5段落の論説文
論説文を書かせる際の基本的構造は「はじめー中ーおわり」の3段落で考えてきた。
無理せずに、とにかく「はじめー中ーおわり」の3段落でいいから意識するように教えてきた。
さて、日本言語技術教育学会の『検定外・力がつく日本言語技術教科書 6年生・後編」(明治図書)の「ダイエット」は5段落になっている。意味段落で言えば4段落。
「はじめ」・・あらまし
「なか1」・・具体的事例1
「なか2」・・具体的事例2
「まとめ」・・「なか」の共通する性質
「むすび」・・意見・主張
びっくりしたのは、具体例を2つ挙げて、その共通点を「まとめ」に書いていく作業である。
このような文章は、教師になってからなら書いたことがある。
◆いくつかの授業実践を例示して、そこから教育技術の法則性を考察する。
◆1人の作家の作品を数点あげて、そこから、その作家の思考や作品のパターンを考察する。
である。
一方、読みとりの授業なら、指導したことはある。
事例1・事例2から共通項を挙げ、まとめにもっていく論説文は、教科書にもよくあるからだ。
だから、この5段落の論説文を書く訓練は、必ず、論説文を読む時の1つのパターンとして生きる。
そして、「具体と抽象」の往復活動の習熟に役立てることができる。
その点では、実にすばらしい文章構成の指導であり、論理的思考の指導なのである。
ただし、そう簡単には、このパターンの文章は書けないと思う。
教材文から共通項を読みとるのも難しいのだから、自分が挙げた事例から共通項を見いだすは、もっと難しい。
だからこそ、対比的に作品全体を読みとる授業や、自説を補強するための具体例を複数挙げる論説文を書く授業を繰り返し訓練し、この思考パターンを習熟させていく必要がある。
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