「海の命」(小6)は何を象徴しているか
「海の命」(小6)は何を象徴しているかを問う授業案を見た。
授業者に自分はどう考えているかを尋ねたが、端的な答えが出てこなかった。
私も、答えられない。
そもそも「海の命が何を象徴しているか」という発問が理解できないのだ。
手元のネット辞書で「象徴」を引く。
(@nifty辞書 世界大百科事典 第2版 象徴とは)
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象徴はきわめて多義的な概念であるが,ごく一般的には,たとえば鳩は平和の象徴であるとか,王冠は王位の象徴であるとかいうように,目や耳などで直接知覚できない何か(意味や価値など)を,何らかの類似によって具象化したもの(物や動物や,あるいはある形象など)をいう。
〈象徴〉を意味する西欧語(英語のシンボルsymbolなど)の語源は,ギリシア語の動詞symballein(〈いっしょにする〉の意)からきた名詞シュンボロンsymbolonで,何かのものを二つに割っておき,それぞれの所有者がそれをつきあわせて,相互に身元を確認しあうもの=割符を意味した。
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「ハトの裏に平和」のように、具象の裏に抽象が隠れているというのが「象徴」の構造だ。
では、「海の命」は具象なのか?
「海の命」は何を象徴しているかと問われて、
・海にすむ全ての生き物の命
・海に関わるもの全ての命
という答えが出てきたとしたら、これは「海の命の意味・題名の意味」ということでしかない。
それは「象徴」ではない。
「海」が何を象徴しているかなら考えられる。
「海」は具象だからだ。目に見える。
「クエ」が何を象徴しているかなら考えられる。
「クエ」も具象だからだ。目に見える。
しかし「海の命」、少なくとも「命」は直接知覚できない抽象である。
抽象である「命」の裏の抽象を考えるのはおかしくはないか。
逆の問いならありえる。
「海の命」を象徴している具体物は何か、なら成立する。
自分が不勉強で理解が足りないのかもしれない。
しかし、自分が理解できていないことは授業できないし、サークルで話題にすることもできない。
そう考えて、いくつか実践を検索してみた。
http://www.muraki-e.tym.ed.jp/muraki2006/061108kokugo/6-1...
◆「海の命」という題名は、作品の主題を象徴している。
http://www.iwate-ed.jp/db/db2/sid_data/es/kokugo/e960073....
◆この教材は「海の命」という題名に象徴されている主題について考える学習、すなわち「海の命」とは一体何を表しているのかを考えることを大きな学習の柱として読み深めさせたい
・・・どちらも「象徴」について十分な説明になっているのかどうか理解できなかった。
どこかで実践があった、webで見た、というだけの理由で、他人の実践を鵜呑みにすることはできない。自慢げに語ることもできない。
自分が納得できるまで追究する。
自分の納得した範囲でしか物を語らない。
を大事にしていきたい。
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