1月18日の「クローズアップ現代」は、レアメタル争奪を狙う中国の国家戦略を伝える特集だった。
携帯電話やデジカメ、電気自動車などの製造に欠かせない希少金属「レアメタル」。
需要が拡大する中、産出国は中国やロシアなどに限られるため価格は高騰、資源小国の日本はその対策が急がれている。そんな中、注目が高まっているのが“都市鉱山”と呼ばれる使用済み製品からのリサイクルだ。
ある試算によると、日本国内には世界の消費量の数年分にも匹敵する大量のレアメタルが“埋蔵”されているという。日本では、この都市鉱山からレアメタルをリサイクルする国家プロジェクトも動き始めたが、産出国の中国はリサイクルにも本腰を入れ、資源獲得戦略を推し進めている。
はたして日本は対抗できるのか。
レアメタル争奪の最前線を追い、その可能性と課題を考える。
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2987
NHKのサイトから見られる6分の動画でも分かるように、日本で処分されたパソコンなどが、高値で買い付けられて大量に中国に運ばれる。
そして、中国の台州市に処分資源が大量に集められる。
レアメタル・レアアースの世界有数の生産国である中国は、廃棄物のリサイクル=日本の都市鉱山に目をつけ国家プロジェクトとしてリサイクルに取り組んでいる。
価格の決定権を握るためだ。
これが「資源戦略」だ。
日本は都市鉱山の資源だけでなく、リサイクル技術までは中国に持っていかれようとしている。
水資源も都市鉱山も中国が狙っているが、同じ図式か?
隣国がこれほどの戦略を立てていることを日本国はどう思っているのだろうか。
高く買ってくれるからと、ほいほい資源を売ることを野放しにしてよいのだろうか。
高く買ってくれるからと、ほいほい土地を売ることを野放しにしてよいのだろうか。
現在、大きな家電製品等は別のリサイクル法が適用されるため、リサイクルが一元化できず、貴重な資源が有効利用も有効備蓄もできないでいるそうだ。
車で音声だけ聞いていたので定かではないが、レアアース・レアメタルの含有量が少ないので使用済み製品を大量に集めないと回収(抽出)も不可能で、ある程度の量が集まるまで使用済み製品を貯めておかないといけないのだとの話だった。
それって、以前読んだ『リサイクルしてはいけない』(武田邦彦)にも書いてあったような気がする。
今はリサイクルにはコストがかかりすぎるから、コストが見合う時がくるまで貯めれてけばいいという趣旨だったような。
ゲストの中村崇氏(東北大学・多元物質科学研究所教授)の言葉が正確に引用できないので、中村氏をネットで調べてみた。
次のインタビュー記事は2009年1月。
「日本は何をやっているんだ」と他人事のように言っているが、日本でもレアメタル回収事業が開始されていること分かる。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/interview/20090126/100521/
● 2008年12月2日、経済産業省と環境省は、携帯電話などの使用済み小型家電から、レアメタルの回収および適正処理を推進する研究会を開いた。廃棄された電子機器などに含まれるレアメタルの量は、自然界の鉱石に含まれる割合よりはるかに多い。小型電子機器を回収・リサイクルすることで、資源の安定確保を目指す試みだ。既に秋田県大館市、茨城県日立市、福岡県大牟田市の3カ所で、回収のモデル事業が開始されている
次の記事も同様の趣旨だ。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/interview/20090126/100521/
その中で意外だったのが携帯電話の回収事業。
これは、下記にあるように、ただ資源の回収でなく、技術の流出防止であったのだ。
「廃電子機器はレアメタルの宝に山」
携帯電話には、「モバイル・リサイクル・ネットワーク」という、通信事業者やメーカーがサポートしている回収ネットワークがあります。ここに話を聞いたことがありますが、携帯電話を回収して得た資源の利益は、収集コストでほぼゼロになってしまうそうです。
――コスト的にペイしないのに、なぜモバイル・リサイクル・ネットワークは携帯電話を回収するのでしょうか。
中村: 少し話がそれますが、携帯電話を回収しないと、中国が安く買い取ってしまうからです。安いとはいっても製品として買い取りますから、金属資源の価格よりは高くなります。
中国に買い取られた携帯電話は、まず分解して組み立て直し、少しグレードの落ちた携帯電話としてリユースされます。それが壊れたら、今度はもう一度分解して中の部品のみを再利用する。そこまで使って、最後に金銀銅といった金属資源を取り出すんです。
リユースのあとでリサイクルするネットワークが出来ているわけですから、環境には良いことです。でも、メーカーの立場としては、自分たちが作ったものを勝手に分解されて、寄せ集めの製品を作られたり、企業独自のノウハウまで盗まれてしまうことになる。“たまったものではない”わけです。
携帯電話の回収事業が始まった段階で中国の脅威は周知されていた。
ただし、一方で、廃棄製品によっては回収システムもないものがある。
中村氏は述べている。
デジタルカメラや携帯音楽プレーヤー、最近あまり使われないMDプレーヤーやCDプレーヤー、カセットテープデッキ……このような、どこに持っていけばいいか分からないものに、資源性のある金属がかなり含まれています。
これらを1カ所に集めることで、廃棄されていた金属を資源化できるようにするのが、私の進めている取り組みです。
コミックモーニングの『島耕作』でも、レアメタルについては、少し前に話題になっていた。
尖閣諸島の問題で急浮上した一面もあるが、前からの懸案事項であった。
尖閣の事件を契機に、日本の資源問題や都市鉱山の問題、中国の資源戦略について、もっと敏感になりたい。
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