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December 13, 2009

今求められているのは『デザイン力」か?

ある中学校の学校公開にでかけた。
文化祭展示も兼ねているので、さまざまな作品が校内に掲示してある。
特に調べ学習の1枚レポートのようなものが多い。

◆家庭科の食事調べ・社会科の歴史上の人物調べ・修学旅行レポート

 なるほど、このような1枚レポートの善し悪しが平常点だったり能力点だったりして成績に反映されていく。
 むろん、自分だって教科担任として、個人新聞やレポートやよく作成させてきた。
 
 さかのぼれば、小学校の2~3年生のお店調べの1枚レポートあたりから、そのような作業は課せられる。
 毎年のように、どの教科でも課せられる作業なのだから、どうしたらうまく1枚レポートが書けるのか、自分なりの見解を持ちたいと思った。

 かつて、個人メールで、読み書きの学習障がいをもつ子の母親から
「どんな教科でも、調べたことを『まとめて書け』と言われるが、どうすれば『まとめて書く』力は育つのか」
と問い合わせを受けた。
 この母親の切なる思いはよく分かる。
 教師は、往々にして「書いてある内容を自分なりにまとめましょう」という無限定な課題を出すからだ。 
 しかし、このようなレポートをうまく書く秘訣について、明快に答える自信が全くなかった。
 そもそも、それは「何の力か」さえ分からなかったのだ。
 上手に書く子は、
=====================
・見出しの文字がある
・太字や色文字でわかりやすくしてある。
・イラストもあったりする。
・必要以上に文字を書かない(つまり、ダラダラ書き写さない)
・しかし、画面全体のバランスがいい(空白はなく、きちんと紙面が埋めてある)
・白紙であっても、文字が傾いていない(うまく定規を使っている)
・文字がきれい。丁寧に書いてある。

======================
のような特徴がある。
 これは「内容面」の評価ではない。あくまで外見上の評価である。
 よーく読むと中身がスカスカでも、見た目がグッドであることも多い。
 読み手とすれば、丁寧に紙面全体に書き込んであれば、中身とは別にポイントをあげたくなってしまうのだ。
(だから生徒にはいつも「字は丁寧に書け)と勧めている)。

 さて、生徒や保護者から「どうしたら1枚レポートがうまく書けるようになるんですか」と問われたら、どうアドバイスしたらいいのだろう。 
 今、問題にしているのは内容面ではない。あくまで壁新聞や個人レポートの「ぱっと見」についてだ。
 だから、読解力や要約力の領域ではない。

◆「センスの問題」は暴論。
◆「何度も書いて慣れるしかない」は根性論・精神論に近い。

 前任校ではPTAが新聞を作成するのに「DTPソフト」なる構成ソフトを使用していた。そのソフトを使うとレイアウトなどが簡単にできたらしい。
 あるサイトでは「ポスター、雑誌や書籍などの印刷物をDTPソフトでデザインするのがDTPデザイナー。企画意図が伝わるように文字の大きさや書体、写真位置などを決める。DTPデザイナーは企画の意図をくみ取り、デザインセンスがある人が向く。」とある。
 宣伝広告などは「アートデイレクター」「グラフィックデザイナー」の仕事。
 効果的なHPの作成は、「WEBデザイナー」の仕事。
 
 いずれにしても、明らかに「美術」「デザイン」の能力である。
 デザイナーになりたいのであればデザインの専門学校や美術大学などで勉強することになる。

 現在、中学校「美術」の学習指導要領では、従来の絵画、彫刻、デザイン、工芸の四分野が
◆「絵や彫刻などで表現する活動」
◆「デザインや工芸などで表現する活動」
の二つの分野にまとめられている。

 「デザイン」と明記されるのが次の項目。
==========================
1年
(2) デザインや工芸などに表現する活動を通して,次のことができるよう指導する。
ウ 伝えたい内容を図や写真・ビデオ・コンピュータ等映像メディアなどで,効果的で美しく表現し伝達・交流すること。
2・3年
伝えたい内容をイラストレーションや図,写真・ビデオ・コンピュータ等映像メディアなどで,分かりやすく美しく表現し,発表したり交流したりすること。
===========================

 中学校では、コンピュータ等を用いた形での表現活動・発表活動が指導項目として位置づけられている。
 ならば、小学校段階では、デジタル機器を使わなくていいから、壁新聞やレポートのデザイン・レイアウトなどを指導する項目があるのか新学習指導要領解説に目を通してみた。
 しかし、ざっと見た範囲では見あたらなかった。
 とすると、

◆国語科や社会科・理科や家庭科などにすべての教科で作成する1枚レポートや壁新聞の類は、美術的な「デザイン力」が求められている。
◆しかし、小学校の図工ではストレートに壁新聞づくりのような活動場面はない。ぎりぎりポスターまでだ。
◆中学校では美術科において「デザインや工芸などに表現する活動を通して、伝えたい内容を図や写真・ビデオ・コンピュータ等映像メディアなどで,効果的で美しく表現し伝達・交流すること」が指導される。
◆しかし小学校では、「デザインや工芸などに表現する活動を通して,効果的で美しく表現し伝達・交流することのこと」を指導する場がない。
◆現在、壁新聞や1枚レポートの構成・レイアウトについては「活動あって指導なし」の状態にある。
 だから、「センスの問題」「数をこなして慣れる」がまかり通っているし、うまくできない子に対する支援策が不足している。

◆せめてもの支援策は「モデリング」。
 これが見本だ、というレポートを提示して、どこがいいのかを確認する。
 その後、見本の「型」をトレースしてレポートを作成させる。
 全員、同じ型でいい。
 同じ型で成功体験させたら、最低ラインはキープできたわけだから、あとは各自の創意を加えさせればいい。
 
・・・「型を提示して、モデリングさせる」
 行事作文や読書感想文と同じ指導方法だ。
 それは、定番ながら「やってみせて、やらせてみて、ほめてやらねば、人は動かず」にほかならない。

 実は、この「デザイン力」を意識したのは、我々教師が単元構想図を書いたり、パワーポイントでプレゼン資料を作成したりするときに、すごく「センス」が問われていることを感じたからだ。
 どのようにしたら、1枚レポート・単元構想図やプレゼン資料がうまく作成できるかを考えたら、ほとんど指導された記憶のない「デザイン力」が問われているのだと分かってきたのである。

 これからの世の中に、視覚的に訴える「プレゼン能力」「デザイン力」は欠かせない。

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