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December 24, 2009

理科で育てる「表現力」

 理科・表現力で検索する。
 初等理科教育2006年6月号は、「『表現力』を理科で鍛える」が特集テーマ。
http://www.ruralnet.or.jp/rika/r_0606.html

◆PISA(国際学習到達度調査)2003年調査の結果が発表されたとき,読解力が前回の8位から14位に低下したことが大きく報道されました。
 ここで言う「読解力」とは何か,次のように規定されています。
 読解力とは,「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」である。
 このような総合的な能力である「読解力」を高めるためには,情報をいかに受信するかという側面に加え,情報をいかに発信……つまり「表現」させるかという指導アプローチが必要となってくるはずです。
◆内的に保持された情報(心的表象)を変換し,再構成することが思考の働きの1つです。その働きを促進させるためには,言語化して書いたり話し合ったり,図や表に表現してみたり,実際に観察・実験してみたりと,表象を外化・表現することが不可欠です。
 その中でも「言語化」は,その中核となる表現といえます。人は,心的表象を言語化することによって自然の事物・現象を認識し,自分の考えを顕在化させます。さらに,自分の考えが妥当であるかを吟味したり,問題解決のプロセスを検討したりすることが可能となります。また,仲間と情報(理論)を共有するためには,当然「ことば」によるコミュニケーションが必要となります。
 しかし,「言語」だけでは,円滑な情報交換はできないことも確かです。そこで,「図式」や「ジェスチャー」によるイメージの共有が必要となり,互いに補完することによって,学習における「表現」の機能はさらに高まっていきます。そして,子どもそれぞれの理論的立場が明確になり,友達との共同思考もできることになります。
◆観察・実験をしただけでは,理科学習に求められる「表現力」は育ちません。自然の事物・現象に対する事実認識に,言語化やイメージ化といった子どもの「表現」がどのように関わっているのかを,この機会に考えてみたいと思います。

・・・2006年の段階で、このような問題意識で特集が組まれたのはPISA読解力がきっかけである。
 PISA読解力については、多少は調べてきたのだが、残念ながら、今、自分が学び直している「表現力」にまではたどりつけなかった。
 要するに、国語科以外の教科におけるPISAは読解力の取り組みについて、学んでこなかったのである。
 
 2008年に発刊されたのが、新牧 賢三郎 監修/善能寺 正美・TOSS長崎 編著の「科学的思考力・表現力の育成」。

 webの立ち読みで、次の箇所が閲覧できる。

(1) ノートに記録する指導
 ① 単元のまとめ(見開き2ページ)の方法
 向山氏は,ノート指導について次のように述べている。

 1 一単元を見開き2ページでまとめさせる(見開き2ページに限定する)。
 2 教科書・資料の丸写しは認めない。
 3 イラスト・図解をすすめる。
 4 ノートづくりの時間を与える。
 5 見開き2ページごとに評価する。評価は「合格」のみ。ランクはつけない。不合格は「修正する」「やり直す」ようにすすめる。
 6 特に立派なノートは全員に紹介する。
         「教育トークライン」No.49

 ア 見開き2ページ
 見開き2ページは,できる子にはすぐに書き終えられる量であるが,できない子にはかなり多い分量である。
 何を書いてよいのかわからない子には,教師が教科書の図や文章を囲んで指定してやるとよい。
 また,ノートのどこに何を配置をすればよいのかわからない子には,ノートに薄く区切り線を引き,位置を示してやる。
 よいノートは全員に紹介する。時間があれば縮小コピーをして印刷し,ノートにはらせる。
 早く終わった子が「2ページを超えていいですか」とたずねてくる場合がある。
 基本的には駄目。ただ,遅い子のためにはやらせたほうが時間稼ぎになるという場合には,新たに別作品としてまとめさせる。
 
 イ 「丸写し」禁止
 見開き2ページに慣れてきたら,図や文章の「丸写しをしない」という条件をつける。
 ただし,重要語句や固有名詞は別である。子どもは,「Q&A形式」「吹き出し形式」「新聞形式」「実況中継形式」「呼びかけ形式」などの工夫をして,上記の条件をクリアしようとする。
 よいノートの紹介は,繰り返し行っていく。その際,あらかじめ評価の観点を示しておくとよい。
 【評価の観点】
 ① 丁寧さ………文字が丁寧であるか。定規が使ってあるか。
 ② 情報量………びっしり書けているか。
 ③ 見やすさ……見やすくまとまっているか。
 ④ 図や表………図や表が書かれているか。
 ⑤ 楽しさ………イラストなどの楽しく読める工夫がされているか。
 ⑥ 重要語句……固有名詞や重要語句が取り上げられているか。
 ⑦ 考え…………「気付き」「考え」「感想」が書けているか。

 授業でミニテストを行うときに,ノートを見てよいことにすると重要語句の定着につながる。併せてノートに記述するべき重要語句を子どもたちは見分けられるようになっていく。
 ウ 評価は「合格」のみ
 評価は,「合格」か「不合格」かの2つだけである。不合格の場合は,やり直しをさせる。これによりいい加減にやってお茶を濁そうとする子どもに歯止めをかけることになる。ただし,単元途中のノート指導においては,点数をつけるという方法もある。
   /森永 祐司

 まえがきに、文部科学省が考える学力の重要な要素として次の三つが記してある。総則の冒頭に書いてあるもののことだ。

1 基礎的基本的な知識・技能の習得
2 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等。
3 学習意欲。

 ・・・この3つは、どの教科でもいえる共通の要素である。
 「思考力・判断力・表現力」は、PISA読解力に対応させた活用力の具体的な3要素である。
 
 さて、検索して見かけた「論理的に書くためのレポート作成マニュアル」は、優れたものだった。
 そこでは「レポート力」という言葉を用い、 レポート力=論理的思考力+表現力 としている。

 ただしマニュアルの内容は、形式と内容(文章)重視でレイアウトについてのアドバイスは特にない。
http://www.hakodateryouhoku.hokkaido-c.ed.jp/acp/reportmanual.pdf

 また、「考え、表現し、活用する力を高める理科指導の工夫-「イメージ図」と「ことばつなぎ」を取り入れて-」という資料。
 表現する力=「自分で考えた仮説や考察を他の人に分かりやすく伝えるために、言葉や描画、グラフ、図などを用いて表す力」ととらえ、
図解すること・言葉でつなぐことを指導している。

http://www2.gsn.ed.jp/houkoku/2007c/chukan/cho2/05koike.pdf

 それにしても、各教科において、向山氏が提唱した見開きノート記録の指導が、根気強く続けられれば、これは強烈な表現力指導になる。
 評価の観点も明快に示されている。
 1枚新聞も壁新聞も基本は見開きノート記録。
 大森修氏の「教育トークライン」連載1月号のタイトルは

 「東大式ノートスキルを越える向山型ノートスキル」

 刺激的だが、やっぱりその通りだと思う。

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