辞任騒動では菅首相の負け
菅首相は、次のように発言した。
「震災への取り組みに一定のメドがついた段階で、若い世代のみなさんにいろいろな責任を引き継いで頂きたい」
水面下でどのような発言や画策があったかどうかは分からないが、民主党代議士会での発言はテレビカメラを通して報道された。
この発言を聞いた時の自分の第一の感想は
◆いつ辞めるとは言っていないぞ!
◆そもそも辞めるとも言っていないぞ!
でも、その夜のニュースは辞任の時期を補正予算成立後のように勝手に解釈していた。
そして、すぐに鳩山氏や岡田氏のコメントで「言った」「言わない」のドタバタになった。
言ったか言わないか、で判断すれば菅首相が正しい。
菅首相は、代議士会の場では「言ってない」のだ。
玉虫色発言に振り回された反対派のミスだ。
まあ「皆まで言うな」と言質を取らなかった武士の情けをかけたのかもしれない。
しかし、やはり「菅さんの負け」である。
フィンランドメソッドに詳しい北川達夫氏の講演の記録をまとめたことがある。
そこで、次の3点をピックアップした。
◆相手がきちんと納得するように論理を組み、相手が理解できるよう表現する。
◆どんなに論理的でも相手が納得しなければだめ
◆表現の正しさ・論理の正しさよりも、相手に伝わる言葉かどうかが大事
菅さんの発言は、論理的には問題ない。
しかし、相手には伝わっていないし、相手は全く納得していない。
論理的に問題がないとしても、信頼は失われる。
一度は信じた反対派は、裏切られたショックが大きい。菅さんの発言を二度とは信用しないだろう。
そこまで不信感を増幅させたマイナスを考えたら、圧倒的に菅さんは不利だ。
これはアサーテイブ・アサーションとも似ている。
強気で自分の正当性を主張しても反感を買うようなやり方は結局自分を不利にする。
管さんや執行部が「玉虫色の発言」で延命工作に成功したなどと思っているとしたら大間違いである。
菅さんの主張は、パッシブ=攻撃的とは言えばないが、結局か自分の都合のみをごり押ししている。
相手の意見をい受け入れるアサーテイブとは正反対だ。
週末になって、辞任の時期について新たなニュースが出てきた。菅さんの側も、さすがに分が悪いと考えたのだろう。
でも失った信頼は戻らないぞ。
とはいえ、不信任案に賛成しようとした自民公民も、民主党一部も問題がある。
菅首相の代わりに誰をリーダーにするかを明確にしていないから賛成で合意できるだけで、その後の展開まで合意できるわけがない。
賛成側に回るはずだった民主党一部が、谷垣総裁まで推すはずがないのだから、不信任案が賛成多数で可決されたら結局は次のリーダーが決まるまで政治空白が起きる。
そんなことは分かり切ったことなので、民意は不信任案を支持しなかった。
あたりまえだ。
菅さんのうやむや発言も問題だが、自公民案に賛成しようとした民主党一部にも問題はある。
原発を推進させてきたのは、そもそも自民党だったのだから、自己反省のない自民党も信用できない。
だから、どこに反対・賛成というのでなく、みんなでまとまってやってもらうしかないのに。
の次の
「教育」カテゴリの記事
- 行動を価値づけする(2024.09.12)
- 人々が画一化しないために(2024.09.08)
- 「原爆裁判」については、ほとんど知りませんでした!(2024.09.06)
- パラリンピックの理念(2024.09.02)
- 先生が子離れしないと、子どもは自立できない。(2024.09.02)
Comments