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March 25, 2012

「セカンドベスト」を受け入れられる生き方

 「セカンドベスト」という言葉を聞いた。
 辞書的には「最善ではないが、その次ではあること。」となる。

 孫引きになるが、次のような解説があった。

http://www.shiawasehp.net/diary/200901/27.html

 『不思議なくらい心が強くなるヒント』(ルイス・ターターリャ)より、

 私たちは、ベストな解決法に気づいているが、それを実行するのは不可能だと思いがちである。
 なぜ、よりよい方法を実践しないのかといえば、創造性が欠けているからである。
 もしベストな方法がムリなら、セカンド・ベストな方法でもいいじゃないかと考えて、気軽に行動する習慣をつけよう。

 ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏に、『やれば、できる。』 (新潮文庫)という著書がある。
 アマゾンの商品説明では次のように著者紹介されている。

 中学1年で小児マヒ、音楽家と陸軍幼年学校入学の夢挫折。猛勉の末入学した物理学科の成績ビリ、でもアメリカ留学の夢を勝ち取る。
 カミオカンデ建設の際には腕力・ウラワザの限りを尽くして、予算獲得に奔走―ノーベル物理学賞受賞も凄いけど、小柴センセイのこれまでの人生はもっと凄い。
 いまや伝説の東大卒業式の祝辞と、大学卒業時の成績表を収録。

・・・なるほど、数々の苦難を乗り越えた小柴氏の口から出る「やれば、できる」には説得力がある。
 しかし、いくらがんばっても夢がかなわないこともある。
「人知は自然の前ではあまりも無力である」ことも含めると100%「あきらめなければ夢は叶う」「やればできる」とは言い難い。

 さて、小柴氏には、別の著書がある。
 『心に夢のタマゴを持とう』(講談社文庫)。
 この中では小柴氏は「夢のタマゴ」は3つか4つもつように説いているそうだ(まだ自宅に届いていない)。

◆自分のやりたいことは、これなんだ。という夢をいくつか持っておくこと。
◆ひとつではなく三つか四つ。ひとつが駄目になっても、別があるし、夢も変わって行くだろうから。

とのことだ。

 これは、セカンドベストと同じ発想である。
 1つの方法に固執すると、うまくいかなかった時のダメージも大きく、修復も大変である。
 受験生にとって全員がベストの結果というわけにはいかないだろう。
 事前の心構えとしてはセカンドベストをきちんと確保しておくこと。
 事後の心構えとしては

 「人生万事塞翁が馬」
 「禍福はあざなえる縄のごとし」
 「逆境が自分を強くする」

と開き直ったり、切り換えたり、自分を叱咤したりすること。

 セカンドベストを受容する余裕のない生き方は危険だということを、親も教師もしっかり子どもに指南していかなければならない。
 間違っても親や教師がセカンドベストを受容しない偏った「オンリーワン」を押しつけてはならない。

 なお「第一志望校」ごときを「夢」と捉えるのは愚かである。
 「夢をかなえる」というなら、もっと大きい規模で語ってほしい。

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