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May 01, 2011

「原発議論が民主主義深める」

「原発議論が民主主義深める」
と題した朝日新聞のサンデル教授のインタビュー記事は、含蓄のあるものだった。

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104230335.html

 サンデル教授インタビュー2011年4月24日9時17分

. サンデル教授は22日、米ハーバード大の学生主催のシンポジウムの後、朝日新聞などの取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

 ――福島第一原発の問題をどう見ているか。

 危機が起きる前、米国は原発推進に向かっていたが、再考を迫られた。他のすべての国も、エネルギー政策の安全性やリスクを新たな枠組みで議論することが避けられないだろう。

 だが、根本的には、膨大なエネルギー消費に依存する物質的に豊かな生活様式をどうするか、我々がどんな社会に住みたいかという価値観の問題になる。

 ――日本での原発の賛否をめぐる議論は激しいものになるかもしれない。

 私のアドバイスは、思慮深く、丁寧な議論をすること。絶対に議論を避けてはならない。社会が直面する最も困難な課題について、賛否両派が相互に敬意を持って、公然と討議できれば、民主主義は深まる。だからこそ、建設的に議論するための枠組みの設定が非常に重要となってくる。

 ――誰が枠組み設定を担うべきか。

 政治指導者に責任があるが、しばしば機能しない。有権者が望まないからだ。民主主義に不可欠な、自ら考えて議論する市民を育む教育の責任が大きい。メディアも意味ある議論を提起する義務がある。

 ――日本政府は11年度予算の途上国援助(ODA)削減を決めた。

 日本が震災後の緊急事態を過ぎた時、途上国援助で再び寛大な役割を担うことに、私は疑念がない。(ケンブリッジ=春日芳晃)

 「絶対に議論を避けてはいけない」ことの大切さは、逆を考えてみれば分かる。

◆何が何でも原発反対
◆何と言われようと原発は必要

と双方が一歩も譲らないのは「民主主義」ではない。
 サンデル教授が、よく言う「最大多数の最大幸福(ベンサム)」を追究するには、双方の歩み寄りが大切だ。

「賛否両派が相互に敬意を持って、公然と討議できれば」の意味は重い。

ただ・・・。

 相互に敬意をもつ前提は信頼関係である。
 提示するデータに虚偽やねつ造があれば、議論になるはずはない。
 今は、原発推進派のこれまでの安全の主張のどこに問題があったか、
 これまでの安全対策のどこに問題があったか。
を総括し、場合によっては謝罪し、責任を明らかにすることが大切である。
 原発反対派の意見を門前払いするような態度を続けてきた推進派に「相互に敬意を持って、公然と討議」する素地があるのかどうか。

ところで、孫氏の自然再生エネルギーの提唱に対して池田信夫氏が反論を加えている。


池田信夫ブログ:2011年04月24日 11:18

再生可能エネルギーは原発の代わりにはならない
.
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51701378.html

 私は太陽光に意味がないと言っているのではない。その用途は家庭用の小規模な利用が適しており、原発の代わりにはならないのだ。電力会社は、電圧や周波数の調整が面倒なので、料金だけ払って再生可能エネルギーの電力を捨てている。福島事故のあとは、送電網の調整ができないので電力の卸売市場は停止されている。

 つまり最大の障害は、技術ではないのだ。電力会社が送電網ももっているため、IPP(独立系発電事業者)との公正競争が成り立たないことが根本問題で、この構造が続くかぎり、再生可能エネルギーは補助金に頼らざるをえない。これは孫氏が「光の道」で激しく糾弾したNTTの独占を維持する構造と同じである。
(中略)

 だから孫氏が本当に再生可能エネルギーが原発より安いと思うのなら、発送電の分離を提案し、みずから投資してIPPに参入してはどうだろうか。経産省の改革派も、それを待っている。

・・・発電・送電の分離は、このところよく言われる話題である。
 発電・送電の分離はこれまでの電力会社の独占体制を揺るがすという意味において日本に大きな変革をもたらす。
 それぐらいの変革がないと日本の復興は成り立たないという機運が高まることを期待している。

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