健全な自尊感情の育成(「ドラゴン桜16巻」が教える「しなやかマインドセット)
本の整理をしていて「ドラゴン桜」16巻をパラパラめくった。
久しぶりに目を通してみて、印象に残る部分があった。
下記の裏表紙にも書いてあるフレーズが、ある意味でこの巻のメインなのだと言えよう。
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◆人間は変われるんだ、1年も経たないうちに。
◆お前の体の中に1年前と同じ細胞はもうほとんど残っていない!!
◆お前は完全に生まれ変わってるんだ!!
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自分は注目したのは、その前後のくだりである。
桜木先生の言葉だけ一部抜粋してみる。
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◆お前が「自分はやればできる」と思い始めている。
◆お前はこの春東大受験を目指して勉強しだすまでは「どうせ自分なんか・・・」と思っていたはずだ。
◆実はできない子の口癖がまさにそれ・・「どうせ自分なんか」。
◆ではそう思い込む原因は何か。
◆それは・・親や周りの大人たちに「どうせお前なんか」と言われたから。
◆「やればできる」と難度も繰り返し励まされた子どもは何事にも自信を持って積極的に行動できる。
◆逆に「どうせお前なんか」と否定的な言葉を浴びせられると・・「どうせ自分なんか」と過小評価して考えるようになり、努力することを放棄して何事も諦めてしまう。
◆しかしお前は劇的に変わったじゃないか。
◆「どうせ自分なんか」から「やればできる」と思うようになった。まさに劇的な変化だ。
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・・・・この後、前述したフレーズが入る。そして細胞の新陳代謝の話が続くが省略して次の部分。
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◆人の心は簡単に変わらないとよく言われるが、水野・・お前は心まですっかり生まれ変わってるじゃないか。
◆「どうせ自分なんか」から「やればできる」に。
◆変われるんだ。たった一つのきっかけで・・東大を目指して勉強しただけで・・
◆お前は劇的に自分を変えられた人間なんだ。だからやれる・・必ずやれる
◆後ほんの少しだ 頑張れ
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・・・この桜木のアドバイスを聞いて水野は「そうか・・私 知らないうちに変われたんだ」と涙する。
小さい頃から母親に「何やってもダメ」と言われ、傷ついて悲しんでいた水野は、自分の成長に喜びの涙をこぼす。
まさに、この巻のクライマックスシーンだ。
ところで、桜木先生が水野の「やればできる」への変化に気付いた場面だが、模試を終えた水野が答えたセリフは
「全然ダメ」
「やっぱり時間が足りなくて・・」
「数学はあと少しで一問は完答できそうだったのに・・・英作文も半分しか書けなかった・・。」
である。
何を愚痴ばかり言ってるんだ、今さらがたがた言うなとでも言いたくなる場面だ。
ここで「すごいじゃないか。」「お前は変わったんだ」と言える桜木先生のセンスはすごい。
自信喪失した生徒水野の愚痴の聞き役としてでなく、自分さえ気付いていない生徒の心の成長を指摘し、自覚させた。
「そうか・・私 知らないうちに変われたんだ」
この言葉を生徒に言わせた桜木先生に感服してしまった。
今、道徳の研究をしていると「健全な自尊感情」が1つのキーワードになっている。過度な自尊感情を持っている子は自信過剰で思い上がる。
過小な自尊感情の子は自分に自信が持てないでいる。
この桜木先生の対応場面は「健全な自尊感情」を持たせる場面なのだと言える。
2016/6/29追記
「努力すれば自分は変われる」という「しなやかマインドセット」の大切さを表した1冊だということが、今になって分かった。
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