『永遠の0』 百田尚樹
今年の夏も、書店に『永遠の0』が平積みになっている。
とてもいいことだと思う。
零戦パイロットであった祖父の秘密を、関係者から聞き取りで次第に明らかにさせていく構成も見事。
ラストも見事。
そして、実話ではないにしろ、戦争当時の状況・特攻部隊の悲惨さと勇敢さを知るには、実に貴重な1冊だ。
数冊、特攻部隊や太平洋戦争の実話ものも購入したが、作家による脚色がない分だけ読み進めるのが難しい。
『永遠の0』の詳細は、下記のサイトに詳しい。
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/topics/eiennozero/
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。 人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。
祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。 元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り……それが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか?
健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
実話か創作かにこだわる必要はない。
どうせ「実話」本にしたって、編集者や作家の意図によって切り取られた事実に過ぎない。
ならば、緻密な取材を基にしたフィクションだからと否定する必要はない。
読みやすいフィクションが、太平洋戦争について伝えるきっかけになるのなら、これは大いに利用すべきだし広げるべきだと思う。
ちなみに、フィクションながら、太平洋戦争についての深く考えさせられた他の作品。
◆横山秀夫 「出口のない海」
◆浅田次郎 「日輪の遺産」
この2冊も、中学生にお薦めである。
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