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July 25, 2010

PISA型の話し合い

東京書籍4年「夏のわすれもの」は、「物語の盛り上がり」を考えさせる課題がある。
 いわゆる「クライマックス」の検討である。
 東京書籍6年「ヒロシマの歌」は、「物語が強く語りかけてきたこと」を考えさせる課題がある。
 いわゆる「主題」の検討である。
 「クライマックス」や「主題」の検討それ自体を批判する気はないが、定義がはっきりしないと話し合いがかみ合わない。
「自分はここだと思う」と各々の「盛り上がった部分」「物語が語りかけてきたこと」を発表し合って、どんな意味があるのか・・・。 
 たしかに、1つのクライマックス・1つの主題・1つの解釈に絞り込むような話し合いは、現代的な課題にはそぐわない。
 PISA型読解力の問題は「A・Bどちらの立場でもいいから自分の意見を述べなさい」であった。
 1つの正解(教科書や教師の解釈)を追い求めるのではなく、自分はどう思うかを考える習慣が求められている。
 
 それにしても 「カレーが好きな子」と「ラーメンが好きな子」が、各々理由を述べても、嗜好の問題だからかみ合わないと思っていた。
 確かにカレー好きな子を説得してラーメン好きに変えることは容易なことではない。
 しかし話し合いは、デイベートではない。いずれか一方に裁定する必要もないし、論破する必要もない。
 
◆自分はカレー派だけど、ほかの人はどう思っているのかな?
◆自分はカレーの好きな理由がうまく言えないけれど、みんなはどうやって言うのかな?
◆自分はカレー好きだけど、ラーメン好きの人の理由を聞いてみたいな。
◆カレーの良さを、いっぱいアピールして、みんなにも分かってもらいたいな。
◆自分はカレーが好きなんだけど、話を聞いていてラーメンもいいなあと思えてきたぞ
◆自分がカレーが好きな子の方が圧倒的だと思ったけど、ラーメン好きが多かったので意外だった。
というように、話し合いの最中に、少しでも個々の意識に「化学反応」が起きればいいわけだ。

 当然だが、上記の「カレー・ラーメン」の部分を一般化すればいい。

◆自分の意見は○○だけど、ほかの人はどう思っているのかな?
◆自分は○○の意見の理由がうまく言えないけれど、同じ○○の意見の子はどうやって理由を言うのかな?
◆自分はの意見は○○だけど、△△の人の理由を聞いてみたいな。
◆○○の意見の良さを、いっぱいアピールして、△△の子にも分かってもらいたいな。
◆自分は○○が好きなんだけど、話を聞いていて△△もいいなあと思えてきたぞ
◆○○の意見の方が圧倒的に多いだと思ったけど、△△の意見も多かったので意外だった。

 これが、キムタクの言うところの「違いを知るための『話し合い』」である。

 フィンランドメソッドに詳しい北川達夫氏の言うところの
 ①自分がどういう気持ちかを他人と比較する。
 ②自分と違う意見が存在することを知る。
 ③他者を通じて自分を知る
である。

 だから 冒頭の物語教材の場合、課題の定義があいまいで、かみあわないかもしれないが
「一番大切な文=作品の盛り上がったのはどこか」
「物語が強く語りかけてきたことは何か」
を、自分の意見を堂々と述べればいい。
 明らかな誤読でないなら相手の意見を無理に説得する必要もないし、自分の意見に固執する必要もない。
 
 このような「からみ合い」が起こる理想的な「話し合い」が成立するには、以下のような条件のクリアが必要だ。

◆話し合いは,「発表会」とは違う。順番に1人ずつ話をするだけでは成立しない。 
◆話し合いは、聞き合いでもある。
 自分以外の子が、どんな意見を言うのかを楽しみにして耳を傾ける習慣がないと成立しない。
◆そして、話し合いは、伝え合いでもある。
 自分の意見をただ言うだけでなく、どう言ったら興味を持ってくれるか、どう強調したら別の意見の子にも伝わるか。
 「聴衆」を意識してプレゼンテーションする習慣がないと成立しない。


・・・これが、現在、文科省が主張している「言語活動の重視」「伝え合う学習」の本意とつながってくる。
 たった1つの正解志向をしようとしていた自分の方が古くて誤っていたのだ。

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