「食べログ」以上にタチの悪いグルメ番組
飲食店ランキングサイト「食べログ」で、「やらせ業者」にランキング操作されている事例があった。
全く驚かないが、そういう事件があったことは、ぜひ、盛大にニュースで取り上げてほしい。
「ネットの口コミ(そもそも口コミ)を安易に信用してはいけない」
という常識を再確認したいからだ。
とはいえ、「食べログ」の口コミ操作を批判できるほど、マスコミは健全だろうか。
テレビ番組で「ネットの口コミは信用できないですね」といった批判的なコメントを出すならば、まずは、自分たちは「どこまでは広告としてやっている・それ以上はやっていない」と説明すべきだ。
には「メディアによるよくあるヤラセマーケティング4種類」が紹介されている。
1.旅番組とグルメ番組系
取り上げるのは広告費を支払っている会社やお店だし、進行はすべて台本通り。
2.あの話題のブランドが初上陸!系
まあアパレルだと日本参入時の広告費は3ヶ月1億~が相場らしいので・・・。
3.憧れのモデルが・・・!系
よくテレビで見るモデルさんや女優さんに、今ハマっていますとブログに載せてもらって数十万。
トーク番組などで紹介して数百万。
最近、テレビ番組でゲストがお土産紹介するのが多いのも、代理店→タレントor番組に依頼があるからです。
4.一晩にしてカリスマに・・系
某巨大ダンスミュージック系レコード会社がよくやる、重点マーケティング対象の新人歌手の新曲をガンガンCMに出し、その見返りとして音楽番組などに出しまくる、というパターン。
・・・グルメ番組だって広告料をとっていて、紹介されたお店では「○○で紹介されました」とPRしている。
「食べログ」の問題でショックを受ける人は、そのようなグルメ番組のカラクリもご存知ないのかもしれない。
ちなみに「プロダクトプレイスメント」という手法もある。
映画作品、テレビ番組、テレビゲームなどの中で、企業の製品を使用したり、その製品や企業ロゴを映し出したりすることによって、消費者に広告という意識を持たせることなく、その製品の宣伝効果を狙う手法。
テレビの場合、CM時のチャンネルスイッチや、テレビ録画機のCMスキップ機能の発達などにより、広告効果の低下が懸念される中で、プロダクトプレイスメントが脚光を浴びるようになった。
古くは、スピルバーグ監督の映画『E.T.』(1982年公開)の中でE.T.がリース社のお菓子を食べる場面などで使われた。
テレビドラマのスポンサーになった自動車メーカーの新型車が、ドラマの中でさりげなく登場したりするなど、様々な場面でこの手法が用いられている。 ( 高橋郁夫 慶應義塾大学教授 )
我々は常に「広告」の中で暮らしている。
グルメ雑誌に登場する店は、「広告料を払った店」と捉えた方がいい。
実際は広告料を払っていないかもしれない。しかし、「払っていない」という確証がないなら、自己防衛した方がいい。
今さら「ネットの口コミの情報操作」ぐらいで憤るのも、どうかと思う。テレビの方が影響も大きくタチも悪い。
それでも、報道される意義はある。
繰り返すが、「メデイアレティラシー教育」の一環として、時々ニュースになってくれればと思う。
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