『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎
ストーリーが複雑なので、新潮社のHPから引用。
未来を決めるのは神の恩寵か、偶然の連鎖か。進化する伊坂幸太郎、一気読みまちがいなしの傑作。待望の文庫化。
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる
・・・さすがにうまくまとめられている。確かにその通りだ。
作者はどこまで信奉しているのかな?と思えるくらい「神」の記述がある。
「偶然の連鎖」だが、時間順に作品が構成されていない。その「ずれ」は、まさにエッシャーのだまし絵のごとく だ。連鎖という表現は、作中では、リレー(つながり)と表現されている。
「ずれ」と「つながり」は紙一重といったところか。
したがって、時間を整理するには二読・三読の必要がある。
だが・・。
『重力ピエロ』に比べると再読の意欲が落ちる。
惨殺シーンがあるから。
銃撃したこと・殺人を犯したことへのためらいが弱いから。
殺人に対する痛みのなさは「重力ピエロ」の比ではない。
あれほどの事件が起こっているのに、誰も罰せられもせず、淡々と終えてしまっていいのか、と妙な正義感にとらわれてしまう。
身代わりで殺されてしまった行方不明の男に対する憐れみがかけらも見られない。これでは『重力ピエロ』の強姦魔を全く批判できない。
「その苦痛を受けている被害者は俺ではない、ということを俺は知ってるんだ。俺はそこまで想像できるわけだ。相手の気持ちを想像して、自分の苦しみに感じるなんて、それこそ想像力が足りないんだ。もっと想像力を働かせれば、その苦しんでいるのは自分ではない、ということまで理解できるはずだ」(『重力ピエロ』P217)
・・・強姦魔の憎めべき詭弁が、この書では肯定されてしまうかのようだ。
『チルドレン』や『ラッシュライフ』のような軽快さがないから、「まあ、いいか」と寛容になれないのだと思う。
本書の泥棒が『重力ピエロ』の探偵で、本書で少しだけ出てくる銀行強盗の話題が『チルドレン』、これほど作品がリンクしてくると、ほかの含めての再読をしたくなる。
井坂幸太郎は、実にすばらしい必殺仕掛人である。
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Comments
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