アサーション・アサーテイブに精通しないと!
2006年10月に、「NOと言える国語の授業」がいじめから守ると題したブログを書いた。
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「生きる力」を育てるという教育目標が空虚に語られることあった。
「空虚」と断定したのは、具体的な指導内容が見えてこなかったからだ。
国語の授業と「危機管理」を結びつけて考えた事がある。
「No」と言える子を育てる国語の指導である。
肝心な時に自分の意思表示ができることは大切な言語能力である。
その代表が、
・嫌なときは嫌と言える。
・助けて欲しいときは大声で助けを呼べる
・きちんと断れる。「やめて」と言える。「NO」と言える。である。
そんな力も育てられない「伝え合う授業」とは、なんと情けないものかと思う。
どんな様々な指導をしようが、「NO」の意思表示もできず、自分の安全も守れないなら、誰もその実践を評価はしない。
ちっとも「伝え合い」になっていないのだから。
N0と言える子を育てる指導は「いじめ」から子供を救う。
もちろん、言うは易し、行うは難しである。
包容力のある授業をしないと、子どもは「No」とは言わない。
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この大元になった着想は、もっともっと古い。
サークル通信で書いていたころだから、2000年以前である。
さて、4年前、本校の児童の実態を次のようにとらえた。
①過度な自尊感情(自己評価が高い)
②過小な自尊感情(自信がない)
③自己主張ができない
④言われたことはできるが、自主性にとぼしい
・・・およそ、どの学校でもあてはまるような傾向である。
そのような実態を踏まえ、「他者との関わり合いの中で自分を見つめ・磨き・高められる子の育成」をねらった。
その前は「コミュニケーション能力の育成」をテーマにしていた。
上記の実態は相も変わらずだ。
今年度は、「関わり合い」を「話し合い」と限定して取り組むことにした。
そんな中で「互いに理解するためには、丁寧に聞きあうこと、自分の考えをきちんと伝えること、よりよい関係を作りたいと願うことが基」「アサーテイブ」「アサーテイブネス」という用語を耳にした。
アサーションは、検索すればたくさん出てくる。
http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/assertion1.htm
を参考に、箇条書きに列挙してみる。
①アサーションとはコミュニケーション・スキルの1つである。
②最近では企業や学校などさまざまな場面でアサーション・トレーニングが行われています。
③アサーションの発祥はアメリカで、1950年代に行動療法と呼ばれる心理療法の中から生まれた。
④当初は自己主張が苦手な人を対象としたカウンセリング技法として実施されていた。
⑤アメリカでその理論を学んだ平木典子氏が日本へ紹介し、日本の風土にあった方法で実践を行っています。
⑥アサーション(assertion)は、主張・断言などと和訳されますが、日本語としては少し強い表現という印象があるためアサーションの本来の意味にそぐわず、アサーションと和訳せずに言ったり、「(さわやかな)自己表現」といったりしています。
⑦ アサーションの理論では、コミュニケーションのタイプを大きく3つに分けて考えます。
A:アグレッシブ(攻撃的)
自分のことを中心に考え、相手のことはまったく考えない頭ごなしに叱責をするようなやり方。、
自分の気持ちは抑えることなく表現していますが、相手の気持ちは考慮していないので、相手は不快な思いをします。
また、怒鳴ったり威圧的な態度で表現するだけでなく、どんなに優しい口調で言ったとしても、相手に選択の余地のないような状況で頼み事をするなど、巧妙に自分の欲求を押し付けて、相手を操作して自分の思い通りに動かそうとする態度もアグレッシブな方法と言えます。
B:ノンアサーティブ(非主張的)
自分の感情は押し殺して、相手に合わせるようなやり方。
例えば、いつも友人に雑用を頼まれて嫌なのに、はっきりと断れずに引き受けてしまう態度。
このような態度は一見すると、相手を配慮しているようにも見えますが、自分の気持ちに率直ではなく、相手に対しても率直ではない。
自分の気持ちを抑え続けていると、次第に欲求不満がつのり、相手に対して「譲ってあげた」という恩着せがましい気持ちや、「人の気も知らないで」という恨みがましい気持ちになってしまいます。
C:アサーティブ
自分の気持ちや考えを相手に伝えるが、相手のことも配慮するやり方、自分も相手も大切にしたやり方です。アサーティブな自己表現では攻撃的な方法でも、非主張的な方法でもなく自分の気持ち、考え、信念に対して正直・率直に、また、その場にふさわしい方法で表現します。しかし、どんなにアサーティブに表現したとしても、それが相手に受け入れてもらえるとは限りません。お互いが率直な意見を出し合えば、相手の意見に賛同できないことも出てくるでしょう。そのときに、攻撃的に相手を打ち負かしたり、非主張的に相手に合わせたりするのではなく、お互いが歩み寄って一番いい妥協点を探ることがアサーティブなあり方であると言えます。
⑧どんなときにも攻撃的な方法での表現しかできない人や、非主張的な表現しかできない人もいる。
⑨また、友人など気心が知れた人に対してはアサーティブでいられるのに、親や上司など立場が上の人に対してはいつも非主張的になってしまったり、子どもや部下など立場が下の人に対しては攻撃的になってしまうなど、状況によってアサーティブな表現ができない人もいる。
⑩常に攻撃的・非主張的な人も、状況によってそうなってしまう人も、まずは自分がどのようなときにアサーティブでない態度を取ってしまうのかを振り返ってみるとよい。
・・・勝間和代著の「断る力」も、そもそもアサーテイブ(賢い自己主張)の発想がある。
自分を優位に立たせ相手を傷つける WIN-LOOSE
相手に合わせ、自分を押し殺す LOOSE-WIN
に対して、
相手も傷つけない・自分も押し殺さないアサ―テイブの発想は「WINーWINの関係」とも言える。
http://www.assertive.org/a/index.html
は、アサ―テイブ(アサーテイブネス)の考えが次の3つの柱からなると紹介している。
①Self-Esteem一人ひとりが自分を大切と思えること
一人ひとりが自分の存在を心から大切に思えること。それが、よりよい人間関係と社会を築くための土台であるとアサーティブジャパンは信じています。自己信頼とは、自分の心、願い、考え、生き方、価値観、そして身体を、まずは「かけがえのないもの」として扱おうとすることです。私たち自身が自己信頼を築くことで、相手に対する共感や思いやり、敬意の念が生まれるのだと思います。
②Human Rights自分の権利も相手の権利も尊重できること
アサーティブネスは、私たちの「感じる権利」「考える権利」「表現する権利」を尊重するコミュニケーションです。自分の権利を尊重すると同時に、相手の権利も尊重します。アサーティブジャパンは人権擁護の立場に立って、私たちがまず自分の権利を尊重できるようになることを目指し、その結果あらゆる人の権利が尊重される社会を目指していきます。
③Diversity and Equality多様な価値観の人と対等な関係を築けること
アサーティブジャパンは、多様な価値観の人たちが集える場を作ります。肌の色、文化、宗教、価値観などの違いを認めた上で、率直に対等に話し合いができる力をつけます。
バックグラウンドの違いを超えて互いに理解するためには、丁寧に聞きあうこと、自分の考えをきちんと伝えること、よりよい関係を作りたいと願うことが基本です。暴力でも戦争でもなく対話を通して理解しあうことを、パーソナルレベルでもグローバルレベルでも実現していくことを目指します。
互いに理解するためには、
①丁寧に聞きあうこと、②自分の考えをきちんと伝えること、③よりよい関係を作りたいと願うことが基本というのも、なるほど鋭い指摘だ。
「伝えあう力」や「コミュニケ―ション能力」の育成を意識するなら「アサ―ション」は、常に念頭に置いておきたい。
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