「女性は子どもを産む機械」という発言は、とんでもないと私も思う。
「失言」という表現を用いる気になれないのは、本心の部分で思っているから出てくる発言だと思うからだ。
それでも、ニュースでこの話題を取り上げるやり方には疑問がある。
1)本人が謝罪しているのに、いつまでこの発言にこだわるのか。
謝罪してすむ問題ではないという怒りは承知しているが、あげ足取りにしか思えない。
2)比喩としての発言、講演の流れの中の一部分だとしたら、そこだけ取り出すのは悪意に満ちていないか。
・・・というわけでネットでニュース記事を検索してみた。メデイアリテラシーの1人学習である。
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070128/fks070128000.htm
女性は「産む機械」 柳沢厚労相
柳沢伯夫厚生労働相は27日、松江市で開かれた自民県議の決起集会で、「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と女性を機械に例えて少子化問題を解説した。
柳沢氏は「これからの年金・福祉・医療の展望について」と題し約30分間講演。出生率の低下に言及し「機械って言っちゃ申し訳ないけど」「機械って言ってごめんなさいね」との言葉を挟みながら、「15-50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と述べた。
厚労省は昨年12月、人口推計を下方修正。この時、柳沢氏は「子供を持ちたいという若い人たちは多い。その希望に応えられるよう、できる限りの努力をしていきたい」と話していた。(2007/01/28 03:40)
http://www.asahi.com/politics/update/0128/002.html「女性は子ども産む機械」柳沢厚労相、少子化巡り発言 2007年01月28日00時33分
柳沢厚生労働相が27日、松江市で開かれた自民県議の後援会の集会で、女性を子どもを産む機械や装置に例えた発言をしていたことが分かった。
集会に出席した複数の関係者によると、柳沢厚労相は年金や福祉、医療の展望について約30分間講演。その中で少子化問題についてふれた際、「機械と言って申し訳ないけど」「機械と言ってごめんなさいね」などの言葉を入れながら、「15~50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと述べたという。
会場では発言について異論はなく、主催者からの訂正などもなかったという。
・・2つのニュースソースが同じなのだろうか、よく似た表現になっている。
2つのニュースから分かることは、
1)自民党県議の後援会の集会で
2)少子化問題についての話の流れの中で
3)「機械と言って申し訳ないけど」と謝りながら発言している。
4)その場で異論はなかった。
要するに身内の会の中での身内向けの発言だったということだ。
「産む機械」発言は、分かりやすく説明するための比喩であり、「ぶっちゃけ発言」であったのだ。
しかも、何度も「申し訳ない」と発言していることから、「不適切な比喩だが、分かりやすく伝えるためなので勘弁して欲しい」という意思表示をしている。
聴衆は、その流れ(雰囲気)が分かっているから異論も出なかったと言える。
学校現場でも、「お前、バカじゃないの」という教師の不適切な発言が、相手との人間関係や言い回しやその場の流れの中で、許容される場合もある(もちろん、問題になる場合もある)。
だから、そういう事情を考えると、今回の問題発言は、2週間経過してまだ話題になるほどのことではないのだと私は思う。
逆に言うと、シツコク糾弾する側に「集団いじめの心理」のような嫌悪感を持ってしまう。
野党のやっていることは他人の失敗をシツコク責め立てる「集団いじめ」であり、いつまでも、その糾弾を取り扱うマスコミは「加害者を増長させる共犯者」である。
すくなくとも上記のネット配信のニュースは、客観的で冷静な報道に努めている。
与党批判する野党の様子を紹介するテレビ報道の見苦しさにあきれてしまう。
与党も
「これは自民党の集会の中での発言です。自民党以外の方からの抗議は受け付けません」
「28日の報道にある通り、何度も謝りながら用いた言葉です。集会の方にはご理解いただいています」
で十分だと思う。
思い切って「男性諸君が種馬として老いてもなお奮起してほしい」などと発言していたら、下品すぎて報道されなかったかも。
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