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December 24, 2008

「派遣切り」のニュース

 「派遣切り」「期間工打ち切り」のような話題が絶えない。
  テレビや新聞の論調は「派遣や期間工の解雇はかわいそうだ」ではあるが、実はよく分からない。
 それは、いろんな事例をごっちゃにして論じているからだ。 
 例えば、いすず自動車の派遣社員の解雇は、道義的な問題ではなく、法令違反のはずだ。
 その他の派遣社員の場合「今後の契約更新はしない」ということであるならば、これは道義的な責任であって法的には責められない。
 
 12月9日には、不当解雇に関する通達が出されている。概要が、以下のファイル。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1a.pdf

 一部だけ紹介すると、次の箇所が注目される。

1 不適切な解雇、雇止めの予防等のための啓発指導
 労働基準関係法令(有期契約労働者の雇止め等に関する基準を含む。)の遵守はもとより、労働契約法や裁判例(解雇回避のための配置転換等の措置をするよう努めるべきこと等)等に照らし、不適切な解雇や雇止め等が行われることがないよう、事業主等に対し、新たに作成するパンフレット等を活用し、各種機会を利用して、啓発指導を行う。
(参考)新たに作成するパンフレット
「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1221240012
には、詳しく解説がある。
派遣社員だろうが直接雇用だろうが正当な理由がなければ解雇できないことに違いはありません。
 派遣やバイトなど非正規雇用者であっても労働者ですから労基法が適用されないなんてことはありません。
 ただ派遣社員の雇用主は派遣先ではなく派遣会社です。
 つまり社員が雇用契約を結んでいる相手がそもそも違います。
 ですから派遣先からの就業解除は解雇にはあたらず、派遣会社との労働者派遣契約に反しなければ労基法の基準にかかわらず解除できるわけです。

・・・これも、大事な問題を指摘している。
 例えば自動車メーカーの期間工は、自動車メーカーと雇用契約を結んでいるから、メーカーと交渉することになる。しかし、派遣社員の場合は、派遣会社と雇用契約を結んでいる。派遣社員は派遣会社に文句を言うべきなので、企業は直接苦情を言われる筋合いではないということになる。
 だから、まとめて批判したりまとめて報道したりすると、事の本質が見えなくなってくるのだ。
  
http://blog.goo.ne.jp/urmt/e/120b54c607986e56f167e56385384425

には、赤旗HP(12月8日分)からの引用という形で次のように書いてある。
=====================
 志位和夫委員長が本社に解雇撤回を申し入れたのは、発表直後の十一月二十六日。
 減益といっても六百億円の経常利益を見込み、株主配当を十七億円も増やす計画をあげて、「一方で全員解雇しながら一方で配当を増やすのでは、労働契約法で定める『やむをえない事由』とはいえず、違法解雇だといわざるをえない」と追及。人事担当取締役はまともに返答できず、「法令を見定めてやっているつもり」と答えるのがせいいっぱいでした。 来春まで寮に入れるようにすることも表明しました。
 二日の参院厚生労働委員会。小池晃政策委員長が、いすゞの大量解雇は労働契約法違反だと追及すると、
労働基準局長は法違反もありうると認め、舛添要一厚労相は「調査し、必要な改善策をとりたい」とのべました。
住まいの確保も検討していると答えました

=======================

 内部留保や経常利益があるなら派遣を切るな、というのは法的なクレームか、道義的なクレームか。
 「違法解雇だといわざるをえない」という表現は、違法解雇が確定とは言い切れないような歯切れの悪さがある。 「労働基準局長」は法違反もありうる」というのは極めて微妙な状況を示している。
 契約期間を残して解雇した「いすず自動車」でさえ、法違反が明確でないなら契約延長をしなかった他の会社の場合は道義的にしか責任を問えない。

 ところで、同じように大量解雇を打ち出したソニーについても、次の記事がある。
 http://www.j-cast.com/2008/12/18032513.html
◆ ソニー社長がマスコミとのインタビューで、雇用より会社がつぶれないことを優先することを明らかにした。株主利益も考えた経営判断だが、正社員削減まで踏み込んだことに、「国際企業として、違和感はない」と評価する声も出ている。
◆ 「アメリカの企業なら、好景気でも余剰人員を削っています。国際企業なので、当たり前の感覚なんでしょうね。日本では、ソニーは一歩踏み込んでいると思います」

 やはり、今更ながら「派遣の自由化」という規制緩和がそもそも間違っていたということか。
 空前の利益を上げた会社を支えていたのは不安定な身分と低賃金でも我慢して働いてきた非正規社員であったというだけのことか。
 もっとも、多くの国内メーカーが低賃金のアジア地域に工場をつくった時点で、「派遣切り」ならぬ「日本切り」が起きていた。給料は日本人ではなく外国人に支払われてきたから個人消費=内需は支えられなかったのである。
 
 今回の「派遣切り」問題に根っこは深い。少なくとも軽々しく批判したり断定したりできれるほど簡単なものではない。派遣切りを報じるテレビのキャスターやタレントのギャラはどうなんだ、などと批判し出したらきりがない。
 早々と派遣切りを宣言した会社がスポンサーになったサッカーの大会で、多くの日本人が盛り上がっていたではないか。
 そして「公務員のお前はどうなんだ」と言われれば、それまでなのである。

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