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September 15, 2009

名古屋市長の英断~年金記録処理の肩代わり~

<消えた年金>名古屋市 記録約4000件の調査に協力
というニュースが報じられた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090914-00000052-mai-soci

名古屋市は14日、支払った保険料記録が残っていない「消えた年金」のうち、対象者が特定できる可能性が高い1462人分の年金記録約4000件について、社会保険庁の確認作業に協力すると発表した。社保庁の持つ対象者の情報と、同市が持つ国民健康保険や介護保険などの情報を突き合わせて連絡先を特定、市職員が電話連絡や自宅訪問で確認する。
 「消えた年金」の調査協力は河村たかし市長が市長選の公約に掲げ、市が社保庁と具体的な内容を協議してきた。市や愛知社会保険事務所によると、調査協力するのは、年金受給者のうち社保庁の解明作業で住所まで特定できたものの、文書での問い合わせに回答がないため電話番号が分からず、連絡さえ取れれば年金記録を統合・整理できる約4000件。
 市保険年金課によると、市が100件を抽出して国民健康保険情報と突き合わせたところ、77件の電話番号が特定できたといい、同課は「他の情報とも照合すれば8~9割は把握できるのではないか」と話している。
 河村市長は同日、記者団に「年金記録が消えて苦しんでいる納税者に感謝の意を尽くすために、市がボランティアで取り組んでいく」と述べた。【月足寛樹、丸山進】

 何がすごいといって、これまでこんなことすら実現できていなかった事実がすごい。
 社保庁は住所や電話番号が変わると、人物の特定ができない。
 市役所レベルなら、それができると言う。4000件は「連絡さえ取れれば年金記録を統合・整理できる」って、社保庁はそんなこともできないままでいたのか!
 中日新聞のWEBに次のようにある。

社保庁によると、だれが支払ったか分からなくなった年金記録は5000万件余、半数弱は依然として解明されていない。うち770万件は調査の中で年金番号や氏名の一部が間違っているだけで解決の可能性が高いとされるが、当人と思われる人が引っ越したり、電話番号を変えたりして、社保庁で連絡がとれず確認できないでいた。介護保険などで頻繁に情報を更新している市ならば、連絡先が分かる場合が多い。
本来は国の事務を自治体が引き受ける場合、「委託料」が発生するが、消えた年金問題の解決を市長選の公約にも掲げた河村市長の方針で一切受け取らない。双方で覚書を交わし、個人情報の扱いにも慎重を期する。

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/nenkin/list/200909/CK2009091402100003.html

 市町村と連携したら解決する案件があるなら、連携すればいい。
 それだけのことだ。何を今更、といった感じ。
 なのに、このような取り組みは名古屋は第一号。
 市町村の職員に負担がかかるから依頼できないのだろうが、それにしてもあほらしい「縦割り意識・縄張り意識」である。
 先の中日新聞のWEBには、次の解説もある。

■厚生労働相直属の「年金記録問題拡大作業委員会」委員長の磯村元史・函館大客員教授の話…自治体が協力すれば、調査は大いに進む可能性がある。社保庁は自治体を巻き込む積極性に欠け、自治体側にも、国のミスの後始末をする必要もないとの意識があった。うがった言い方をすると、この問題を解決すれば、市民の年金が増えて市民税や健康保険料が増額し、ひいては市にも利点がある
。 ・・・なるほど!   市にも利点があるのだから、市町村もしっかり取り組むといい。  ただし、そもそも社保庁の責任なのだから、むしろ委託料は取るべきだと思う。  いいことだからと何でも無償で公務員に背負わされては、本来の業務の支障をきたす。むしろ安易に委託された仕事が問題なく取り組めると言うことは、いかに普段から人が余っているかということになってしまう。    読売にもニュースがある。 http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/yomiuri-20090914-00707/1.htm  
社保庁によると、地方自治体がこの種の協力、調査に乗り出すのは全国初。対象は年金受給者の年金記録約4000件(1462人)で、年度内の早期の完了を目指すという。  市保険年金課によると、市は社保庁から対象者の情報提供を受け、国民健康保険システムや介護保険システムなどの福祉情報をもとに、住所や連絡先を調べる。  10月中旬以降、同課や16区役所の保険年金課の職員約100人が電話や訪問で、年金記録に残っていない消えた年金の持ち主を特定し、社会保険事務所で手続きするよう促すという。  国の事務を自治体が引き受けるため、本来は委託料が発生するが、河村市長の方針で受け取らないという。  河村市長は「納税者のために、税金をもらって働く公務員が調査に取り組むのは当然のこと。職員にはボランティアで取り組んでもらう。全国の自治体に波及するよう新政権にも求めていく」と述べた。

 ところが・・。
 翌日の配信ニュースは「自主調査には慎重姿勢 中部の自治体」と否定的。
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/nenkin/list/200909/CK2009091502000200.html

 当然ながら、どの自治体も、通常業務がある。安易に新たな業務がこなせと言われても現場が混乱する。
 河村市長のリップサービスは迷惑だ、ということのようだ。
 社保庁から出向でもしてもらわないと、無理な話なのだろうかもしれないが、なんとか、どの自治体も解決の方向で進んでいくことを願ってやまない。

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