「国語力」についての理解
文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」について復習。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301.htm
どの叙述も大事すぎて抜粋できない。抜粋すると大事な点が抜けそうで怖い。
個人にとっての国語が果たす役割は,以下に示す3点。
①「知的活動の基盤」
②「感性・情緒等の基盤」
③「コミュニケーション能力の基盤」
社会全体にとっての国語の役割は2点
①国語は文化の基盤であり,中核である
②社会生活の基本であるコミュニケーションは国語によって成立する
国語力の中核を成す領域は4点。
①【考える力=分析力,論理構築力などを含む,論理的思考力。
分析力は,言語情報に含まれる「事実」や「根拠の明確でない推測」などを正確に見極め,さらに,内在している論理や構造などを的確にとらえていける能力。
また,自分や相手の置かれている状況を的確にとらえる能力でもあり,知覚(五感)を通して入ってくる非言語情報を言語化する能力でもある。
論理構築力は,相手や場面に応じた分かりやすく筋道の通った発言や文章を組み立てていける能力。
②【感じる力】=相手の気持ちや文学作品の内容・表現,自然や人間に関する事実などを感じ取ったり,感動したりできる情緒力。
また,美的感性,もののあわれ,名誉や恥といった社会的・文化的な価値にかかわる感性・情緒を自らのものとして受け止め,理解できるのも,この情緒力による。
さらに,言葉の使い方に対し,微妙な意味の違いや美醜などを感じ取る,いわゆる「言語感覚」もここに含まれる。
③【想像する力】=経験していない事柄や現実には存在していない事柄などをこうではないかと推し量り,頭の中でそのイメージを自由に思い描くことのできる力。
また,相手の表情や態度から,言葉に表れていない言外の思いを察することができるのも,この能力である。
※ なお,物事を考え,感じ,想像することにより,言語を中心とする情報の内容を正確に理解できることから言えば,上記の「考える力」「感じる力」「想像する力」をまとめて,【理解する力】と位置付けることもできる。
④【表す力】=考え,感じ,想像したことを表すために必要な表現力であり,分析力や論理構築力を用いて組み立てた自分の考えや思いなどを具体的な発言や文章として,相手や場面に配慮しつつ展開していける能力。
・・・そして、何より重要なのが、次ぎの 「聞く力・話す力・読む力・書く力」の具体的な目標である。
(1)「聞く力」について
1) 話の要旨を的確に把握して,その内容を理解できる。
事実や根拠などに注意しながら,話の内容を正確に聞き取ることができる。
聞いた内容をメモに取ったりして,話の構成や展開を理解できる。
話を分析的・批判的に聞き,自分の意見や考えを組み立てることができる。
2) 話し手の気持ちや主張だけでなく,言外の思いや真意を感じ取ることができる 。
話し手が何を言いたいのかを探りながら,話を聞くことができる。
話し手に共感でき,言外の思いも感じ取るように聞くことができる。
3) 場面に応じて最後まで集中して,聞くことができる。
話の形態や話し手との社会的関係に対応した聞き方ができる。
話し手の意図を考えながら,講話や講演を集中して聞くことができる。
話をしっかりと聞き取り,確認すべき情報を整理して質問できる。
(2)「話す力」について
1) 自分の考えを明確にして,説得力を持って論理的に伝えることができる。
自分の考えや意見を整理し,根拠や理由を明確にした論理的な話し方ができる。
相手の話を受け,その内容を踏まえて自分の考えや意見を話すことができる。
会議や集会などで,自分の考えや意見を適切に発表することができる。
2) 相手や場面・目的に応じ,伝えるべき内容を分かりやすく話すことができる。
他者に配慮した(不快感を与えない,傷つけない)話し方ができる。
話し合うことによって,相手との人間関係を深めることができる。
場面や目的に応じた言葉を選び,表現に注意して情報を伝えることができる。
敬意表現を適切に使った話し方ができる。
3) 発声・発音・態度などを相手や場面に応じて,コントロールできる。
他者の前で落ち着いた態度で話すことができる。
聞き取りやすい音声(声量・速さ・声の調子など)で話すことができる。
大事なところを強調したり,間の取り方を工夫したりできる。
(3)「読む力」について
1) 論理的・説明的な文章において,的確に論理を読み取ることができる。
新聞や雑誌などを読んで情報を正確に理解できる。
文章の構成や論理の展開に沿って,内容を読み取ることができる。
事実や意見等を区別して読み取ることができる。
課題解決のために必要な情報を収集し,情報を処理するための読み方ができる。
2) 文学的な文章において,気持ちや感情を十分に読み取ることができる。
様々な描写をとらえ,内容を的確に理解できる。
登場人物に感情移入し,その心情を理解できる。
比喩(ゆ)的,多義的,含意的な文章表現を読み味わうことができる。
書き手の思考や心情などに迫ることができる。
3) 古典(古文,漢文)の文章に親しむことができる。
代表的な古典作品のリズムや響きなどを理解できる。
古典の音読や暗唱を重視し,日本の伝統的な文化に親しむことができる。
(4)「書く力」について
1) 自分の考えや意見などを正確に伝える論理的な文章を書くことができる。
客観的な根拠や理由に基づいて,自分の考えや意見を書くことができる。
読み手が理解しやすい構成を意識して,文章を書くことができる。
事実や根拠などを明らかにした論理的な文章を書くことができる。
単なる感想文ではなく,思考,分析,判断を伴う小論文を書くことができる。
2) 伝統的な形式や書式に従った手紙や通信などの文章を書くことができる。
自分の気持ちなどを正確に相手に伝えられるように書くことができる。
社会生活に必要な実用的な文章をそれぞれの様式に従って書くことができる。
社会的な関係を踏まえた適切な敬語などを用いて書くことができる。
言葉を適切に使い分け,その場にふさわしい言葉を用いて書くことができる。
3) 様々な情報を収集して,それに基づいて明確な文章を書くことができる。
本やインターネットなどから的確な情報を収集して,文章を書くことができる。
収集した情報を正確に分析し,分かりやすい要約文にまとめることができる。
会議や集会などで,分かりやすく説明するための資料を作成することができる。
・・・自分のコメントの入れようがない。ここが新学習指導要領の作成につながる新しい国語科(を中心とする全教科の教育活動)の立脚点なのだ。
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