寺子屋のテキスト~「往来物」~
日本の道徳について、関心を持つと、教育勅語・武士道といった戦前から明治初期の教えに遡る。
『国家の品格』にも出てくるから、今話題の部分である。
そして、武士道のベースとなる教えを、もっともっと遡れば神道や儒学・仏教の教えに遡る。
「論語」の知恵なども、日本の伝統となって染みこんでいる。
では、明治時代と大和・奈良時代の中間にある江戸時代あたりはどうか。
先日は「童子訓」というものを調べた→ここ 別の目的で購入した『サライ』1月18日号をパラパラめくったら、江戸の寺子屋の解説があった。
そこで出てきたのが「往来物」という寺子屋でのテキストだ。
「往来物」で調べていくと、詳しいサイトがあった。
http://www.bekkoame.ne.jp/ha/a_r/indexOurai.htm
しかもNHKの昨年の10月の教育番組で特集をしていたことも分かった。
テキストのバックナンバーをあわてて注文するとして
HPをパラパラ眺めてみる。
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200610/thurseday.html#2
江戸の教科書として使われていた「往来物」は職業別に細かく分かれていた。
商家の子には「商売往来」、農家の子には「百姓往来」、船大工には「船由来記」、子ども達は各々将来の仕事を見据えつつ職業用語や心構えを学んだ。
ところが不思議にも、この往来物には実際に役立つ仕事上のマニュアルは殆ど出てこない。
本当の職業技能は実地によってしか身につかないと誰もが思っており、子どもにはあえて書き物でのマニュアルを与えなかったのである。
往来物を入り口に「子どもにはみなまで教えず自分で工夫させる、考えさせる」という江戸の教育の大方針を描く。
文字で伝えられないから実地で修行する(丁稚奉公も、これに該当するか)。
そのような伝統の文化が日本にはあった。
ちなみに6月に「江戸しぐさ」について興味を持った→ここ
ウイキペデイアにも次のようにある。
江戸しぐさ(えどしぐさ)は日本における江戸期の商人の生活哲学・商人道。しぐさは仕草ではなく思草と表記する。もともと商人(あきんど)しぐさ、繁盛しぐさといわれ多岐にわたる項目が口伝により受け継がれたという。現代の世相に鑑み江戸人の知恵を今に生かそうという観点から教育界・宗教界の一部で注目され始めている。
商家に伝わる門外不出の未公開の処世術あるいは、倫理観、道徳律、約束事ともいうべきものであろうが、未公開かつ口伝であったことから正確たる文書は現存せず芝三光(しば・みつあきら)(本名=小林和雄)とその後継者により普及されてきた。
「しぐさ」も文字で伝えられないと書いてある。
文字で表せない江戸の文化について調べてみようと思う。
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