「メシが食えるか」で自立を問う。
大前研一氏の著書で「メシが食える国家」といった表現が出てくる。
自動車も家電も頭打ちになった日本が、どんな分野で活路を見出すかという意味だ。
卑近な言い方だが、意図は端的で明快である。
遠くは、「女がわからないでメシが食えるか」(桜井 秀勲)を読んだ。
中島みゆきの古い歌の一節に「ギターはやめたんだ、食っていけないもんなと・・」というフレーズがある。
「キャリア教育」も、「要するに、将来どうやってメシを食っていくか」の問題である。
「小学校・中学校・高等学校キャリア教育推進の手引」(2006年11月の文科省内協力者会議)で、
キャリア教育において身につけさせる力として以下の内容構造案を示している。
(1)人間関係形成能力(自他の理解能力とコミュニケーション能力)
(2)情報活用能力(情報収集・探索能力と職業理解能力)
(3)将来設計能力(役割把握・認識能力と計画実行能力)
(4)意志決定能力(選択能力と課題解決能力)
以上の内容は具体的に、
(1)他者の個性を尊重し、自己の個性を発揮しながら、様々な人々とコミュニケーションを図り、協力・共同して物事に取り組む力を育成すること。
(2)学ぶこと・働くことの意義や役割およびその多様性を理解し、幅広く情報を活用して、自己の進路や生き方の選択に生かす力を育成すること。
(3)夢や希望を持って将来の生き方や生活を考え、社会の現実を踏まえながら、前向きに自己の将来を設計する力を育成すること。
(4)自らの意志と責任でよりよい選択・決定を行うとともに、その過程での課題や葛藤に積極的に取り組む力を育成すること。
・・・これらが「メシが食える大人」になる基本能力であることは確かである。
その後、花まる学習会の高濱正伸氏に次の著作があることを知った。
「わが子を『「メシが食える大人」に育てる (廣済堂ファミリー新書)
内容紹介には次のようにある。
◆子育ての最終的な目的は、わが子を「自分でメシを食っていける大人」に育てること。
そのためには、「自分で考える力」「ことばの力」「想い浮かべる力」「試そうとする力」「やり抜く力」を育むことが大切。
『情熱大陸』(TBS系列)出演して大反響となった「花まる学習会」代表のカリスマ塾講師・高濱先生が、具体的な方法を紹介。
内容(「BOOK」データベースより)
子育ての最終的な目的はたったひとつ。経済的、社会的、精神的に自立した「自分でメシを食っていける大人」にすること。
そのためには、5つの基礎力を、10歳までの時期に育むことが大切。
それが受験や社会に出てからのさまざまな苦労を自分で乗り越え、より幸せな将来を生きていくためのパスポートを手に入れることになる。
それぞれの力が、社会人としてメシが食える力にどう結びついているのか、どう育めばいいのかを丁寧に解説。
・・・高濱氏が列挙した5項目
(1)自分で考える力
(2)ことばの力
(3)想い浮かべる力
(4)試そうとする力
(5)やり抜く力
は、文科省協力会議の手引きの4項目よりも明快である。
「メシが食える大人」という表現は経済的自立だけでなく、社会的自立・精神的自立も含んでいることが分かる。
この5項目は「生きる力」そのものといった感がある。
この高濱氏の本は、読みやすく、メッセージがビシビシ伝わってくる。
もう少し読みこんだら、整理してみたい。
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