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November 26, 2011

「当たり前のことを当たり前にやるのが、一番難しい」

中日ドラゴンズの落合監督が退任することになった。
落合監督は、「俺流と言われてきたが」という問いに対して、次のように語っていた(11月23日の中日新聞)。


◆普通のことをやらせることができるかどうか。
継続してやろうと思ったら、基本に忠実に。
だから、書く側も見る側も面白くない。こつこつが一番近道だし、現実的。
私の中で、らしい野球というのは普通のことを普通にできるかどうか。考えている次元が違う。
当たり前のことを当たり前にやるのが、一番難しい

・・・名言である。
 久しぶりに「当たり前」の効用を耳にした。常勝チームを引きいた落合監督の言葉だから重みがある。

◆当たり前を続けると特別になる
◆微差が絶対差になる
◆「合言葉はABC」~当たり前のことをバカになってちゃんとやる~
◆凡時徹底

 どれも、同様の趣旨だ。

 折りをみて、同じ言葉を繰り返し提示する。
 同じような意味の違う言葉で変化を加えながら繰り返し提示する。

・・・とにかく、この精神をしっかり身につけさせたい。 


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November 20, 2011

TPPの議論(3)

◆その1
 TPPは多国間交渉であるが、実質は日米二国間交渉と同じだという反対論がある。

オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・
ベトナム・チリ・マレーシア・ブルネイ・ペルー

などが参加表明しているがGDPで換算すると日米豪で90%を超えるそうだ。

http://itokonnyaku.tumblr.com/post/2682016721/tpp-gdp

 「実質、日米二国間交渉」だからアメリカのいいようにされてしまう、という反対論がある。
 この不安を払しょくするには、オーストラリアやニュージーランドのような他の参加国の意向をきちんと取材して紹介すればいい。
 他の参加加盟国でも反対運動が起きているのかどうか、そのような冷静な分析がほしい。
 紹介されるのは、今回参加しない韓国の動向だけだ。

 FTAで痛い目に合った韓国がTPP不参加の意向であることは、よく伝わってくる。
 だから韓国に同調してTPP不参加すればいいのか。
 韓国FTAとは意味合いが違うからTPPに参加すればいいのか。
・・・互いの意見が平行線のままである。

◆その2
 TPPはアメリカの国策すべきなのかどうかは、オバマの一般教書演説表れているそうだ。

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-4168.html

 〈TPPはアメリカにとって「雇用戦略」でもある。オバマ大統領は2010の一般教書演説において「今後5年間でアメリカの輸出を2倍に増やす」という国家輸出戦略を提唱しており、「この先私が結ぶ貿易協定はアメリカの雇用に資するものだけだ」と発言していることからも解るとおり、TPPはその戦略の一つとして明確に位置づけられているのである〉


http://jp.wsj.com/US/Politics/node_26860
が一般教書演説全文。
和訳する力があれば、上記の意見が正しいかどうかがよく分かるのだが。

演説全文のどこかに次の言葉の該当部分があるとして・・。

「私たちは輸出を増やす必要がある。
今後5年間で輸出を倍増させ、国内で200万の雇用を支援する新たな目標を設定する。
そのために国家輸出イニシアティブを立ち上げ、農家や中小企業を後押しし、安全保障と併せた輸出規制改革を目指す」

http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2010/01/post-954.php

 アメリカの輸出倍増のターゲットが日本であり
国内雇用200万人のあおりを受けるのが日本であるという不安をが拭えない。
だからこそ、TPP賛成派は、この不安に正対してほしい。

 TPP参加・不参加の問題は、参加側に立証責任がある。
 反対側の不安を払拭するだけの説明を参加側がきちんと説明しなければならない。

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November 18, 2011

ダブルスタンダードで考えると論争が整理できる

できる人・やれる人には自己を高める努力を求め、もっともっとと厳しく要求する。
一方で、十分がんばっている人には「休めばいい・無理しなくていい」と言う。
これが、思慮分別のあるダブルスタンダードである。


そう考えると、勝間和代氏と香山リカ氏の「がんばらないで」の論争は、シングルスタンダードの弊害であることが分かる。

香山氏は、『しがみつかない生き方』を出版し「勝間勝代を目指さない」を帯にした(今は違う)。
http://news.livedoor.com/article/detail/4531267/

勝間に感化された女性たちが努力のし過ぎで疲れきってしまっていると指摘し、「カツマーになったことで不幸になる女性が増えている」と主張。 さらに、目標を達成できないことで自分を責め、うつ病を患い精神科を受診する女性が増えているとも明かした。

対する勝間は、相手を正面から睨みつける迫力満点の顔で、「努力そのものを楽しんでほしい」「年収が多い方が幸せになれるのが現実。目を背けないでほしい」と反論。「どうせ不況だから努力してもムダ」とあきらめる風潮を否定し、夫がいなくても子供を大学まで行かせられる「年収600万円」を目指して努力することが女の幸せにつながると、あらためて主張した。淀みなく言葉を並べ、今年の干支・虎が獲物を狩る時のような鋭い眼光で香山を威嚇する勝間、さすがの勢いである。

反論を受けた香山は「(勝間の理論は)勝ち組になれなかった人たちを切り捨てている」「勝間さん(の本)は金持ち仕様ってこと?」と返した。香山の言葉にヒートアップした勝間は、「香山さんこそが、下々の者みたいな感じで何にもできないと思い込んでいる」と口撃。香山は思わず「はぁ!?」と怒りの声を上げ、まさに女同士のガチバトルとなった。

 香山氏は『しがみつかない生き方』を出版しの」「勝間さん、努力で幸せになれますか」という共著もある。
香山氏の言うように、誰もが勝間氏のようになれるわけじゃない・全ての人が勝間氏をめざさなくてもいい、それはそれで正論なのだ。
 「『頑張ってもうまくいかない』『頑張れない自分はダメだ』……こう訴える30代、40代の女性の患者さんが増えています。という香山氏の訴えは切実である。
 
 ただし、 「ナンバーワンよりオンリーワン」や「がんばらないで」というメッセージが、本来がんばるべき人のサボタージュの口実になっても、これまた困る。勝間氏の言うように「どうせ不況だから努力してもムダ」とあきらめる風潮は否定したい。
 「ナンバーワンよりオンリーワン」や「がんばらないで」といったメッセージは甘やかすだけだという声を聞くが、シングルスタンダードで、ナンバーワンよりオンリーワンだと決めてしまうからいけないのだ。

 「あなたはオンリーワンでいい。十分がんばっている。無理しなくていいんだよ」
 「あなたはもっとできる。ここで気を抜くのはモッタイナイ。遠慮しないでナンバーワンをめざせ!」

と個別対応すれば問題はない。
 「善は急げ」と「急いては事をし損じる」といった正反対の格言が存在するのと同じで、時と場合に応じて都合のいい方を選べばよい。

 ダブルスタンダードは、個別指導である。
 ダブルスタンダードは不公平だと考えた自分の発想が貧困なのだが、世の中は何かと分かりやすい二項対立に持ち込みたがる。この安易な世の中の二項対立に巻きこまれないように注意しないと!

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ダブルスタンダードは教育的配慮である

 ダブルスタンダード=二重基準は、不公平な対応だと思っていた.
 だが、いろんな先生の話を聞くうちに、そうとも限らないと感じるようになってきた。

◆厳しく言っても通用する人には厳しく
◆厳しく言ったら逆効果の人にはやさしく

の方が望ましいと考えれば、相手かまわず厳しくすることも、相手かまわず優しくすることも逆効果だ。
その方が「思慮分別のない人間」ということになる。

言い方を変えれば
◆期待している人には厳しく
◆期待していない人には甘く
ということにもなる。

 「できる人には厳しく、そうでない人にはそれなりに」の配慮は差別でもひいきでもない。
 これは正当な個別対応だ。
 
「子どもが荒れるのは教師の授業技量が低いからだ」と厳しく言い放つことがある。
 一方で、実際に荒れてしまい疲労困憊している人には「自分を責めなくていい」とメッセージを送ることも大切だ。
 これも正当なダブルスタンダードの対応だ。

 かつてこのブログでも2006年、中日新聞7月18日付の朝刊「ひろさちやのほどほど人生論」の「正しいことを言うな」という言葉を引用したことがある。
======================
怠けている人間、遅刻した人、それぞれに事情があり、理由があるはずです。
その事情・理由を斟酌(しんしゃく)することなく正しいことを言う人は、じつは、ー正義という名の魔類ーになっているのです。
仏教では、その正義という名の魔類をー阿修羅ー
と呼びます。阿修羅というのは、本来は正義の神であったのですが、自分だけが正義だと思って、他人に対する思いやりがないために、神界から追放されて魔類になった存在です。(後略)
======================
教師は「よかれ」と思って平気で子どもを傷つけることがある。
悪意がない分だけ、たちが悪い。正義感を振りかざす鈍感な教師はまさに阿修羅である。
何も言わずにじっと相手の聞いて上げる行為が「慈悲」なのだとも書いてある。
今はきちんと問詰める場面か、深く追いつめるべきでない場面か、その程度の思慮分別は持ち合わせたい。

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November 12, 2011

3S活動 ~整理・整頓・清掃~

 日本テレビの土曜日夜11時放送の「先輩ROCK YOU 心ゆさぶれ」という番組がある。

 http://www.ntv.co.jp/rockyou/index.html

 10月29日放送の「トウルーストーリー」は印象的だった。

◆町工場再生そうじの魔法物語 / 古芝保治◆
ぞうきん一枚のおそうじからバブル崩壊の業績不振を打開した町工場の物語。

 主人公は金型工場社長・古芝保治さん。
 不景気で仕事が激減、職人たちも意気消沈。
 そんな暗中模索の末、彼は一人コツコツと職場のそうじを始める。

 すると今まで気づかなかった無駄なモノ、無駄な仕事が次々と見えてきた。
 そしてこの町工場に意外な変化が訪れる。
 細かい仕事と細かい気づきが大きな実を結ぶ瞬間。

という番組HPの粗筋だけでは、残念ながら伝わらない。
 仕事がないからと始めた清掃作業と道具の整理によって作業効率が上がり、きれいな工場だからという信頼から仕事の発注が増えていく。

 「古芝保治」で検索すると、あまりに有名であったことにむしろビックリ。
 you tubeの動画もある。
 http://www.youtube.com/watch?v=Erei4EGPSf8

 枚岡合金工具株式会社のサイトには
◆儲けとツキを呼ぶ3S活動の秘訣◆
http://www.sg-loy.com/
というパートもある。

 3Sとは整理・整頓・清掃を徹底すること。
 整理・整頓・清掃について具体的に指南もしてくれている。
================
 大切なのはSの数ではなく、日々欠かさずに心を込めて活動を実践継続することです。
 弊社では「守ることを決め、決めたことを守る」を徹底し、3S活動が習慣化するようにしています。
================
という趣意が、先の番組でも、よく伝わってきた。
 
 古芝氏には『儲けとツキを呼ぶ「ゴミゼロ化」工場の秘密』という著書もある。

 「整理・整頓・清掃」を、自宅でも職場でも心したい。


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TPPの議論(2)

JBPRESSというサイトが、「TPP議論が不毛なのは農業が想像を絶するほど多様だから」というコラムを掲載している。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5431

その5ページ目、「あまりにも大雑把すぎるTPP議論」という見出しで次のように書かれている。

=================
 TPP導入によって農業は活性化するのか、衰退するのか? 作物別に検討し、それらの結果を総合した上で、国益になるか否かを判断すべきなのです。
 その意味で、農水省が行う「TPPによって影響を受けるとされる19品目のシミュレーション」も、TPP導入派の言う「オランダやイスラエルをモデルにせよ」との主張も、私には説得力があるとは思えません。
 前者は19品目以外のことが見えていませんし、後者は、輸出競争力を持てると思える作物は何か、どの程度の市場拡大が見込めるのか、などを明示していません。
 農業分野に限ってTPP導入の是非を考えた場合、国内農産物が失う市場と、輸出によって拡大が見込める市場とどちらが大きいのかについて、誰も分からないのが実態ではないでしょうか。だから、論争はすれ違ったままなのです。
===================

・・・農業作物19品のシュミレーション結果が紹介されるなら、まだ、ましだ。
 現状は、とにかく「米農家の大打撃」だけが強調されている。
 米作だけが農業だけではないという事実に目をつむったかのようなTPP反対報道は偏向している。

 ところで、大量に安い米が輸入されたとして、どれくらいの世帯が輸入米に飛びつくものだろう。
 Aレストランが国産米、Bレストランが輸入米として、Bレストランの輸入米が支持されるだろうか。
  
 むろん、個々の零細農家が米作を営んでいては、コストがかさむのは当然である。
 米作が企業化されたり、一括生産化されたりすることで、コスト削減に努めてほしい。

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TPPの議論

TPP参加するかどうかで、大騒ぎになっている。
大事な問題だから、議論することは、とてもいい。強引に決定されても困る。
TPP賛成側には賛成側の論拠がある。
たとえば、次のような意見。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111104/223609/

 TPPが農業に壊滅的な被害をもたらすというTPP亡国論の最大の論拠は、農業生産額が半減し、コメの生産が9割減るとした農林水産省の試算だ。日本の農政を司る農水省は、関税障壁によってコメなどの重要品目を保護する一方、減反政策で米価を維持しようとする政策をとってきた。
 これに対し高木氏は、これまでの農業保護のあり方は間違っていたと自らの過去も含めて批判する。反対派の議論とは全く逆に、日本の農業再生のために、なぜTPP交渉に参加する必要があると説くのか。

 TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する人たちは、何から何まで総動員してTPPを非難しているが、私にはあまり説得力があるとは思えない。
 彼らは「TPPに入ると国の形が変わってしまう」というが、今は何が起きているのか。今はなし崩しに国の形が変わっているのだ。

 農村は疲弊し、いまや外国人労働者、いわゆる研修生の力を借りずには農業を維持できなくなっている現実をみれば、国の形はなし崩しに変わりつつある。農業はこのまま行けば右肩下がりだ。農林水産省の試算ではTPPに参加すると農業生産額が4兆1000億円消えるというが、この20年で農業総生産は4兆円減り、農業所得は半減した。
 地縁、血縁があるので、なかなか大きな声では言えないことだろうが、私が農村集落に行って話す限り、このまま行っても日本の農業は先の見通しが何もない。何もないどころか、人がいなくなっているという危機感は強い。
 これだけ高い関税で守ってきたのに、なぜそういうことになってしまったのか。それは農業の守り方が間違っていたからだ。
 間違っていた守り方を直すには、まず日本の農業の現状、強みと弱みををきちんと分析、検証することだ。そうすればTPP24分野の交渉の戦術はできる。どこに手を打たないといけないか、どれだけの期間をかけなければならないか。それを考えた上で交渉に臨めばいい。そして戦術の前に、この国の形をどうしていくか、という大きな戦略を作らなければならない。
 そうした戦略に基づいて、それでもなおコメを守る必要があるというのであれば、関税撤廃の例外品目にする、ないしは関税の削減幅を暫定的に限定する、といった要求をするなど、いろいろ方法はあると思う。そうした交渉もせずにTPPに入ったらまるでいきなり関税がゼロになるかのように、何の根拠にも基づかないで恐怖感を煽るのは冷静な議論を妨げるだけではなく、国の形を誤らせる。


・・・これ以上は、会員のみのサービスの文面になるので引用はしない。
 しかし、ここまでの意見で高木氏の主張はよく分かる。

 TPPに入ったら農業はガタガタになる、という人がいるが、今はすでにガタガタではないか、ということだ。
 そういう言い方は、現在の農業関係者に失礼だが、将来の展望が見えてこない。
 農業就労の年齢層を見れば、10年後20年後の見通しがないことは明らかだ。
 高木氏は言う。
 
 ◆これだけ高い関税で守ってきたのに、なぜそういうことになってしまったのか。それは農業の守り方が間違っていたからだ。

 これは、逆の言い方もできる。

 ◆高い関税で守ってきたから、こういうことになってしまったのだ。それは農業の守り方が間違っていたからだ。

 食糧生産=食糧自給という分野には、確かに「競争力」はなじまない。
 なぜなら「もうからないから止める」と投げ出されたら食糧が確保できないからだ。
 だから「もうからない部分は、支援するから、頼むから食料生産を続けてほしい」と保護政策に努めてきた。
 とはいえ、その支援も「潤沢な資金援助」ではないから、若者が専業農家として臨んで就労するほどでない。
 つまりTPPに入ろうが入るまいが、今のままでは農業は崩壊寸前なのである。
 ならば、TPPを機会にして、いずれは訪れる農業崩壊を前倒しするなり、システムを変えるなりのアクションを起こすべきなのだ。
 
 ◆TPPに入ると崩壊するから反対。すべてが今のまま。

では、反対派の意見は議論の対象にならない。
 TPPに反対なら、「TPPに入らずに、どうしたら農業は再生するか」の代案を出すべきだ。
 むろん、TPP賛成派も、具体的な「農業再生プラン」を示すべきだ。
 双方の再生プランを、しっかり見極めたいと思う。

 ちなみに、「食糧自給率」を論拠にするが、カロリーベースの食糧自給率の計算は、空虚であることが分かっている。今なお「食糧自給率」を訴える意見は、要注意である(空虚であるという意見を論破しての意見なら価値はある)。
Photo

 

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