「日本人としてこれだけは知っておきたいこと」中西輝政(PHP新書)
「日本人としてこれだけは知っておきたいこと」中西輝政(PHP新書)
「なぜ戦前を否定するのか?」という帯のメッセージも挑発的といえば、挑発的である。
GHQの問題・皇室問題・戦争問題・日本文明などについてやさしく解説してくれる。
でも、総じて言えば、これぐらいの内容はタブー視せず、事実・常識として次のステージで生産的な議論が進めばいいと思う。
覚え書きとして、1点記しておくことにする(P23~26)。
★アメリカによる初期の対日占領政策は、終戦時に国務、陸軍、海軍三省合同で作成した文書 『日本降伏後における米国の初期の対日方針』に明らかですが、 それは一言でいえば、日本が再び「米国の脅威」にならないよう、 徹底的に日本という国の弱体化を図ることにありました。
(中略)だから、アメリカの占領政策は、日本人の精神を根底から突き崩すこと、ここに主眼を置かれたわけです。そのために目をつけたのが学校教育、なかでも歴史教育でした。
そういった意図を雄弁に物語っているのが、昭和20年12月15日にGHQより出されたいわゆる「神道指令」(国家神道、神社神道に対する政府の保証・支援・保全・監督ならびに弘布の廃止に関する件』指令)です。
・・・ちなみにPHP新書そのものが、次の経緯で刊行されている(1996年10月)。
★平和で豊かな生活を手にした現在、多くの日本人は、自分が何のために生きているのか、どのように生きていきたいのかを、見失いつつあるように思われます。
そして、その間にも、日本国内や世界のみならず地球規模での大きな変化が日々生起し、解決すべき問題となって私たちのもとに押し寄せてきます。
このような時代に人生の確かな価値を見出し、生きる喜びに満ちあふれた社会を実現するために、いま何が求められているのでしょうか。それは、先達が培ってきた知恵を紡ぎ直すこと、その上で自分たち一人一人一人がおかれた現実と進むべき未来について丹念に考えていくこと以外にはありません。
・・・さらに、ちなみに、光文社の学芸叢書シリーズは次の経緯で刊行されている。
★私たち日本人は、戦後の飢餓状態から豊かな生活の実現に向かって、ひたすら経済第一主義で半世紀を過ごしてきた。その結果、日本は世界的にまれに見る経済上の成功は収めはしたが、省みれば見れば、国も社会も、個々の人間も、金銭の追求以外に目標を見失ってしまった。
この叢書は、混迷する社会にあって、個々人が一回限りの人生を、より充足した確かなものとするための
知識・理念を、いかなる権威にもヘコたれない「カッパ精神進」をもって送り続け、読者の心の中にありつづけたいと思うものです。
今という時代は、モラルの低下・経済第一主義の弊害が「ある」という事実は、ほぼ確定でいいのだろうか。
「今のままではいけない」というのが、大方の意見の一致するところであるならば、もっともっとみんなでよりよい日本になるように議論し、提案し、遵守していかねばならない。
もちろん「法律で規定するから守りましょう」という議論にならないようにしていきたい。
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