« December 2011 | Main | February 2012 »

January 09, 2012

「食べログ」以上にタチの悪いグルメ番組

 飲食店ランキングサイト「食べログ」で、「やらせ業者」にランキング操作されている事例があった。
 全く驚かないが、そういう事件があったことは、ぜひ、盛大にニュースで取り上げてほしい。
 「ネットの口コミ(そもそも口コミ)を安易に信用してはいけない」
という常識を再確認したいからだ。

 とはいえ、「食べログ」の口コミ操作を批判できるほど、マスコミは健全だろうか。
 テレビ番組で「ネットの口コミは信用できないですね」といった批判的なコメントを出すならば、まずは、自分たちは「どこまでは広告としてやっている・それ以上はやっていない」と説明すべきだ。

http://make-ting.com/page/3/

には「メディアによるよくあるヤラセマーケティング4種類」が紹介されている。

1.旅番組とグルメ番組系

 取り上げるのは広告費を支払っている会社やお店だし、進行はすべて台本通り。

2.あの話題のブランドが初上陸!系

 まあアパレルだと日本参入時の広告費は3ヶ月1億~が相場らしいので・・・。

3.憧れのモデルが・・・!系

 よくテレビで見るモデルさんや女優さんに、今ハマっていますとブログに載せてもらって数十万。
 トーク番組などで紹介して数百万。

 最近、テレビ番組でゲストがお土産紹介するのが多いのも、代理店→タレントor番組に依頼があるからです。

4.一晩にしてカリスマに・・系

 某巨大ダンスミュージック系レコード会社がよくやる、重点マーケティング対象の新人歌手の新曲をガンガンCMに出し、その見返りとして音楽番組などに出しまくる、というパターン。

・・・グルメ番組だって広告料をとっていて、紹介されたお店では「○○で紹介されました」とPRしている。
「食べログ」の問題でショックを受ける人は、そのようなグルメ番組のカラクリもご存知ないのかもしれない。

 ちなみに「プロダクトプレイスメント」という手法もある。

映画作品、テレビ番組、テレビゲームなどの中で、企業の製品を使用したり、その製品や企業ロゴを映し出したりすることによって、消費者に広告という意識を持たせることなく、その製品の宣伝効果を狙う手法。
テレビの場合、CM時のチャンネルスイッチや、テレビ録画機のCMスキップ機能の発達などにより、広告効果の低下が懸念される中で、プロダクトプレイスメントが脚光を浴びるようになった。
古くは、スピルバーグ監督の映画『E.T.』(1982年公開)の中でE.T.がリース社のお菓子を食べる場面などで使われた。
テレビドラマのスポンサーになった自動車メーカーの新型車が、ドラマの中でさりげなく登場したりするなど、様々な場面でこの手法が用いられている。 ( 高橋郁夫 慶應義塾大学教授 )

http://kotobank.jp/word/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%80%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88

 我々は常に「広告」の中で暮らしている。
 グルメ雑誌に登場する店は、「広告料を払った店」と捉えた方がいい。
 実際は広告料を払っていないかもしれない。しかし、「払っていない」という確証がないなら、自己防衛した方がいい。

 今さら「ネットの口コミの情報操作」ぐらいで憤るのも、どうかと思う。テレビの方が影響も大きくタチも悪い。
 それでも、報道される意義はある。
 繰り返すが、「メデイアレティラシー教育」の一環として、時々ニュースになってくれればと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 08, 2012

『質問する力』(大前研一)

Omae

 大前研一氏の「質問する力」(文春文庫)を読了した。
 自宅で埋もれたままの本であったが、ようやく読み終えた。
 2005年3月が第1刷。手元にあるには2006年の第3刷。
 1990年代。2000年代の経済の危機的状況や日本人の危機意識の希薄な状況が語られているが
 2011年を終えても事態が全く好転しないところに、空恐ろしさを感じてしまう。
 現在進行形で生きている自分の時代を客観視するのは難しい。
 だから、少し前の話題と比べながら、現在を考えると、現実が認識しやすい。

 例えば、「国の年金はあてにしない人生設計をする」の項。

◆◆◆
 今もし国民全員が「年金って、本当に大丈夫なんですか?」と政府に質問したとします。
たちまち年金制度は崩壊してしまうでしょう。
なぜなら、少しも大丈夫などではないからです。
年金はいま支払い予定に対して収入が不足しています。それを年金債務といいますが、これが八百兆円もあるのです。
国と地方が国債と地方債で約七百兆円の負債を抱えていることはよく知られていますが、国が勝手に出したこの債券と、払うと約束した年金、それを全部足していくと少なく見積もっても千五、六百兆円、下手をすると千九百兆円ぐらいになるのです。
(中略)
つまり日本政府はとうに破産しているのです。国債だけでも破産している上に、年金債務でも破産している、二重の破産状態なのです。
ですから、これから先は、国が払うと約束したのに払ってくれないという局面が必ず出てきます。
政府はまず年金や保険の掛け金を上げるでしょう。次に年金の支払いを開始する年齢を次第に上げていくはずです。
計算してみると、年金の支給開始年齢を七十五、六歳まで引き上げていかないと間に合わないことになっていきます。
日本人の寿命を八十歳とすると、死ぬまでのほんの四、五年しかもらえないことになってしまうのです。
◆◆◆

・・・これが2004年当時の認識である。
 「消えた年金問題」で大騒ぎしたのは民主党政権になる以前。
 厚労省大臣が舛添氏から長妻氏に変わったが、十分な対処はできずに終わってしまった。

 2011年になって、支給開始年齢の引き上げと、それに対応させる60歳定年引き上げの話題がのぼったが、
こうしてみると、大前氏のシナリオ通りであることが分かる。

 にも、かかかわらず年金問題に対して自衛策をとらないのでは、一見真面目なアリさんだと思っていた自分が、実は路頭に迷うキリギリスのような生き方だったということになる。
 「あれほど警告したのに、どうして手を打たなかったの?」ということにならざるをえない。

p158にも、同様の指摘がある。
◆◆◆
今の意味のない無駄遣いの結果、十年、二十年して税負担が重くなり、年金負担が重くなったときに、若い世代の人たちは「ノー」と言うでしょう。
結果として支給開始年齢が高くなり、支給額が低くなり、最終的には全額切り捨てということになります。
今、天からお金が降ってくると思って無駄な公共事業をやっている現役世代の人たちは、因果応報で最後は被害者になるに違いありません。
◆◆◆

「質問する力」は、
※問題意識・当事者意識をもてるかどうか
※自分の意見を相手にぶつけられるかどうか
でもある。

そして、最後は
※「自分の身は自分で守れ」ということになる。

 中途半端に「分かったつもり」になって浅いまま終えてしまうのがよくない。
 常に「疑いの目を持つ」という意味でもある。
 本書では、小渕氏が、謙虚に大前氏に教えを請う場面が紹介されている。

 学問の基本も「疑う」ことなのだと、改めて考えさせられた1冊であった。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

January 07, 2012

自分にとって当たり前の『レインマン』だが・・。

519qafd3sl__sl500_aa300_


 中日新聞夕刊の連載「主人公たちのカルテ~精神科医が読む文学」岩波明執筆で、『レインマン』が紹介されていた。(1・5)
 リアルタイムで知っている自分と違い、最近の若者教師は知らないのだろう。

ウイキペデイアから一部抜粋
◆『レインマン』(原題: Rain Man)は、1988年公開のアメリカ映画。
◆主演はダスティン・ホフマン、トム・クルーズ。
◆第61回アカデミー賞と第46回ゴールデン・グローブ賞、さらに第39回ベルリン国際映画祭においてそれぞれ作品賞を受賞。
◆自由奔放な青年と、重い自閉症の兄との出会いと人間としての変化を描いたヒューマンドラマである。
◆レイモンドのモデルはアメリカやイギリスでその驚異的な記憶力が話題となったサヴァン症候群患者のキム・ピーク。

 20年以上前の映画だから、見ていない教師がいて当然だ。
とはいえ、リアルタイムで見た自分だって、当時は「映画の世界」のおおげさな話としか見ていなかった。
 岩波氏の紹介を引用する。
=================
 レイモンドは、一度見聞きしたものは残らず記憶することができる。例えば、モーテルで電話帳にざっと目を通しただけで、翌日には近くの近くの食堂のウエートレスの電話場号を口走る。また、飛行機に乗るのが怖いため、過去の飛行機事故のデータを次々に並べたててチャーリーを驚かせる。このような並外れた記憶も、自閉症においてしばしばみられる現象だ。昆虫図鑑を一冊丸暗記する少年や、ある場面をそのまま映像として詳細な部分まで記憶するケースも存在している。
ほかにも、レイモンドの行動には特徴がある。食事の仕方、着替え、物の置き方など、生活のすべてを決まったやり方で行うため自ら作った規則によってがんじがらめになっているのだ。これを強迫症状と呼ぶ。この手順が少しでも狂うと、彼は不安でいたたまれなくなる。好物のピザを食べる時には、すべて同じ大きさの四角に切り、あらかじめ決めた順序通り、ゆっくり食べるのである。
===================

 弟のトム・クルーズが、パニックを起こす兄とうまく対応している。ラストもハートウオームだ。
 それでも兄のギフテッドな才能を利用してギャンブルを仕組むなど、映画としての面白さが、自閉症を見世物にしているようで嫌悪感があったことは否めない。
 1980年の『エレファントマン』が、奇病に悩む主人公の姿を「奇異の目」でとらえていた。その延長のような印象があって、100%は映画の世界に入れなかった。

 年配の先生は、極端な事例ではあるが「レインマン」のようなタイプ=という言い方で自閉症の説明が通じることがある。
 しかし、それでは通じない年代があるということを肝に銘じて、対処していかねばと思う。 

| | Comments (70) | TrackBack (0)

January 02, 2012

三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる

◆三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる◆

 「江戸仕草」について、調べたことはあったのだが、これは初耳だった。
ネット検索すれば、たくさんヒットする。

http://edoshigusa.storageserver.jp/menu2/content5_1.html
は、動画の解説もあり、わかりやすかった。「江戸しぐさ」について詳細に学ぶことができる。

http://www.city.saga.lg.jp/contents.jsp?id=19425
は、平成21年6月の「佐賀市教育長の言葉。

http://nippon7777.exblog.jp/12398146/
http://hachamanworld.jugem.jp/?eid=452
なども含め、1つずつまとめてみる。

▼三つ心(みっつこころ)
 「三つ子の魂 百までも」と言われるように、三歳までは愛情深く子供に接し、人に対する信頼感を植え付け、心の大切さを理解させる。
 自分が家族や周囲の人々から大切にされているという安心感・信頼感は人にとって最も基本的な要素。
 そのためには、まず親は子どもを抱きしめて、愛情を注ぎ、そして美しいものや自然を見せ、手本のしぐさを見せ、みずみずしい感性に訴え、見よう見まねで子どもに覚えさせていく
 「子どもは親の言うとおりにはならない、親のしたとおりになる」と言われるように、愛情を持って接することと、正しく見本を見せることが大切

▼六つ躾(むっつしつけ)
 六歳までに、日常生活のしぐさ・作法の基本を身につけさせるために何度も何度も出来るまで繰り返し行う。「鉄は熱いうちに打つ」と言われるように、この時期の子供に躾という1本の筋を叩き入れなければならない。脳と体を結ぶ心の糸の動かし方を、親が手取り足取りまねをさせて、スムーズに動きができるようにさせることとしており、家庭での教育力が試される。

▼九つ言葉(ここのつことば)
 九歳までに、どんな人にも失礼にならないあいさつや、他人への口の利き方を教える。
 特に、人間関係を円滑にする挨拶ができることが必要で、気配りの心をもった挨拶ができることを九歳までに身につけるよう徹底した。
 自分の言葉で話ができるようにと、親がいろいろと話しかけ、会話を通して語彙を増やし言葉の使い方を学ばせた。
 

▼十二文(じゅうにふみ)
 十二歳までに、文字を自在にあやつり、きちんと中身が伝えられる文章を書けるようにする。
 親に何があっても直ぐに跡を継げるように一家のあるじの代わりに手紙を書けるようにしておくことである。注文書や請求書、苦情処理の弁解書もまがりなりにも書けるよう鍛育していた。実用的な書類の作成から、相当の作文力まで求めていたことになる。

▼十五理(じゅうごことわり)
 「十五理」とは、経済、物理、科学などの森羅万象の自然の原理を暗記でなく実感として理解できるようになること。

※「末決まる」と言う言葉で示されているように、子どもが自立できるかどうかは、親のしぐさによるところが大きいと見ていた。各年齢の段階の育ちを経ていない子どもの親は、「親の顔が見たいもんだ」と揶揄され、責任も問われた。江戸時代は、厳しい子育てが親には課せられていたと言える。
  

 3歳・6歳の「心と躾」は主として家庭の教育。
 9・12・15歳の「言葉・文・道理」は主として学校教育。
 3歳で大切な愛着行動、6歳で大切なモデリング
 9歳・12歳の「読み書き」
 15歳の「総合知」
・・・まさに今に生きる江戸の知恵である。

 ちなみに
◆子どもは親の言うとおりにはならない、親のしたとおりになる◆
という言葉も、心しておきたい。
 

| | Comments (277) | TrackBack (0)

« December 2011 | Main | February 2012 »