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January 06, 2010

子どもたちの健全な「仕事観」を育てたい。

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 2007年4月5日の中日新聞夕刊で、「町工場 世界を超える技術報告 」(小学館文庫) の著者である小関智弘氏の文章を目にした。
その時のメモ書きが見つかった。
 タイトルは「町工場から格差を見る」。
「ピラミッド型産業構造最底辺の町工場は、かつては雇用の不安定と低賃金の代名詞であった」という一文が衝撃的だった。
 1970年代後半の不況で、小関氏の働く下請け工場もつぶれた。
 再就職した町工場の初任給は失業保険の月額と同じという低賃金から始まり、旋盤工生活50年で年収が500万円を超えたのはたった1年だったという。
そして、その町工場も2002年、長引く不況で廃業した。
・・・このような厳しい労働環境の事実を知ってしまうと脳天気に「ニッポンの町工場は世界を超える技術を持っている 」「町工場も立派な働き場所だ」などと勧められない。
 山根一眞氏も、『メタルカラーの時代3』のあとがき454頁で、明石海峡大橋の歴史的な開通式に、建設に携わった「メタルカラー」の人たちにほとんど会えなかったことを嘆いていた。

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  この橋の建造には、設計者、技術者、素材や構造物の製造者、世界最高の腕をもつ橋梁鳶など無数のメタルカラーたちが人類初という挑戦を続けてきたのだ。せめて、メタルカラーたちが橋の両側に整列し、『渡り初め』を見守るなどの演出がなぜできなかったのか。
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 中には式典の駐車場係に回された方もいたという。山根氏の憤りはもっともだ。
 『ローテクの最先端はハイテクよりずっとすごいんです』と賞賛する赤石学氏も同書の中でモノづくりが評価されていないことを嘆いている。
 かつて、中学校で行った日本のモノづくりの最先端技術に関する授業では、給料について触れなかったが、ある生徒は「給料は一緒ぐらいなのに、そんなに気の遠くなる仕事を何年もやっているほどこの仕事が好きなんだなと思いました」と書いている。

 デフレ不況で、大企業は町工場にさらなるコストダウンを要求し、あるいは、海外生産にシフトしている。
製品が安価であることはうれしいことだ。
しかし、生産者の生活を脅かすようなローコストは、やっぱりよくない事態だと思う。
 技術的にも収入面でも、子どもたちが喜んで町工場への就職を望み、かつ雇用が安定するような国家戦略があってよい。
 そのような国家戦略がないと、「町工場もいいよね」と思えるような「仕事観」を育成できるわけがない。

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