拝金主義
『武士道』(PHP文庫)のあとがきで岬龍一郎氏が次のように書いている(P218)
バックボーンたる精神を捨てれば、それに代わるものとして登場するのは、目に見える物質主義となるのは必然である。いわば戦後の日本が、経済至上主義のもとで効率だけをもとめ、私利私欲のエコノミック・アニマルと化したのも、当然の帰結だったといえる。そして、その結果として、”拝金教”のみを信じ、社会人として守るべき公徳心を忘れ、人情をなくし、住みづらい世の中を作ってしまったのだ。『国家の品格』の藤原正彦も「ルールさえ守ればいい」「儲かればそれでいい」という現代の風潮を批判している。
時代の寵児と、もてはやされた堀江社長。
同じく他人のお金の運用で巨額の富を気づいた(失った?)村上ファンドの村上社長。
「お金を儲けて何が悪いのか」という開き直る彼らのやり方は、「日本人」の大方の支持を得られなかった。
お金と切り離して生きることはできない。
フリーターの問題は正社員の6割程度の賃金しか得られないことでもある。
でも、お金さえあれば「何をしてもいい」「何でもできる」わけではない。
「拝金主義」なんて、品のない言葉だ。
マイナスイメージを強調するにはいいが、必ずしも悪ではないお金儲けを正当に評価する言葉はないのだろうか。
注 岬龍一郎氏には『新・武士道~いま、気概とモラルを取りもどす』(講談社α文庫)という著作もある。その序章でも上に記したことと同じような内容(岬氏が新渡戸『武士道』にひかれた理由も)書かれている。この本についてもきちんと読みこんでみようと思う。
注 『文芸春秋』1月号に「武士道の奥義を極める10冊」が紹介されているが、この中では新渡戸「武士道」以外、入手していない。自分の中では「武士道」は、もういいかなという思いもあるが、これだけ目にしていない本があると、もう少しがんばってから次へ行こうかなとも思う。
斉藤孝氏が薦める「偉大なる生涯・伝記10冊」も、篠沢秀夫氏が薦める「日本の素晴らしさを伝える10冊」もなかなかおもしろそうだからだ。
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