うように、戦後復興に努めてきた日本人のように「少しでも豊かな国へと勉強し、額に汗して働く」人が尊敬されるような時代にしたいと思う。

◆いまこの国には排他的で偏狭なナショナリズムがはびこっています。 こんな風潮や戦後認識が国を愛する教育に反映されては大変です。偏狭な愛国教育は亡国を招く-これが戦前の教訓の一つです。
・・・・・・ベストセラーの『国家の品格』に目を通していれば、「愛国心」を「ナショナリズム(国益主義)」と「パトリオテイズム(祖国愛)」を区別して論じることは当たり前で、むしろ、ここで『偏狭なナショナリズム」という言葉を持ってきたのは、この2つの言葉の違いが分かっていて持ち出した確信犯的な論法である。
 藤原氏は「パトリオテイズム」の中身を「自国「国を愛する心」がこちらの意味であることは明らかである。
 それなのに藤原氏が「あさましい思想」「不潔な考え」「戦争につながりやすい考え方」と批判する「ナショナリズム」を唐突に持ち出す社説氏の論法の何と不当なことか。
 
◆本来、政治家がやるべき仕事は、国民に国を愛せよと言うことではなく、国民が愛するに値する国づくりに心血を注ぐことでしょう。
・・・・・・これは分かる。その通りだと思う。同じ論法で言えば「本来、教師がやるべき仕事は、国民に国を愛せよと言うことではなく、国民が愛するに値する国の魅力(歴史・文化・伝統)を伝えることに心血を注ぐことでしょう」ということになるだろうか。
 どんな教師も「国を愛しましょう」などと、みっともなくて口に出さない。
 そのように口にするだけで国を愛する心が育つなどとは誰も思っていないからだ。

★今回は、いつになく長々と引用しているので中日新聞社に引用許可の問い合わせをした。
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お申し出の件は、新聞記事の二次利用に当たりますので、著作権に関係してくるように思われます。弊社の著作権を管理しているのは、名古屋本社メディア局データベース部著作権課です。お手数をお掛けいたしますが、同課に見解をお聞きいただいて、その指示に従ってください。同課には名古屋本社の代表電話052(201)8811で繋がります。 よろしくお願いいたします。                   中日新聞読者センター
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★電話したところ、常識の範囲内の引用はOKと言われた。ただしリンクについては別の部署ということで、電話番号を教えていただいた。指示に従い中日新聞HPトップページ下の「リンク」からメールで申請をした。

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