「デフレ認定」の次は、「デフレ対策」を!
政府が「デフレ認定」をした。
ジーンズの価格低下競争・ランチメニューの値下げ合戦など、明らかなデフレ傾向があった。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/yomiuri-20091120-01487/1.htm
大事なポイントは次の記述だと思う。
物価が下がれば消費者にとってはうれしいが、企業の利益は減少し、給料カットや失業として跳ね返る。その影響による消費の減少で物価がさらに下がれば、デフレと不況が連鎖するデフレスパイラルにつながる。
奥さんが喜んで低価格商品を選べば選ぶほど、お父さんの会社の利益は上がらない、ということになる。
17日の中日新聞夕刊の「社会時評」でも高村薫氏が「価格破壊と言えば聞こえはよいが、完全なデフレであり」と述べていた。
980円ジーンズや3万円の液晶テレビを歓迎ムードで紹介している場合ではないのだ。
問題は、「合成の誤謬」と言われる。
ネット検索するとたくさんひっかかる用語だ。
◆合成の誤謬(ごうせいのごびゅう、fallacy of composition)とは、ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、かならずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語。
低価格競争が望ましくないと思いながらも、そこから企業が抜け出せないのは「囚人のジレンマ」による。
◆囚人のジレンマ(しゅうじん - 、Prisoners' Dilemma)は、ゲーム理論や経済学において、個々の最適な選択が全体として最適な選択とはならない状況の例としてよく挙げられる問題。非ゼロ和ゲームの代表例でもある。この問題自体はモデル的であるが、実社会でもこれと似たような状況(値下げ競争、環境保護など)は頻繁に出現する。
現実世界でも囚人のジレンマないしそれに類似した例を見つける事ができる。例えば核開発では、A国とB国が両方とも核開発を止めれば平和が維持できるにもかかわらず、相手国が裏切って核開発をはじめる恐怖に耐え切れず、双方とも核開発をはじめてしまう(恐怖の均衡)。また価格破壊競争でも、A社とB社が両方とも値下げを止めれば利益を維持できるにもかかわらず、相手企業が値下げにより利益を奪う恐怖に耐え切れず、双方で値下げ合戦をして共倒れしてしまう。このように囚人のジレンマは政治・経済の解析にかかせない。
「物価が下がるなんてうれしいことだ」とばかり言っていられないのが、デフレの問題の根源だ。
しかし、個人の力では何ともならない。
実際に給料が下がってボーナスが減っているのだから自衛策として消費を減らす行為は止められない。「消費しろ、高い物を買え」という方が無理だ。
こういう時だからこそ、明快な経済対策が必要になる。
雇用を創出し、消費を喚起するデフレ政策・・・実際はどうなのだろう。
先のニュース記事には、次のようにある。
政府は、今年度2次補正予算と来年度当初予算を、雇用、環境、子どもへの対策を重点に編成するという。
ただ、財政は厳しい。国債を大増発すれば金利が急上昇しかねない。大盤振る舞いを避け、需要拡大に即効性のある事業に絞った予算配分が必要となろう。
政府内には「住宅版エコポイント」などの新たなアイデアもあるという。子ども手当などの政権公約にとらわれず、効果的な対策に知恵を絞ってもらいたい。
今後のニュースに注目したい。
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