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April 24, 2011

自然エネルギー構想~環境省・孫正義・福島県~

 4月21日、環境省から「平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果について(お知らせ)
という報道発表があった。
 原発の不安が高まる中でタイミングを計ったかのような発表だ。

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13696

からPDF資料を開いて読んでいくと

風力については
◆上表の導入ポテンシャルは、設備利用率を24%と仮定すると、東北電力管内:6,300億kWh/年東京電力管内:1,800億kWh /年の発電電力量に相当する。
また、上表のFIT対応シナリオは、設備利用率を24%と仮定すると、東北電力管内:210~830億kWh /年東京電力管内:5.3~42億kWh /年の発電電力量に相当する。但し、前記の通り、中短期の導入可能量は地域間連携設備能力の限界などを含めた検討が必要である。

地熱については
◆上表の導入ポテンシャルは、設備稼働率を75%と仮定すると、東北電力管内:230億kWh /年東京電力管内:93億kWh /年の発電電力量に相当する。
また、上表のFIT対応シナリオは、設備稼働率を75%と仮定すると、東北電力管内:13~68億kWh /年東京電力管内:0~14億kWh /年の発電電力量に相当する。
なお、温泉発電に適する高温で湯量が豊富な温泉も、東北及び東京電力管内には多く存在する。

といった報告がされている。

①基本シナリオ1(FIT対応シナリオ)…現状のコストレベルを前提とし、2011年3月に閣議決定された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(FIT法案)」において想定されている制度開始時点の買取価格及び期間で買取が行われる場合。

②基本シナリオ2(技術革新シナリオ)…技術革新が進んで、設備コスト等が大幅に縮減し、かつ、FIT法案において想定されている制度開始時点の買取価格及び買取期間が維持される場合。

などとあるが、正直なところ数値を自分で読み取るのが難しい。

朝日新聞は次のように報じ、原発40基分を風力でまかなえると書いている。

http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY201104210510.html

環境省は21日、国内で自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込めるか、試算した結果を発表した。風力発電を普及できる余地が最も大きく、低い稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込める結果となった。風の強い東北地方では、原発3~11基分が風力でまかなえる計算だ。
同省は震災復興にあたり、風力発電を含めた自然エネルギーの導入を提案していく方針だ。
今回の試算は、理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引き、さらに事業として採算性を確保できることを条件に加えた。
試算によると、固定価格買い取り制度など震災前に政府が決めていた普及策だけでも、風力なら日本全体で約2400万~1億4千万キロワット分を導入できる。風が吹いているときだけ発電するため、稼働率を24%と仮定。それでも出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約7~40基分に相当する。
ただし東北など電力需要を上回る発電量が期待できる地域がある一方で、電力会社間の送電能力には現状では限界がある。試算どおりに導入するのは短期的には難しいとみられている。
家庭以外の公共施設や耕作放棄地などを利用する太陽光発電や、用水路などを活用する小規模の水力発電についても検討したが、多くの導入量は見込めなかった。これらを普及させるには、さらに技術開発を促すなど追加的な政策が必要だという。
.

http://genuinvest.net/?eid=1542
は再生可能エネルギーの現状と可能性について述べている。

さて、環境省の発表の前日、孫正義氏の発表があった(と後で知った)。

ソフトB孫社長が脱原発財団設立 個人で10億円を拠出
2011年4月20日 18時52分

 ソフトバンクの孫正義社長は20日、民主党の東日本大震災復興ビジョン検討チームの会合に出席し、原発依存から脱して自然エネルギーによる発電を推進するための政策提言を行う「自然エネルギー財団」を設立することを明らかにした。
 孫氏によると、社長を離れた個人の立場で財団に少なくとも10億円を拠出する。
 孫氏は会合で、津波による甚大な被害を受けた地域の復興計画として、太陽光と風力による発電設備を大々的に整備する「東日本ソーラーベルト構想」を提案。自然エネルギーで発電された電力の買い取り制度の大幅拡充も求めた。
 孫氏は財団設立に関して「原発事故で多くの国民が不安を抱いている。安心、安全な自然エネルギーを日本にもっと増やせるように、世界の科学者100人くらいの英知を集めたい」と説明した。財団は数カ月以内に設立する。
 財団は、太陽光、風力、地熱発電などの研究に取り組む各国の科学者や企業の研究成果を収集・発信するとともに、政府に対して自然エネルギー普及に向けた提言をしていく。
(共同)

http://greenpost.way-nifty.com/softenergy/2011/04/post-e2dc.html

 4月20日にソフトバンクの孫正義社長は、自然エネルギーによる発電を推進するための政策提言を行う自然エネルギー財団と被災地に大規模に太陽光発電を導入し、エネルギーと雇用の両面から支える東日本ソーラーベルト構想を発表、大きな話題となりました。


http://minnade-ganbaro.jp/res/presentation/2011/0422.pdf
は、中学生でも分かるかのような明快な資料で、自然エネルギ―への変換を求めている。
 気になるのは、この孫氏の構想について、新聞・テレビでほとんど話題にならないことだ。
 真偽のほどは分からないが、マスコミは電力会社に遠慮して無視していいるのだとの書き込みもある。
 「脱原発」の主張は、タブーなのだろうか。
 ならば、先の環境省の発表もタブーということになる。
 一方、原発の被害が甚大な福島県では、自然エネルギーの構想が進められてきた。

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/energy_01vision.pdf
 「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」というプランがある。
 これは、(仮称)である。
 表紙を見ると、「平成23 年 月 福 島 県」となっている。
 2月にパブリックコメントを終え、いよいよ本格的な議論に入るところだったようだ。
 ビジョンには太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱など8種類のエネルギーの導入を促進するための施策を盛り込む。推進期間は来年度から平成32年度までの10年。
 福島県が「脱原発」を掲げて、再生可能エネルギー=自然エネルギで最先端になろうとしていた気迫がうかがえる冊子である。


第1 章 再生可能エネルギーを取り巻く社会経済情勢.......................... 1
1.1 エネルギー事情(国際的な動き、日本の動き) .......................... 1
1.1.1 世界のエネルギー事情............................................. 1
1.1.2 日本のエネルギー事情............................................. 2
1.2 日本の再生可能エネルギー導入目標と関連政策.......................... 3
1.3 再生可能エネルギーの概要、動向...................................... 5
1.3.1 再生可能エネルギーの概要......................................... 5
1.3.2 太陽光発電....................................................... 6
1.3.3 太陽熱利用....................................................... 6
1.3.4 風力発電......................................................... 7
1.3.5 バイオマス発電・熱利用・燃料製造................................. 7
1.3.6 温度差熱利用..................................................... 8
1.3.7 雪氷熱利用....................................................... 9
1.3.8 水力発電(大規模水力発電、小水力発電) ........................... 9
1.3.9 地熱発電(従来方式、地熱バイナリー発電) ........................ 10

第2 章 福島県における再生可能エネルギーの状況と導入目標................. 12
2.1 再生可能エネルギーへの取組み....................................... 12
2.2 再生可能エネルギー推進ビジョン(仮称)策定の意義................... 13
2.3 再生可能エネルギーの導入状況....................................... 14
2.3.1 再生可能エネルギー導入実績...................................... 14
2.3.2 再生可能エネルギー導入事例...................................... 15
2.4 利用可能量......................................................... 16
2.4.1 賦存量・可採量.................................................. 16
2.4.2 福島県の特性と再生可能エネルギー導入メリット及び課題............ 18
2.5 導入目標........................................................... 22
2.5.1 目標設定の考え方................................................ 22
2.5.2 導入目標........................................................ 23
第3 章 再生可能エネルギーの導入推進に向けて............................. 25
3.1 基本的考え方....................................................... 25
3.2 導入方策........................................................... 28
3.2.1 率先導入........................................................ 28
3.2.2 普及啓発........................................................ 29
3.2.3 導入支援........................................................ 30
3.2.4 各エネルギー種における方策...................................... 32
3.3 推進体制の整備..................................................... 35


 先に示した孫正義氏のビジョンと、同じ方向を示していることが分かる。
 
 「国のエネルギー政策をリードする『再生可能エネルギー先進県』の実現を目指します」(13頁)。
 「本県の再生可能エネルギーの導入目標の設定に当たっては、これまでのエネルギー供給県としての実績と役割の大きさ、地球温暖化の危機を回避するために諸外国が掲げている目標、そして一定の省資源・省エネルギー対策の成果などを考慮しながら、産学民官それぞれが役割を十分に果たした姿として、目標年度の2020 年には県内の一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合が30%を占めている社会を想定し、目標導入量(最大導入ケース)を設定します。」(23頁)。
とある。
 そのような矢先の原発事故だったのか、と思うと心中を察するに余りある。
 
 いわき市の市会議員佐藤かずよし氏のブログによれば、2月23日に東電に原発についての申し入れをしている。

 「福島第一原発では、今後10年以内に、2~6号機のすべてが営業運転40年を迎え当初の設計寿命を迎えますが、老朽化と設計寿命を超えた長期運転は、事故のリスクをますます拡大することになります」

・・・申し入れ後、1か月もたたないうちに懸念し事故が起きたのだから、これもまた心中を察するに余りある。

http://gogokazuyoshi.com/?m=201102&paged=2
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 脱原発福島ネットワークなど県内の市民団体12団体は連名で、「福島第一原発1号機の40年超運転に反対し情報公開と県民説明会の開催を求める申入書」を東京電力に提出し、速やかな回答を求めました。
団体の代表5名が今日23日東京電力福島第2原発のビジターセンターで東京電力広報部に手渡したものです。以下に申入書を掲載いたします。


     東京電力株式会社 社長 清水 正孝 殿 2011年2月23日

 福島第一原発1号機の40年超運転に反対し情報公開と県民説明会の開催を求める申入書

 貴社福島第一原発1号機は、3月26日に営業運転開始40年となり、当初の設計寿命を迎えます。国は、原発の高経年化対策として、運転開始30年を超える原発は通常の定期検査のほかに、10年毎に安全性の評価と点検などの保全計画策定を事業者に義務づけており、貴社は、昨年3月、最長60年まで機器・構造物を現在の保全活動継続で維持できるという技術評価書を国に提出し、2月7日、これを審査した経済産業省原子力安全・保安院が今後10年間の運転継続を認可しました。
 これまで、日本原子力発電敦賀1号機と関西電力美浜1号機が40年を超えて運転を続けており、敦賀1号機は6年、美浜1号機は最長10年運転した後は廃炉にする方針を明らかにしています。しかし、福島第一原発1号機は、廃炉の方針を示しておりません。福島第一原発では、今後10年以内に、2~6号機のすべてが営業運転40年を迎え当初の設計寿命を迎えますが、老朽化と設計寿命を超えた長期運転は、事故のリスクをますます拡大することになります。
 貴社がどのような見通しで福島第一原発1号機の40年超運転を実施するのか、設計寿命を超えて運転することの合理性と安全性に対して、福島県民は大いに不安を感じています。事業者である貴社は、当初の設計寿命40年を超えて長期運転に入る事態を重く受け止めるべきです。
 その上で、福島第一原発1号機の「高経年化技術評価等報告書」を住民・県民に情報公開することはもとより、経済産業省原子力安全・保安院の審査で指摘を受けた、原子炉圧力容器の中性子照射脆化に対する健全性評価や水位計装ノズルの応力腐食割れに対する耐震評価、さらには10年前の報告書の中性子束計測ハウジングの耐震評価でのS2地震発生時の亀裂安定性評価が亀裂安定限界応力に対する発生応力の比が0.98であったことと、今回の「水位計装ノズルの応力腐食割れに対する耐震評価」の関係などを明らかにして、事業者としての説明責任を果たすべきです。
 この際、住民、県民に直接説明する場をつくり、設計寿命を超えて長期運転することの合理性と安全性の根拠を説明すべきです。住民、県民の合意もないまま40年超運転を強行することは、許されません。効率優先で稼働率アップのために老朽炉を長期運転で酷使することは、安全性を犠牲にするものです。わたしたちは、以下申入れ速やかな回答を求めます。

1、福島第一原発1号機「高経年化技術評価等報告書」を公開し、県民への説明会を開くこと。

1、原子力安全・保安院の審査で指摘を受けた原子炉圧力容器の中性子照射脆化に対する健全性評価や水位計装ノズルの応力腐食割れに対する耐震評価の情報公開と説明を行うこと。

1、長期運転に伴う使用済み核燃料の保管および放射性廃棄物対策について明らかにすること。
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 東日本で被災された方々・避難されている方々の感情を考えると、自然再生エネルギー構想を前面にして復興計画を立てていく必要があると思う。


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