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August 29, 2010

「読書が滅べば日本が滅ぶ」

7年も8年も前のメモ書きが出てきた。
古いので出典は省くが、以下のような資料があった。

◆経済協力開発機構(OECD)は先進27か国が加盟する国際組織だ。
高校1年生がどんな読書をしているか加盟国が調べた。
日本の高校生はどうか。漫画や雑誌などの短い文章を読む生徒の割合が一番多かった。
小説のような長くて複雑な文章を読む生徒の割合は、一番少なかった。
 小説や伝記、ルポルタージュといった文章が長くて、難易度が高いものを読む生徒は、各国平均22%に対して、日本は3%と最低だった。
文章が短くて難易度が低い漫画とか雑誌を読む生徒は、各国平均の28%に対して、日本は74%にもなった。
若者の読書は惨たん(さんたん)たる現状だ。

・・・50%を超えない食料自給率や、5%にもならないエネルギーの自給率も大変だが、読書が3%というのもずいぶん心配な数字だ。
 はたして、現在はどうなのであろう。
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http://www.nara-c.ed.jp/gakushi/kiyou/H16/H16kiyou(PDF)/06kishimoto.pdf
 「読書指導についての一考察」

冒頭の次の言葉は重い!
◆平成16年2月3日に出された文化審議会国語分科会の答申で、改めて読書指導の重要性が強調された。
同年6月25日にこの答申の説明会があり、副分科会長の阿刀田高氏が「読書が滅べば日本が滅ぶ」という藤原正彦氏の言葉を取り上げて、読書の大切さを説いていた。
このように、半ば危機感をももって提唱される読書指導。最近の子どもの読書傾向や読書指導に関する法律や施策、近年行われている様々な読書指導の取組等について考察する。

ア OECD加盟国生徒の学習到達度調査(2000年)より
 資料として提示したのは、2000年のOECD加盟国生徒の学習到達度調査(PISA)である
 (表1 。これによると「趣味で読書する) 、ことはない」と答えた生徒が半数を超え、いかに読書に親しんでいないかが分かる。
 同じく「どうしても読まなければならない時しか、本は読まない」と答えた生徒が21.5%で、1位である(OECD平均12.6%)。「家に1~10冊の本がある」が10.1%で1位(OECD平均8%)であることを考え併せると、「本は持っているが読まない」ということになる。
ちなみに、「マンガを週に数回読む」と答えた生徒が58.8%にも上り、OECD平均の14.1%から考えると、群を抜いての1位である。

毎日新聞社と全国学校図書館協議会が毎年行っている「読書調査」の2004年の結果が出た。
これによると、1か月(2004年5月)に1冊も本を読まなかった小学生が7.0%、中学生が18.8%、高校生が42.6%となっている。
また、1か月の平均読書冊数は、小学生が7.7冊、中学生が3.3冊、高校生が1.8冊となっている。
ここからは、上の学校に進むほど本を読まなくなるという実態が明らかになっている。
特に1か月に1冊も本を読まなかった高校生は、半数近くになっている。
次に、この結果を3年前の同調査の結果と比較してみる(表2)。
1か月に1冊も本を読まなかった児童生徒は、かなり減少している。
小学生で3.5ポイントの減、中学生は24.9ポイント減で半数以下になっている。
高校生も24.4ポイントと、大幅に減少している。
1か月の平均読書冊数も、それぞれ1.5ポイント、1.2ポイント、0.7ポイントと、わずかではあるが伸びを示している。
これは、「朝の読書」をはじめとする様々な取組の成果といえるが、それでもまだ十分に本を読んでいるとは言い難い。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301/015.pdf
平成16年2月3日 文化審議会答申
「これからの時代に求められる国語力について」より

毎日新聞社・社団法人全国学校図書館協議会の「学校読書調査」によれば,小学校から高等学校までの児童生徒の9割前後が「本を読むことは大切である」と認識している。
それにもかかわらず,5月の1か月間に1冊も本を読まなかった児童生徒の割合は,小学校から中学校,高等学校と進むにつれて高くなる。
また,文化庁の「国語に関する世論調査」では,子供ばかりでなく全年代にわたって,ある程度の割合で「全く本を読まない」人が存在するという結果が出ている。
このことは,子供のみならず,大人にも「読書離れ」の傾向が認められることを示している。
こうした現状の中でも,特に小学校,中学校,高等学校と進むほど「読む本の冊数」が減るという状況は,国語力の育成という観点から,見過ごすことができない問題である。
このことは,学校教育において読書が十分に位置付けられていないことや受験などのために子供たちに読書のための余裕が十分にないこと,大人の「読書離れ」によって,身近な大人が読書をする姿を見ることが少ないことなどに起因するものと考えられる。
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(1)多くの小中学生は朝読書の時間があるから読書がゼロということはない。
   しかし、学校で決められた朝読書の時間以外ではどれくらい読書をしているだろうか。
   自分から進んで読書しているかどうかとなると、怪しい人はたくさんいる。
(2)では1ヶ月で何冊くらいの読書になるだろう。
   朝読書の時間だけ、1冊の本をいつまでもダラダラ読んでいる人はいないだろうか。
   読み始めたら面白くて放課も夢中になれるといいのだが・・。
(3)そもそも読書の内容・ジャンルはどうなのだろうか。
   同じ読書でも、文章が長くて難しいものと、漫画(絵本)のような文章が短くて簡単なものがある。
   朝読書の時間に漫画(絵本)のような簡単なものしか読んでいない人は、読書習慣の形成としてはよいが、いつまでもそれではどうかと思う。
(4)人のことばかり言えない。自分も、新聞や教育雑誌など短くてすぐに読めるものには手を出しますが、じっくり話の世界に引き込まれるようなものを手にしていない。
  みんなに毎日読書しろと言うのなら、自分も毎日読もうと思う。読まずに積んである本はたくさんある。

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August 28, 2010

自分の「普通」は、他者にも「普通」か?

かつて、国語の『注文の多い料理店』で授業した時のこと。
山猫から人間に13個の注文が出される。
中にはおかしな注文が混ざっている。
お話に出てくる二人の紳士は、頭に酢をふりかけても、まだ気づかない。
「注文が多くてうるさかったでしょう」と書かれてあるところで、ようやく気づく。

そこで、自分たちだったら何番目の注文で「だまされている」と気づくべきかを考えてもらった。

もちろん理由も考えてもらう。
また、他の注文ではおかしいことをきちんと説明できるよう「反論」にも挑戦させた。

理由として出てくるのが

◆「ふつうの料理店では、そんなことは言わない」

という言い方だ。
・若者と太った方大歓迎のお店
・くつをぬがせるお店
・金庫にお金を入れさせるお店
・クリームを手足にぬらせるお店
などについて

「ふつう、そんな店はありえない」

という人がいる一方で、

「そういう店があってもいい・そういう店もありうる」

というように分かれる。
 このように意見が分かれるというのは、

「自分の考えている『ふつう』が、必ずしもすべての人に共通しているわけではない」

ということです。
 難しくいうと

「自分の常識がすべて他人の常識ではない」

ということだ。
 例をあげるならば

 「目玉焼きにソースをかけることが『ふつう』の人には、しょうゆをかける人が信じられない」

 「ゲームに興味がない人は、何千円もするゲームソフトを買うことが信じられない」

ということだ。
 その人にとっては当然のことでも、ほかの人には信じられないということがありうる。
 だから目玉焼きにソースをかけるか、しょうゆをかけるかを話し合ってもまとまるわけがない。
 同じように考えると「普通の店」と「特別な店」の違いは、決して単純には決められない。

 したがって「普通の店は○○だから~」という論拠は危い。
 客観的な事実・誰もが納得する論拠を提出するのは、けっこう難しいのだ。

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August 18, 2010

読書感想文の書き方

昔は読書感想文を書くためには

(1)分かりやすい後がきを読む
(2)映画を見て、内容を把握する

ぐらいしかなかった。
今は

(3)人の書評がたくさんネットで検索できる

しかし、他人の感想文をまねても、いい読書感想文は書けない。
ありきたりの感想を書いても教師や選者の目には止まらない。

大事なのは「自分らしさ」である。

◆自分にも似た体験がある
◆自分も同じような気持ちになったことがある
◆もし、自分が登場人物だったら
◆この本を読んだ体験を生かして、こんな生き方をしてみたい。

というように書けば書くほどパタ―ン化されて、つまらなくなるかもしれない。

共感や反発や疑問・決意など・・・である。

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August 10, 2010

何を今さら! 高齢者行方不明

「何を今さら!高齢者行方不明」というコメントをするのも、「何を今さら!」の感がある。

40代・50代でホームレス生活に入り、もう何十年も家族と連絡を取っていない人がいる。
そのような事実は、「年越し派遣村』のようなニュースで分かっていたはずだ。

だから、少なくとも、そのようなホームレス生活の人が家族にいる世帯では、生存の確認できない行方不明者がいるということになる。

死亡届が出されない限り、その人は死亡したとはみなされない。いつまでも高齢者として存在する。

本気で「高齢者行方不明」という問題を整理したいなら、ホームレス生活している人が「誰」なのかをきちんと掌握すべきだ。そのような「入り口」の確認をしないと、.「出口」となる高齢者の生存確認は不可能だ。

結局、分かっていながら誰も面倒だから放置してきたのだ。
その意味では、今回の問題は行政の「不作為」であると思う。

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August 02, 2010

読解力向上の手だて

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 2007年にベネッセから無料配付でいただいた「子どもの読解力がぐんぐん伸びる本」。
 改めて読み返してみた。
 P3の解説を再確認。
 大前提であるが、大事なポイントだ。
◆以前の読解力は、文章の内容を正しく読み取ることを重視していました。しかし、今の読解力は、内容を正しく読み取ったうえで、自分の意見を述べるところまでが求められています。日常生活、そして社会に出たときに、相手が伝えようとしている内容を正確に読み取るだけに終わらず、さらに相手の意見を受けたうえでの自分の考えを論理的に伝えることが欠かせないからです。

 続いて第2章、「家庭で伸ばす読解力UPトレーニング」
 見出しだけ取り出して書き写してみるだけでも勉強になる。
 子どもに提示する言葉まで具体的に紹介されているからだ。

【まずは「言語トレーニング」】
 1・2年生 主語と述語を盛り込んだ会話を  「わたしは牛乳が飲みたい」
 3・4年生 自分の意見に「理由」を言わせる  「どうしてそう思ったの?」
 5・6年生 根拠と意見を文の形で言わせる  「太陽は東から昇るからあっちが東だ」

【情報の取り出し】・・「気付く観点」を伝えましょう
 1~3年生 比べることで違いに気付かせる 「比べてみようよ」
 4~6年生 気付いたことの理由を確かめさせる 「どうしてだと思う?」

【解釈】知識や体験と結び付けて考えさせる
 1~3年生 自分の経験を元に考えさせる 「同じような体験はあった?」
 4~6年生 よく似た事例が使えないか考えさせる 「似たような例で考えてみよう」

【熟考・評価】自分はどう考えたか言葉にする
 1~3年生 考えてわかったことを言葉にさせる 「どんなことがわかった?」
 4~6年生 わからなかったことも言葉にさせる 「何がわかって、何がわからなかった?」

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