エラーレス・ラーニングに注目せよ
特別支援教育に限らず、「エラーレス・ラーニング」は重要な教育課題である。
古くなるが、「家庭教育ツーウエイ」2008年11月号は、エラーレス・ラーニングの特集で必読だ。
巻頭論文 向山洋一氏 P5は、重要な指摘を含んでいる。
保護者向けの文章だから読みやすく分かりやすい。
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「間違いを記憶すると間違いの脳回路ができる」
エラーレスラーニングとは「失敗させないように学習させる」ことである。
「お手本を見せて写させる」のが、そうである。先生が教材を一文読んで、子ども達に読ませるのもそうである。
水泳指導、逆上がり指導などで、補助教具を使うのもそうである。
自転車を習うとき、うしろの荷台を持ってやって、倒れないようにするのもそうである。
お習字のとき、先生がうしろから筆を持って、一緒に動かすのもそうである。
間違いがないように工夫を加えた「あかねこ漢字スキル」「あかねこ計算スキル」「暗唱直写教材」「うつしまるくん」などのTOSS教材もそうである。 子どもは、とりわけ小さな子ども、発達障害の子どもは、このように「失敗させないように工夫した学習」で、学んでいく。
それが、エラーレスラーニングである。
逆に「トライ・アンド・エラー」の学習もある。
通例は、スポーツで県大会レベルに到達した上級者に使われる。
基本がきちんと身につき、かなり上達した人に使われる。
それは、自分なりの工夫、更に高いレベルへの挑戦をしているからである。
「エラー」から、学ぶことも必要になるからだ。
しかし、初心者、小さい子、障害をもった子には、絶対にやってはいけないのである。
「なぜなら、間違いを学習してしまい、それが脳回路になってしまうからです」と、慶応大学医学部の根本ドクターは言う。 (後略)
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自分自身、ワープロに打ち込んでみて、改めて、このエラーレス・ラーニングの重要さを自覚した。
授業の原則・TOSS教材・成功体験等、これまで自分が惹かれてきたものが、ここに集約されるからだ。
ちなみに向山氏は、同書で次のものを挙げている。
◆「お手本を見せて写させる」
◆先生が教材を一文読んで、子ども達に読ませるのもそうである。
◆水泳指導
◆逆上がり指導などで、補助教具を使うのもそうである。
◆自転車を習うとき、うしろの荷台を持ってやって、倒れないようにするのもそうである。
◆お習字のとき、先生がうしろから筆を持って、一緒に動かすのもそうである。
間違いがないように工夫を加えた
◆「あかねこ漢字スキル」
◆「あかねこ計算スキル」
◆「暗唱直写教材」
◆「うつしまるくん」
などのTOSS教材もそうである。
同書では、別の箇所で
エラーレスラーニングの教具として、
◆百玉そろばん
◆九九計算尺
が紹介され、
エラーレスラーニングの指導として、
◆丁寧なノート指導
◆補助計算
◆机上や筆箱の整理
が紹介されている。
また、次のドクターの言葉が紹介されている。
◆「人生の早期に子どもに挫折体験を与えて良いことは一つもない」
杉山登志朗氏『発達障害の子どもたち』(講談社)より
◆認知に障害がある子どもにとって、間違いながら学習を進めていくよりも、間違うことがまったくない学習(エラーレスラーニング)の方が有効である。
慶応大学教授 山本淳一氏
印象的なフレーズが、
「やり方を教え、できたらほめる 」の繰り返しです。(P25 佐藤泰弘氏)
成功体験の積み上げ、完全習得学習などのTOSS実践の有効性を改めて考えさせられた。
自分でやらせることを重視し、放置する教師がたくさんいる。
子どもの発想を大事にしたいからと、何でも自由にさせる教師がたくさんいる。
自由にさせることで、エラーが起きる場面が大きくなる。
◆エラーの起きそうな部分は一斉指導し、それから各自の自由行動の場を設定する。
◆フォーマットは決めておいて内容は自由に選択させる。
年度当初。
まずはエラーレスラーニングの積み重ねで自信をつけるべきだ。
それが子どもや保護者からの信頼につながる。
TOSSランドに登録された「どの子もできる指導法」などは、エラーレスラーニングの宝庫である。
ぜひ、TOSSランドからエラーレスラーニングの実践を学び、目の前の子どもたちに役立ててほしい。
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