« December 2010 | Main | February 2011 »

January 29, 2011

「発達障がい児本人の訴え」は、すごい!

01111151_4d2bc5be36bd6

 昨年の日本教育技術学会で話題になった、発達障がいをもつ小学校6年生が「夏休みの宿題」で、自分の体験を50ページほどのレポートにまとめた冊子が発刊された。

http://www.tiotoss.jp/products/detail.php?product_id=191

☆国語の授業で「どんな感じですか?」「どんな様子ですか?」 「どう思いますか?」という質問をされる。
 僕の頭の中は、意味が全然分からずチンプンカンプンになる。
 何も思い浮かばない。頭が真っ白状態。
 なんかイライラしてくる。

☆顔の表情や身ぶりで何かを伝えようとされる。
 さっぱり分かりません。
 
☆やってはいけない事・迷惑な事をしたときにはっきり言葉で言わないで、たとえ話で話をされると、さっぱり分からない。

 発売元の東京教育技術研究所のサイトには、次のように書かれている。

 クラスに1割近くいる発達障がいの子どもたちがどのように授業を受け止め、日々を過ごしているのか、本当はどうしてほしいのか。切実な思いが綴られています。 

自閉症グループの子どもは、時に話すよりも書くことの方が得意で、自分の気持ちをうまく伝えることができます。 
第一級の資料です、文字通りすべての先生に伝えたい内容です。 

 1は、TOSS教師による解説編。教科・分野別に対応策が書かれている。
 2は、平山ドクターによる解説編。これは叙述に即した長文のコメントが挿入されている。教師と違ってドクターの立場なので、龍馬君の訴えを全て受け止めながらも、龍馬君にも直してほしい部分があることを明記している。また医学用語等も含まれ、非常に勉強になる。
どちらも読みごたえがある。
 2冊セットで1000円という価格は、多くの人に手にとって読んでもらうための配慮である。
 ぜひ多くの先生が手許に置き、保護者との面談や研修会に活用してほしいと思う。

| | Comments (20) | TrackBack (0)

朝青竜と小沢さんの共通項

 1週間遅れになったが、大相撲で白鳳が6連覇で圧勝した。
大関陣の成績を考えると、白鳳が優位だったことは明確で、ついつい「朝青竜がいたらどうだったことか。・・」と考えてしまう。
 しかし、さすがに朝青竜への回顧はすっかり薄くなった。もはや過去の人である。
 確かに朝青竜の実力は高いものがあったと思う。引退しなければまだまだ実力を発揮し優勝数も伸ばし、相撲界で活躍していったことだろう。
 しかし、相撲さえ強ければ何をしても許されるわけではない、横綱らしい振る舞いを含めての横綱だからだ。
 だから、いくら「可能性」としてのさらなる優勝数の積み上げは霧散と言わざるをえない。
相撲界の信頼回復のためには朝青竜の解雇はやむおえなった。
 
 同じような論理が、民主党の小沢さんにもあてはまる。
 確かに小沢さんの政治的な実力と見識は高いものがあると思う。引退しなければまだまだ実力を発揮し政界で活躍できるだろう。
 しかし、政治力さえ強ければ何をしても許されるわけではない、政治家らしい振る舞いを含めての政治家だからだ。
 だから、いくら「可能性」としてのさらなる政界での活躍は霧散と言わざるをえない。
政界の信頼回復のためには小沢さんの辞職(引退)はやむおえなった。

※推定無罪の原則はあるから、この話題は、もっとあとでもいいかもしれないが、今の小沢さんの粘り方は、国民感情を逆なでしているので、思い切って書かせていただきました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 21, 2011

都市鉱山を狙え ~レアメタル争奪最前線~

1月18日の「クローズアップ現代」は、レアメタル争奪を狙う中国の国家戦略を伝える特集だった。

携帯電話やデジカメ、電気自動車などの製造に欠かせない希少金属「レアメタル」。 需要が拡大する中、産出国は中国やロシアなどに限られるため価格は高騰、資源小国の日本はその対策が急がれている。そんな中、注目が高まっているのが“都市鉱山”と呼ばれる使用済み製品からのリサイクルだ。 ある試算によると、日本国内には世界の消費量の数年分にも匹敵する大量のレアメタルが“埋蔵”されているという。日本では、この都市鉱山からレアメタルをリサイクルする国家プロジェクトも動き始めたが、産出国の中国はリサイクルにも本腰を入れ、資源獲得戦略を推し進めている。 はたして日本は対抗できるのか。 レアメタル争奪の最前線を追い、その可能性と課題を考える。
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2987  NHKのサイトから見られる6分の動画でも分かるように、日本で処分されたパソコンなどが、高値で買い付けられて大量に中国に運ばれる。 そして、中国の台州市に処分資源が大量に集められる。 レアメタル・レアアースの世界有数の生産国である中国は、廃棄物のリサイクル=日本の都市鉱山に目をつけ国家プロジェクトとしてリサイクルに取り組んでいる。 価格の決定権を握るためだ。 これが「資源戦略」だ。

日本は都市鉱山の資源だけでなく、リサイクル技術までは中国に持っていかれようとしている。
水資源も都市鉱山も中国が狙っているが、同じ図式か?
隣国がこれほどの戦略を立てていることを日本国はどう思っているのだろうか。
高く買ってくれるからと、ほいほい資源を売ることを野放しにしてよいのだろうか。
高く買ってくれるからと、ほいほい土地を売ることを野放しにしてよいのだろうか。

現在、大きな家電製品等は別のリサイクル法が適用されるため、リサイクルが一元化できず、貴重な資源が有効利用も有効備蓄もできないでいるそうだ。
車で音声だけ聞いていたので定かではないが、レアアース・レアメタルの含有量が少ないので使用済み製品を大量に集めないと回収(抽出)も不可能で、ある程度の量が集まるまで使用済み製品を貯めておかないといけないのだとの話だった。
それって、以前読んだ『リサイクルしてはいけない』(武田邦彦)にも書いてあったような気がする。
今はリサイクルにはコストがかかりすぎるから、コストが見合う時がくるまで貯めれてけばいいという趣旨だったような。

ゲストの中村崇氏(東北大学・多元物質科学研究所教授)の言葉が正確に引用できないので、中村氏をネットで調べてみた。

次のインタビュー記事は2009年1月。
「日本は何をやっているんだ」と他人事のように言っているが、日本でもレアメタル回収事業が開始されていること分かる。

http://eco.nikkeibp.co.jp/article/interview/20090126/100521/

● 2008年12月2日、経済産業省と環境省は、携帯電話などの使用済み小型家電から、レアメタルの回収および適正処理を推進する研究会を開いた。廃棄された電子機器などに含まれるレアメタルの量は、自然界の鉱石に含まれる割合よりはるかに多い。小型電子機器を回収・リサイクルすることで、資源の安定確保を目指す試みだ。既に秋田県大館市、茨城県日立市、福岡県大牟田市の3カ所で、回収のモデル事業が開始されている

次の記事も同様の趣旨だ。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/interview/20090126/100521/

その中で意外だったのが携帯電話の回収事業。
これは、下記にあるように、ただ資源の回収でなく、技術の流出防止であったのだ。

「廃電子機器はレアメタルの宝に山」 携帯電話には、「モバイル・リサイクル・ネットワーク」という、通信事業者やメーカーがサポートしている回収ネットワークがあります。ここに話を聞いたことがありますが、携帯電話を回収して得た資源の利益は、収集コストでほぼゼロになってしまうそうです。 ――コスト的にペイしないのに、なぜモバイル・リサイクル・ネットワークは携帯電話を回収するのでしょうか。

中村: 少し話がそれますが、携帯電話を回収しないと、中国が安く買い取ってしまうからです。安いとはいっても製品として買い取りますから、金属資源の価格よりは高くなります。
 中国に買い取られた携帯電話は、まず分解して組み立て直し、少しグレードの落ちた携帯電話としてリユースされます。それが壊れたら、今度はもう一度分解して中の部品のみを再利用する。そこまで使って、最後に金銀銅といった金属資源を取り出すんです。
 リユースのあとでリサイクルするネットワークが出来ているわけですから、環境には良いことです。でも、メーカーの立場としては、自分たちが作ったものを勝手に分解されて、寄せ集めの製品を作られたり、企業独自のノウハウまで盗まれてしまうことになる。“たまったものではない”わけです。

 携帯電話の回収事業が始まった段階で中国の脅威は周知されていた。
 ただし、一方で、廃棄製品によっては回収システムもないものがある。
 中村氏は述べている。

デジタルカメラや携帯音楽プレーヤー、最近あまり使われないMDプレーヤーやCDプレーヤー、カセットテープデッキ……このような、どこに持っていけばいいか分からないものに、資源性のある金属がかなり含まれています。  これらを1カ所に集めることで、廃棄されていた金属を資源化できるようにするのが、私の進めている取り組みです。
   コミックモーニングの『島耕作』でも、レアメタルについては、少し前に話題になっていた。  尖閣諸島の問題で急浮上した一面もあるが、前からの懸案事項であった。  尖閣の事件を契機に、日本の資源問題や都市鉱山の問題、中国の資源戦略について、もっと敏感になりたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 13, 2011

「主語を抹殺した男」~評伝三上章~

 『主語を抹殺した男 評伝三上章』 金谷武洋 講談社
 4062137801

【内容情報】(「BOOK」データベースより) 日本語は非論理的な言語ではない。文法が英語とは違うだけだ。日本語の文法構造を初めて合理的に解明した画期的三上文法。その先駆性ゆえに長らく不遇を託っていた「街の語学者」の生涯をカナダ在住の日本語学者が敬愛を込めて描く。

 『日本語には敬語があって主語がない』(金谷武洋著)から、派生して読んだ本。
 三上章が「象は鼻が長い」を出版したのは1960年。もう50年も前になる。
 学校文法が染みついた自分には、国語文法の系統や経緯を知るだけでも勉強になった。

 真偽のほどは定かでなく、金谷氏の主観の入りすぎた箇所であるが、P194の「学歴社会日本の差別構造」は印象に残った。

私は、もし橋本文法でなく、山田文法が学校文法に採用されていたら、日本語と日本人にとってどんなに良かったかと思う。文法の質として雲泥の差があるのは、山田文法は橋本文法よりもはるかの日本語の発想に根ざしているからである。学校文法にならなかった理由を忖度すれば、それはきわめてあきらかだ。山田が富山中学を中退しているからである。山田は独力で小中学校教員検定試験に合格し、その後、一歩一歩、文法学者への道を進んで大成した第一級の学者である。 しかし、いかに自分の頭で文法を編み出す実力をしめしても、「学歴は中学中退」と目にしたら、もうそれで文部科学省のお役人は思考停止してしまうのである。(中略)山田の「中学中退」に対して、橋本進吉は東京帝国大学言語学科の卒業だから比較の対象にならない。

 山田文法と同じように、三上文法も「抹殺・黙殺」された。
 そのあたりの様子は、P175・176に詳しい。

三上は今でこそ、とくに日本語教育界で優れた文法家と見なされるようになったが、生前は偏見と差別で苦労が絶えなかった。三上の著書と論文に対する当時の国語学会の反応は、じつに興味深い。(中略)1953年6月に50歳の三上が初めて上梓した『現代語法 序説』は、当初かなり注目された。  しかし、反響は一時的なものでしだいに下火となる。それだからこそ、当時からさらに半世紀を経た2006年の現在でも「学校文法」は十年一日の如く「文には主語と述語がある」と教えているのだし、海外の「日本語文法」でも「、「日本語では主語がよく省略されます」と説明される「第二英文法」のままなのだ。  けっきょく三上文法はどう評価されたのか、と言えば、「一介の高校数学教師の奇説」として、国語学会はまともに相手にしなったのである。「一介の」という表現が三上文法を語る際に、枕詞のように使われた。 ふたたび山口光の言葉を借りれば、「主語抹殺論以下の数多くの問題定義が、結局は黙殺された。」

 「主語を抹殺した男」の評伝は
 「主語に抹殺された男」の評伝でもあり「主語が抹殺した男」の評伝であった。

 上に引用したように、論文が話題になったのが1953年。
 ハーバード大学に招聘されたのが1970年(67歳)。
 アメリカに呼ばれたのがあまりに遅かった。
 睡眠薬を忘れ、身の周りの世話を一切仕切ってきた妹が同行しなかったために、何一つ成果を上げることなくわずか3週間で帰国した渡米。
ラストに向かって悲哀が増強される辛い1冊であるが、それでも「三上文法」を支援する金谷武洋氏の熱き思いに救われた。
 
 簡易だと言われる「象は鼻が長い」でさえ、自分には難解である。
 これを機に、再読にチャレンジしてみようと。

http://book.asahi.com/review/TKY200701230244.html

| | Comments (12) | TrackBack (0)

January 10, 2011

20歳の教え子たちは頼もしかった!

 中日新聞は元日以来「未来が泣いている~子ども貧国~」との悲しい特集を組んでいる。
 最初の第一印象は「そういう暗い話ばっかりするから、子供たちは未来に期待が持てなくて委縮してしまうんだ」である。新年早々マイナスイメージの増幅は気がめいる。
  しかし、現実に目をそむけてはいけないので、きちんと読む。
 「『お弁当を見れば、どういう生活をしてきたか分かる』とベテラン職員は言う。コンビニのパンやおにぎり、冷凍食材ばかりを詰めたもの。すさんだ生活の影響を最も受けやすいのが食だ。」とある。ケチャップをご飯にかけただけの夕食はあまりに悲しい。
 データ紹介の欄がある。

経済協力開発機構(OECD)が2008年に発表した報告では、日本の子どもの貧困率は13.7%で、7人に1人が貧困状態にある。非正規雇用の増加などで、20年前の12%から悪化した。ここでいう貧困とは、4人世帯で年収が254万円、2人世帯で180万円を下回ることで、生活保護基準にほぼ重なる。子どもの貧困は将来、さまざまな社会問題を生み出しかねない。さいたま教育文化研究所の白鳥勲さんは「本人がどれだけ努力しても貧困の連鎖を脱するのは難しい。社会が解決する問題だ」と話す。
よーく読む。

 20年前の貧困率は12%。これで8人に1人だから「増加」ではあるが、微増、「悪化」というほどの表現は過剰だと思う。
 見方を変えれば、20年も前からというか、いつの時代も生活保護を受ける層は存在したわけで、以前の層と、どこがどう違うかの検証が必要なのだと思う。ただ20年前というには、やはり日本ならではの終身雇用制が機能していて、「リストラ」なんて言葉がなかった頃だ。給与も景気も右肩上がりだった。
 
 ウイキペデイアの「生活保護」の解説によれば

厚生労働省の福祉行政報告例によれば、生活保護を受けている世帯の数(被保護世帯数、1ヶ月平均)は、1980年度(昭和55年度)の746,997世帯から1992年度(平成4年度)には585,972世帯にまで減少していたが、その後増加に転じ2004年度(平成16年度)には998,887世帯と1980年度(昭和55年度)の約1.3倍に増加している。2005年度(平成17年度)には110万世帯(外国籍約3万世帯含む)を超えた。2010年(平成22年)1月には、被保護世帯数1,318,761、被保護実人員1,827,652人となっている。高齢化や不況により、受給者数はさらに増えると予想されており、保護費財源をいかに確保するかが財政上の問題となっている。 実際に「福祉行政報告例」を見ると次のようにある。 平成21年度の1か月平均の「被保護世帯数」は1,274,231世帯(過去最高)で、前年度に比べ125,465世帯(前年度比10.9%)増加した。 被保護世帯数を世帯類型別にみると、「高齢者世帯」が563,061世帯(同7.5%増)と最も多く、次いで「障害者世帯・傷病者世帯」で435,956世帯(同7.1%増)となっている。

 新聞の特集記事のデータと印象が異なるのは、中日新聞の数値が「子どもの貧困率」であって、高齢者が含まれないからだ。
 いずれにしろ、貧困の問題の多くは、雇用の問題とつながってくることは明らかだ。菅首相が「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と強調したのは昨年の9月の代表選。今はどんな採用状況になっているのだろう。

 さて、成人式を終えた春日井市立中部中学校の卒業生から招待を受けて、親睦会に参加した。
 就職した者も、学生も、たくましく成長し、たくましく生きていた。
 中には、果敢に海外留学に挑んでいるものも何人かいた。
 親にこれ以上負担をかけたくないからと教職(教員免許)を取らなかったという者っもいたし、留学の費用もバイトで稼いだ者もいた。みんな保護者のことも気にかけながら精一杯生きている。そのたくましさ・頼もしさに魅了されたひとときだった。

 世間の厳しさに目をつむるつもりはないが、どうかマスコミは、こうした若者の存在に明かりを当ててほしい。
 今年の成人式のニュースは見ていないが、酔っぱらって騒ぎを起こすのは、ほんの一部である。
 恒例行事・年中行事のように、そのようなニュースを流す局があったら、『国賊』呼ばわりしてやろうと思う。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

January 04, 2011

絵本はソーシャルスキルを育む

Dscn1658

 

 チャイルド社の自由形 ことば絵本というシリーズがあって、付録のような形で、五味太郎の絵本がついてきた。
 手元には10冊ある。
 たまたま取っておいたものだが、改めて開いてびっくりした。

 

 よんでいます
 おこっています
 ないています
 はげましています
 おどろいています
 こまっています
 ほめています
 よろこんでいます
 わらっています
 たのんでいます
 おわかれしています

 

 それぞれ○○している人の様子が描かれていて「何と言っているでしょう」というような問いかけになっている。

(花瓶を割ってしまった男の子)
こまっています。なんといってこまっているでしょう?

 

(信号の前でメモを見ながら立ち往生しているおじさん)
こまっています。どんなことをつぶやいていますか?

 

(引っ越しの車の中で泣いている男の子と、泣きながら手をふってう女の子)
おわかれしています
「さよなら」のほかにどんなことをいっていますか?

 

 五味太郎の絵本を語彙を広げる国語の教材として利用している実践は多い。
 場面状況と人物の表情を見て、どんな気持ちで何と話しているか想像させるこのシリーズは、ソシアルスキルを高めるタイプの絵本だ。市販のソーシャルスキルの絵カードと同じ働きがある。

 

 五味太郎に限らず、このようなタイプの絵本は他にもあるのだと思う。
 ただ自分が気づかなかっただけだろう。

 

 小学校では、文字情報を映像化(イメージ化)し、場面に即した心情を読み取るような活動が道徳や国語で行われる。
 この絵本は、その前段階だ。
 映像を見て、その場に即した心情を読み取らせている。

 

 「泣いているねえ、なんで泣いてるのかなあ」
 「にこにこしているねえ、どうしてにこにこしているのかなあ」

 

といった問いかけは、この絵本に限らない。
 心ある親なら、ソーシャルスキルという言葉を知らなくても、ソーシャルスキルの絵カードなど買わなくても、絵本を読み聞かせしながら、適宜問いかけて子どもの「言葉」を引き出し、社会性を育んでいるはずだ。

 

 絵本の読み聞かせが大事だというのは、文字を十分理解できない子どもたちにも、

 

 行動と心情・場面と心情・ 表情と心情

 

の関連を考えさせ、疑似体験させ、言葉で表現させる絶好の訓練の機会になるからだ。

 

 むろん、読み手(与える側)に、その意識がなければ、そのような絵本の機能は全く働かない。

 

 「絵本」について、もっともっと追求してみよう。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

January 03, 2011

「交通戦争」と「自殺天国」などと呼びたくない

 年末に運転免許の更新で講習を受けた・・・ということは違反があったということです。
 その時、このままいけば、愛知県の連続ワースト1の記録は脱却できる。交通事故死も200人を下回りそうだとの話だった。
 そして、無事、そのような結果になった。

愛知、交通事故死の全国ワースト脱却 高齢者の件数大幅減                      2011年1月1日 11時57分

 愛知県内の2010年の交通事故死者数は197人(暫定)で、前年比30人減となり05年から続いていた全国ワーストを脱却した。09年と比較した死亡事故の減少率は全国1位の13・2%。特に高齢者の死亡事故が大幅に減少した。
 交通事故死者数が200人を下回ったのは、1945(昭和20)年以降では50年に169人を記録して以来。最多だった69年の912人の2割程度にまで減少した。
 県警は10年、全交通事故死者に占める高齢者の割合が4割を超えたため高齢者対策を重点的に実施した。7~10月に4万3711世帯の高齢者宅を警察官らが訪問。高齢運転者を対象にした「脳トレ教材」を作成して各署で講座を開き、高齢者の死者数を昨年より17人少ない90人にとどめた。
 このほか、死亡事故が多発している交差点で指導取り締まりを強化。歩行者が横断する時に車の通行を止める「歩車分離式信号機」を積極的に導入した。
 県警交通総務課の担当者は「高齢者の事故死者数が減っているとはいえ、依然高い比率を占めている。細やかな対策を講じていきたい」と話している。
 都道府県別の事故死者数のワーストは、東京と北海道が並び215人。
(中日新聞)

 いろんな数値が気になる。
 交通事故死者数が200人を下回ったのは、1950年以来というのもすごいが、最多だった1969年は912人だったというのもすごい。それにしても4年連続ワースト1、常に上位にランクしていた愛知県というのも悲しい事実だ。
 朝日新聞のネット記事によると、全国の死者は、警察庁によると、4863人で前年より51人減った。死者数は10年連続の減少、2年連続の5千人割れだが、減少率は1%でこの10年で最も少なく、減少傾向は止まりつつある。とのことだ。
 
 全国で4863人。 
 
 この数値が多いかどうかを図る1つの基準がある。
 ウイキペデイアに「交通戦争」の項目。

交通戦争(こうつうせんそう)とは、昭和30年代(1955年 - 1964年)以降交通事故死者数の水準が、日清戦争での日本の戦死者(2年間で1万7,282人)を上回る勢いで増加したことから、この状況は一種の「戦争状態」であるとして付けられた名称である。日本における交通事故での死者数は1970年にピークに達するがこの後減少。しかし、1980年よりふたたび増加に転じ1988年に1万人を超え、第二次交通戦争ともいわれる状況となった。

・・・1万人を越えた時期があることをを考えると、交通事故死者の数はうんと減った。
 油断は禁物だが、とても喜ばしいことだ。

 さて、一方で、自殺対策支援センターが発表しているように、自殺者の増加は楽観できない状況が続いている。
http://www.lifelink.or.jp/hp/realities.html

【年間自殺者3万人超 10年連続】
日本の自殺者数は、毎年3万人を超えています。98年に、年間自殺者数が急増(前年より8000人増加)して以来、高止まりを続けている状況です。
未遂者は既遂者の10倍はいると言われていますから、毎年30万人(一日1000人)もの人たちが自殺を図っている計算になります。

【交通事故死者数の5倍以上】
2007年の交通事故死者数はおよそ5800人。自殺者数はその5倍以上にのぼります。
「交通戦争」といわれた1960年代から70年代とくらべても、はるかに多くの人たちが自殺で亡くなっているわけです。

【自殺率 米国の2倍、英国の3倍】
日本の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は米国の2倍、英国の3倍で、先進国のなかでは群を抜いて高い状態にあります。
私たちの社会が、自殺の問題をタブー視し続けてきたために、対策が著しく立ち遅れてきたことの結果と言わざるを得ません。

 交通事故が激減し「交通戦争」の汚名を返上しても、「自殺天国」などといった悪名が残っている。
 年間自殺者3万人。この数値の異常さにきちんと向き合っていきたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« December 2010 | Main | February 2011 »