現役教員の資質向上は、どこで誰が保障するのか?
民主党のかねてからの方針通り、教員免許更新制度は廃止の方向のようだ。
面倒な講習など受けたくないと誰もが思う。
しかし、教師は国家の未来を背負うのだ。常に研修に励み、最新の知識・最新の技量を得る努力は必要だ。
それは「やらされて学ぶ」ものである必要はなく、本来は「自主的な学び」でも構わないのだと自分も思う。
調べれば、全国各地で教員向けのセミナーは数多くやっている。その気さえあれば強制されなくたって自主的な参加でも教師の技量は高められる。
しかし、自主性に任せるだけでは心配だから、講習の「義務」が課せられたのだ。
講習の「義務」が課せらるほどに教師の力量が世間から疑われ、
講習を「義務」としなければ、日々安穏として学ぼうとしない教師が多いと思われていたのだ。
さて、今日のニュース。
教員免許には修士号、実習は1年…文科副大臣
文部科学省の鈴木寛副大臣は14日、記者団に対し、衆院選の政権公約(マニフェスト)に掲げた教員養成課程の6年制や専門免許制について、「教員を研修する大学院の受け入れ態勢など(の制度設計を)来年度に精力的に検討しなければならない」と述べ、早期の実現に意欲を示した。
6年制は従来の大学4年間に加え、大学院2年間での修士号取得を教員免許の条件とするほか、教育実習を現行の2~4週間から1年間に延長する。専門免許は一般免許の上級にあたり、8年以上の実務を経験した現役教師が、2年間の研修で取得できる仕組みを想定している。
一方、鈴木氏は現行の教員免許更新制について、「来年は引き続きやってもらい、専門免許制を検討する中で移行していく」と語り、新制度の準備状況に応じて11年度以降に廃止する考えを表明した。
今春に始まった更新制は、教員に10年に1度、大学での30時間の講習を義務づける制度だが、日本教職員組合出身の輿石東民主党参院議員会長らが廃止を強く主張している。
(2009年10月14日19時51分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091014-OYT1T00956.htm
教員免許更新制度、来年度で廃止検討
教職員に10年に1度、「木登り」などの講習を受けることを義務づけ、今年度から始まったばかりの「教員免許更新制度」ですが、文部科学省は来年度限りで廃止する方向で検討を始めました。
教員免許更新制度は、安倍内閣時代に教育改革の目玉の一つとして作られたもので、教職員を続けるためには、10年に1度、指定された大学などで講習を受けることが義務づけられています。
今年度から始まったばかりのこの制度ですが、講習には「木登り」や「火おこし」、「オペラ」などがあり、「教員としての技術向上に効果があるか不透明」などと、現場からは多くの批判がありました。
こうした批判を受け、文部科学省は来年度限りで廃止する方向で検討を始めたものです。また、現在4年制となっている教員養成課程を、大学院を加えた6年制に延ばす方針も決め、来年度予算の概算要求に盛り込む方針です。(14日11:25)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4258038.html
どさくさのまぎれのように、免許更新制度廃止の代わりのような形で、教員養成を6年制にするとある。
(1)教員養成を6年にするのは、現在の高校生の進路選択にも大きな影響を与える問題だ。
6年もかけても教員採用試験に受かるとは限らないし、4年制大学卒業者と同じように新規採用で就職活動で きないのだから志望者は激減する可能性がある。
4年間終了後に、教員採用した側が身分と給与を保障した形で2年間のインターン制度をとるなら分かる(そんな財政負担を地域ができないだろうこともよく分かる)。
(2)現在問題になっているのは、ベテランと呼ばれる教師の学級でも崩壊が起こっていることで、旧態依然とした指導法が通用しなくなっていることだ。ベテランの教師も謙虚に学んでいかないと、新卒教師にかなわないのだ。教員養成を6年制にしたところで、現場教員の資質向上の代案にはならないのだから、免許更新制度を取りやめにする根拠が見当たらない。
、日教組の「楽したい」教師の言いなりになったわけではない、と主張したいなら、文科省は、どのように教員の資質向上を支援するのかを提示すべきだ。
それにしてもTBSニュースの冒頭はヒドイ。
教職員に10年に1度、「木登り」などの講習を受けることを義務づけ、今年度から始まったばかりの「教員免許更新制度」ですが・・・
「木登り」などの講習を受けることを義務づけたわけではない。
義務付けた講習の、ごく一部に「木登り」が含まれていたのだ。
当然30時間「木登り」だけをやり続けて講習の単位が全部もらえるわけではない。
それを分かっていて「教職員に10年に1度、『木登り』などの講習を受けることを義務づけ、今年度から始まったばかりの「教員免許更新制度』」と説明する悪意。
まさに、マイナスイメージの刷りこみ=イメージ操作・情報操作の典型例である。
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