エタノール燃料の未来は明るいか
国語の教材『未来をひらく微生物』の中でバイオエタノールの話題が出てくる。
石油の枯渇問題を解決できると考えると、環境にもやさしいし、未来も明るいなあと思えてくる。
ところが冬休みの間のテレビのニュースで「石油代替えの需要のため穀物・砂糖・食用油の値上がり」といった話題を数回目にした。
ネットのニュースでは次のように。
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200611080018a.nwc
米国でトウモロコシが急騰し、食品業界や畜産業者の経営を圧迫している。トウモロコシを原料にしたガソリン代替燃料のエタノール生産が急拡大しているためだ。需給が緩和する見通しは立っておらず、一段の上昇を予想する声も出ている。
AP通信などによると、トウモロコシ価格は米シカゴ商品取引所で先週、約10年ぶりの高値水準となる1ブッシェル(約25・4キロ)=3・4475ドルを記録。2ドル台前半で推移していた9月前半に比べ50%近くも上昇した。
原油価格が高止まりしていることを受け、エタノール燃料の需要が増加。自動車燃料としてガソリンに混ぜて使われるエタノールの原料としてトウモロコシが大量に消費されているためだ。
穀物の代わりに家畜の脂肪を利用するという動きもあるらしい。
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200701090021a.nwc
トウモロコシの価格が上がると、途上国での食料不足を引き起こす。
日本は大丈夫だと思ったら大間違いで、家畜飼料が打撃を受ける。もちろんコーン油も。
サトウキビも同じような状況なら「砂糖」の値上げは多くの食品に影響する。
新聞を整理していたら関連記事があった。
1月4日の中日新聞のシリーズ「資源有事」の3
国連世界食糧計画(WFP)によると、飢えに苦しむ人は約八億人。トウモロコシなどは最貧国への主要な支援物資だが、貧しい人の口ではなく、自動車の給油口に注がれることは、世界規模での飢えを誘発することになる。
もう1点驚いた点がある。
・環境省は2010年までに原油換算50万キロリットルのバイオガソリンの普及を目指している。
・農水省は年間ガソリン消費の1割に当たる600万キロリットルの生産計画を掲げている。
・ただし600万キロリットルのエタノールを製造するには、今ある日本の水田・休耕田を全てつぶしても計算上は届かない。
・だからといってエタノール生産を輸入に頼れば、現地の森林伐採・環境破壊を招きかねない。
到底届かない600万キロリットルのエタノールでさえ、消費する石油の1割に過ぎないのだ。
いかに消費する石油の量が多く、石油枯渇の問題の根が深いかである。
これは太陽光発電・風力発電に甘い期待(過度な期待)を寄せている問題と同じである。
うーん、このような問題を考え始めると「明るい未来」が見えなくて気持ちが沈んでしまう。
もっと明るい未来が持てる情報も仕入れないと、子どもには提示できないな。
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